錦織圭不在だからこそ観たい全豪OP。昨季とは空気が一変している理由。

錦織圭不在だからこそ観たい全豪OP。昨季とは空気が一変している理由。

「今シーズンの男子テニスは何かが起こる」

 そう思っているテニスファンも多いのではないだろうか。

 1月15日から開幕する四大大会の初戦、全豪オープンは今シーズンを占う上で目が離せない。昨シーズンは、BIG4のノバク・ジョコビッチ、アンディ・マレーをはじめとして多数のトップ選手が欠場。図らずも上位の椅子が空席になった結果、新世代や復活組の台頭を巻き起こし、シーズンを通して地殻変動の収まらない1年になった。

 そして今シーズン。BIG4が築いてきた1つの時代が終わるのか――男子テニス界は大きな分岐点に差し掛かっている。

 そんな激動のシーズンも大晦日から幕を開けた。

今季を象徴する大会になるはずの全豪OP。

 例年、全豪オープンは1年の流れを決める大会になることが多い。

 これはグランドスラムがマスターズの2倍のランキングポイントを獲得できるため、最終ランキングに直結しやすいからである。

 また、シーズン最初の大きな大会である全豪で結果が出ると自信が深まり、そのまま春まで好成績が続くケースが多い。

 思い返すと昨年の全豪オープンはジョコビッチが2回戦、マレーが4回戦で敗退と、のちの成績不振とけがでの離脱を考えると頷けるものがある。一方けがからの復帰となったラファエル・ナダルとロジャー・フェデラーは厳しいと見られていた予想を覆し決勝進出。2017年の2強状態を予感させるような、歴史に残る決勝戦を戦った。

 2018年シーズン冒頭も、ナダルとフェデラーを止める選手が現れるのかが1つの焦点になってくる。

ついに、あのジョコビッチが戻ってくる!!

 昨年1位に返り咲いたナダルだったが、1位を確保するためにシーズン終盤戦で無理をした結果、ひざのけがで最終戦のATPファイナルズを途中棄権、2018年シーズンの始動が遅れていた。エキシビションでは元気に動く姿が見られたが、やや不安なシーズンの立ち上がりとなる。前人未到の全仏11勝目と、意外だが初めてとなる2年連続年間1位に向けても絶対に落とせない大会になる。

 昨年2位のフェデラーは前哨戦には出場せず、2017年同様エキシビションのホップマンカップに出場。シングルスでは4戦全勝となっており、早くも全豪の準備は万端のようだ。昨シーズンは苦手だったナダル相手に4連勝。36歳となった今シーズンもフィジカルに問題がなければ、優勝候補筆頭だろう。

 そしてキャリア最大の大けがからの復活を誓うジョコビッチも、全豪に間に合わせてきた。

 攻めてよし守ってよし、対戦相手がどこから手を付けていいかわからなくなるほどの圧倒的な強さが戻ってくれば、得意の全豪オープンで昨年のフェデラーのように一気に優勝してもおかしくはない。

 大荒れだった昨年ですらグランドスラム優勝はすべてBIG4が占めている。マレーの長期離脱が決まってしまったのは残念だが、今年もBIG4がグランドスラムでの主役になるだろう。

錦織圭に近い世代が躍進か。

 BIG4以外では、錦織圭に年齢が近い中堅世代が勢いを増してきている。

 昨年の全豪オープンでベスト4に進み、2017年最終ランキング3位に入った26歳のグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)はその筆頭だ。

 昨シーズンは調子のいい時期と悪い時期がはっきりと分かれてしまったディミトロフ。初めてトップ10で迎えたシーズン開幕、まずはトップ選手として安定した結果を出したい。昨年の準決勝ではナダルとハイレベルなフルセットの死闘を演じ、勝っていても全くおかしくないほど充実したテニスを披露した。試される1年になるディミトロフは、幸先のいいスタートを切れるだろうか。

 その他初出場のATPファイナルズで決勝に進んだダビド・ゴファン(27歳/ベルギー)、安定して上位に位置し続けるドミニク・ティーム(24歳/オーストリア)、さらに今季開幕戦のブリスベンで優勝し地元オーストラリアで躍動しているニック・キリオス(22歳/オーストラリア)と、役者は揃っている。

「ネクスト・ジェネレーション」の台頭はどうなるか?

 そして昨年ATPツアーに新しい風を巻き起こしたのが、21歳以下の若手選手グループ「ネクストジェネレーション」だ。

 ATPツアーはこれまでも錦織以下の世代を大きく広告するなどポストBIG4時代に向けてプロモーションを行っていたが、BIG4に跳ね返され続けることが続いてきた。しかしネクストジェネレーションの台頭で、一気にその動かざる岩が動き始めた。

 ネクストジェネレーション世代筆頭にいるのが、昨シーズンいきなりマスターズ優勝を成し遂げ、最終ランキング4位まで駆け上がったアレクサンダー・ズベレフ(20歳/ドイツ)だ。

 若いながらも完成されつつある総合的なテニスを展開し、シーズン中盤以降は話題の中心になることも多かった。ただズベレフには意外なデータがある。それはまだグランドスラムのベスト8に到達したことがないというものだ。

 マスターズでの成績はすでに申し分ない領域まで近づいているが、ズベレフがここからさらに上を目指すためにはグランドスラムでの躍進が必要不可欠。総合力が試される5セットマッチは付け焼刃では突破できず、昨シーズンはフェルナンド・ベルダスコやミロシュ・ラオニッチといった実力者に敗れている。

若手の成長はすさまじく、勢力図激変の可能性も。

 ネクストジェネレーション世代で見ても、グランドスラムベスト8に到達しているのはズベレフと同い年のアンドレイ・ルブレフ(20歳/ロシア)のみ。

 次は誰が大舞台で風穴を開けるのか。

 開幕戦から好調のオーストラリアの新鋭アレックス・デミノー(18歳)、昨年ナダルを破ったデニス・シャポバロフ(18歳/カナダ)、ジュニアランキング1位の経験もあるステファノス・チチパス(19歳/ギリシャ)など、次の主役候補はたくさんいる。

 まだいきなり頂点まで行ってしまう選手は少ないが、若手選手の成長曲線はすさまじいものがある。1年後には若手の中での勢力図が激変していても全く不思議ではない。

昨季とは、すでにツアーの空気が一変している!

 錦織圭はこの全豪オープンを欠場することになったが、1月22日からカリフォルニアで行われる下部ツアーで復帰となる。

 順調に行けば2月11日から行われるニューヨークの大会に出場し、3月にはトップ選手が集うマスターズ開幕戦に出場する予定だ。

 今回は錦織が出ないから観戦はちょっと……という方にこそ見てほしいのが今回の全豪。

 錦織が離脱した2017年夏ごろとは、すでにツアーの空気が一変している。もう一度錦織が頂点を取りに行く、その過程を知る上でも目が離せない。

 BIG4が引き続き君臨するのか、中堅世代がついに時代をその手にするのか、はたまた若い力が一気に時計の針を動かすのか。

 その答えは2週間後、明らかになる。

文=今田望未

photograph by AP/AFLO

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