新人王・源田壮亮は2年目もブレない。あれだけ上手くても「守備の強化」。

新人王・源田壮亮は2年目もブレない。あれだけ上手くても「守備の強化」。

 監督就任2年目を迎える埼玉西武ライオンズの辻発彦監督は、2018年の幕開けをファンとともに過ごした。

 1月2日、西武百貨店所沢店でのトークショーに出演した辻監督は、150名のファンを前にこう語った。

「昨年は若い力が育ち、その若い選手たちの気持ちが“勝ちたい”から“絶対に勝つんだ”という風に大きく動いたシーズンでした。選手の競争意識がいい方向に作用した1年だったと思います」

 レギュラーシーズン2位へと躍進した要因について聞かれると、真っ先に若い選手の変化を口にした。

 監督と選手2名によるトークショーは毎年開催されているのだが、今年は過去最多となる観覧応募が寄せられ、その当選倍率は32倍だったという。昨シーズン2位という成績と、若い選手が数多く活躍したという事実もあって、新シーズンの開幕に向けてすでにファンのボルテージが上がっている証拠だろう。

「僕と金子さんで盗塁王を争えるくらいに」

 辻監督とともにトークショーに出演した源田壮亮は言った。

「今年は僕と金子さん(侑司)で盗塁王を争えるくらい、積極的に走っていきたいです。2人で盗塁王を争えれば、それだけチームの盗塁数も上がる。チームにとってはいいことだと思います」

 昨年、ルーキーながらリーグ2位となる37個の盗塁を決めた源田の走力は、今年も大きな注目を集めるだろう。

やはりショートは守備がちゃんとできないと。

 トークショー終了後、報道陣に囲まれた源田は続けた。

「今年の目標は守備の強化です。やはりショートは守備がちゃんとできないといけないと思う。コーチとも、エラーは1桁にしようと話しています」

 昨年、全試合フルイニング出場を果たしたものの、エラーの数は遊撃手リーグトップの21だった。源田の守備機会の数や、ファインプレーの多さを考えれば許容範囲内とも言えるが、本人の目指す場所ははるかに高い。

 ゴールデン・グラブ賞の話題になると、きっぱりとこう言った。

「いつかは獲ってみたいとは思いますけど、タイトルを獲るために野球をやるわけではありませんから。獲れたらいいな、と思うくらいです」

辻監督は輝かしくて、堅実さもあるプレーを求める。

 辻監督は源田の守備について語る。

「守備の良し悪しを、一概にエラーの数だけでは判断していません。源田の貢献度はエラー数では測れない。彼はピッチャーの信頼を得るだけの守備を見せています。昨年1年間の経験で、いい意味での気持ちの余裕が出てくれれば、もっと成長するはず。守りの面でその余裕が生まれれば、エラーの数は減りますよ。彼にはエラーが多い少ないではなく、見ていて輝かしくて、その中にも堅実さもあるような息の長い内野手になってほしい」

 入団2年目にして、すでに「他の選手の手本にならなければいけない選手」と源田の守備を高く評価している。

 新人王を獲得した源田は、このオフはイベントやテレビ出演などに引っ張りだことなった。生活が一変したのではないかと尋ねると、シーズン中と同じく、穏やかな、消え入りそうな小さな声でつぶやいた。

「街を歩いていて声をかけられる機会はちょっと増えましたけど、普通ですよ。変わらなくていいんです、普通がいいんですよ。去年の自分の成績ですか? もちろん手応えはあるけど、まだまだです。もっとできることはあると思っていますから」

侍ジャパンで戦った際、日本ハム・近藤から刺激。

 新人遊撃手でのフル出場記録更新など、堂々たる成績を残しても、決して浮かれることはなかった。

 秋季キャンプから休むことなく参加した11月のアジアプロ野球チャンピオンシップが、勉強の場になったと振り返る。

「周りの選手を見て、同じ練習を続けることの大切さを学びました。日本ハムの近藤(健介)は試合前に毎日、ティーバッティングを繰り返していました。全体でウォーミングアップをする前に1人、黙々とティーバッティングを続けていたんです。僕は昨シーズン、1年間やってみても、試合前に“これを確認すればいい”という方法が見つかりませんでした。近藤の姿を見て、やっぱり結果を出している選手はこういうところが違うんだなって思いました」

 近藤は源田より1学年下だが、高校卒業後にプロ入りし、すでに実績も残している。慣れないプロの世界で毎日、試合に出続けることで頭がいっぱいだったという源田にとって、自分オリジナルの調整方法や、結果につながらないときに修正する方法を、すでに確立している近藤の姿に触発された。

周りから「2年目のジンクスなんて気にするな」

 瞬く間にレギュラーの座を獲得した源田には、2018年は真価を問われる1年になるだろう。

「プロ2年目で、周りの人にも“2年目のジンクスなんて気にするな”と言われます。年末、実家に帰ったときも、2年目のジンクスが話題に上りました。そういうのって、やはりあるのかなとは思いますけど、僕自身は考え過ぎずに、自分のやれることだけやればいいと今は思っています」(源田)

 2018年の展望を聞かれた辻監督は、こう語った。

「監督に就任した直後、エースの岸孝之(東北楽天)が抜けて、2年目は野上亮磨が抜けて……。もちろん厳しい状況ではあります。でもチームというのは、結果がすべて。143試合、チームで戦っていくわけだから、そこはみんなで力を合わせて戦っていけばいい。投打がうまくかみ合ってくれることに期待しています」

牧田のパドレス移籍は大きな戦力ダウンだが。

 1月7日には牧田和久のパドレスへの移籍も発表され、投手力を見れば大きな戦力ダウンとなったことは否めない。

 しかし源田をはじめとする若い選手たちが、その逆境にどう立ち向かっていくのか。見どころの多いシーズンとも言えるだろう。

「グラウンドでは選手に任せる。そして私たち首脳陣は、選手に任せるための準備をする。それは昨シーズンと変わりありません。それぞれ担当のコーチに任せて、最後、責任はすべてわたしが取る。今年もそういう気持ちで戦えればいいなと思う」(辻監督)

 辻監督の、源田ら若手選手への期待が、確固たる信頼に変わったとき、また一回り強くなったライオンズを見られるはずだ。

文=市川忍

photograph by AFLO

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