大谷翔平は野茂英雄に次ぐ開拓者だ。二刀流がメジャーでも魅力的な理由。

大谷翔平は野茂英雄に次ぐ開拓者だ。二刀流がメジャーでも魅力的な理由。

 2017年12月9日。エンゼルス入団が決まった大谷翔平はエンゼルスタジアムに集まったファンを前に二刀流挑戦への意気込みを語った。

「僕自身はファンの方々と球団の方々と作っていくものだと思うので、まだまだ完成された選手ではないですし、そういう意味では皆さんの応援で成長させて欲しい。僕もそれに応えて頑張っていきたいなと思います」

 新たなるチャレンジ。23歳の所信表明をファンとともに聞き、22年前のあの日のことを思い起こした。

 1995年2月13日。場所はロサンゼルスのリトル東京にある日系ホテル。ドジャース入団が決まった野茂英雄がその決意を口にした時のことだった。

「みんなに憧れられる選手になりたい。でも、自分はこれから続く日本人選手のために失敗はできない」

 '64年に南海ホークスから野球留学でメジャーに昇格した村上雅則の例はあったものの、日本人選手がNPBを去り、メジャーリーガーを目指すことなど当時はまだ口にできない時代だった。

“すぐに逃げ帰ってくる”と叩かれた野茂の成功。

 前例のない挑戦に野茂は日本球界から問題児扱いされ、「ルール違反」と一部メディアからも散々に叩かれた。

“メジャーで通用する訳が無い”

“肩はもう壊れている”

“すぐに逃げ帰ってくる”

 だが、当時26歳の野茂英雄は己を信じ、道なき道をひとり切り開いた。その結果がメジャー実動12年、通算123勝。彼の挑戦から22年が経った今でも、日本人投手でこの実績を上回った者はいない。かくして、野茂は開拓者となり、先駆者として尊敬の念を抱かれるようになった。

ベンチ登録25人のメジャーで二刀流は魅力。

 二刀流は今のメジャーリーグにとって魅力的なオプションのひとつだ。

 ベンチ登録25人で162試合を戦う強行軍の中で、先発投手の“上がり”制度はない。先発5人ローテーションならば、登板のない4投手は毎試合ベンチ入りするものの、基本的に登板はない。よって出場可能な選手は21人しかいないことになる。

 28人登録で25人の出場が許されるNPBの143試合制とはかなり違う。メジャー各球団は投手と野手の二刀流こそ、ロースターの有効活用に直結すると感じ取っている。

 2017年6月に行われたドラフト会議でも二刀流選手がふたり指名された。

 ドラフト1巡目、全体2番目でレッズから指名された18歳のハンター・グリーンは投手と遊撃手。全体4番目でレイズから指名されたブレンダン・マッケイは投手と一塁手だった。

「二刀流の難しさは時差が生じてしまうこと」

 ふたりはともに2017年シーズンを二刀流としてマイナー組織で過ごしたが、レッズのグリーンは1シーズンで二刀流を断念。今季から投手に専念することになった。

 マッケイは2シーズン目となる今季も二刀流でのメジャー昇格を目指す。

 全面的なサポートを約束するレイズのエリック・ニーンダーGMは「チームにとって魅力的なオプション」と語る一方で、容易ではない挑戦とも説明した。

「二刀流の難しさは時差が生じてしまうことです。両方が同じ時期に十分なレベルに到達しない。同じ比率で成長することが難しいのです。重要なことは、片方が良くなってもう一方が遅れるからと言って、悪い方を諦めるのではなく、悪い方が良い方に追いつくまで我慢することです。これが二刀流成功へのポイントであり、難しさです」

野茂と同じく、ロサンゼルスの地で新たな価値観を。

 ベーブ・ルース以来、約100年ぶりとなるメジャーでの二刀流挑戦。新しい時代に向け、関係者はその可能性を信じ、努力をおしまない。だが、その一方で冷ややかな見方をしている“オールド・スクール・ガイ”(古い考えに固執する者)も未だに多い。

“二刀流が出来るほどメジャーは甘い世界ではない”

“二刀流は怪我に直結する。どちらかに専念すべきだ”

“二刀流ができたとしても何試合に出場出来るのか。チームにかかる迷惑は多い”

 新たなる道を切り拓こうとする者の前には、いつの時代にも保守的な誹謗中傷がつきまとう。だが、それを乗り越えなければ新しい時代、価値観、概念は生まれない。

 背番号16から17へ。青から赤へ。野茂英雄に続くロサンゼルスで始まる日本人選手の新たなる挑戦。大谷翔平の二刀流成功に大きな期待を寄せたい。

文=笹田幸嗣

photograph by AFLO

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