バイエルンの退屈な1強支配にメス!ブンデスの斬新すぎリーグ改革案。

バイエルンの退屈な1強支配にメス!ブンデスの斬新すぎリーグ改革案。

 あまりにも強すぎる。ブンデスリーガ第25節終了時点で、バイエルンが2位のシャルケに勝ち点20差をつけて首位を独走しているのだ。最後に負けたのは第13節(対ボルシアMG)で、それ以降は11勝1分けと非の打ちどころがない。

 最短では第27節終了時点で、絶対王者によるリーグ6連覇が確定する。リーグ戦における最大の関心事であるはずの優勝争いは、今シーズンもドイツには事実上存在しなかった。

 バイエルンの1強支配が長引き、ブンデスリーガの魅力が薄まっているのは否定しようがない事実だ。スポーツTVチャンネル『Sport1』のセバスティアン・ミッターク記者は「バイエルンの支配によって生み出された“退屈”が、人々のリーグへの関心を低下させている」と嘆く。バイエルンのホームタウン、ミュンヘンの『Abendzeitung』紙でさえ「ブンデスリーガは、もはやエキサイティングなプロダクトではない」と言い切るほどだ。

熱狂で包まれていたスタジアムに空席が。

 昨シーズンよりリーグ全体の平均観客動員数が増えているからと言って、ファンの絶対数が増えているとも限らない。なにしろ今季の昇格クラブはホームスタジアムの規模が大きいシュツットガルトとハノーファーなのだから。むしろ空席が目に付く試合も散見されるし、ファン離れが危惧されている状況だ。

 ボルシアMGの主将を務めるラース・シュティンドルは『WELT』紙のインタビューにこう答えている。

「ヴォルフスブルクとのニーダーザクセン州ダービーで、ハノーファーのスタジアムに空席が目立ったのには驚いたよ。理由は分からない。キックオフが日曜の夜だったからかもしれない。でも、僕はハノーファーの人々がどれだけスポーツに熱狂的か知っている。リーグが誤った方向に向かわないように注意しなければいけないよ」

 リーグ全体の競争力も、一時期の“バブル”がはじけた印象が強い。今季のチャンピオンズリーグ(CL)とヨーロッパリーグ(EL)に参加したドイツの7チームで、グループステージを突破したのはバイエルンのみ。

 ドルトムントとRBライプツィヒがCL敗退後に参戦したELで16強まで勝ち上がっているのがせめてもの救いだが、他の4チームは欧州の舞台から早々と姿を消している。当然、バイエルン以外が不甲斐ないという見方もある。

ノックアウト方式のプレーオフ導入を。

 それこそ天変地異でも起きないかぎり、絶対王者の優位性は揺らがないだろう。

 バイエルン以外のドイツ勢にハメス・ロドリゲス級のスターを引き付けるブランド力や経済力はなく、外国資本の参入などを阻んでいる50+1ルール(例外を除き、個人や企業が1クラブの株式を49%までしか保有できない規則)が存在するかぎり、パリ・サンジェルマンやマンチェスター・シティのようなリッチクラブが突如として出現することも期待できない。

 バイエルンと他クラブの間に横たわる溝が埋まらないとなると、リーグ戦をいかに盛り上げていけばいいのか。その解決策として話題になっているのがヴォルフガンク・ホルツホイザー氏による改革案だ。

 ドイツサッカー連盟の要職やレバークーゼンのマネージングディレクターを歴任し、現在はスポーツコンサルタントとして活躍する同氏は、かねてより「優勝プレーオフ」の導入を訴え続けている。理想とするのはアメリカのプロスポーツで、NBAやMLB、MLSのようにレギュラーシーズン終了後にノックアウト方式のトーナメントで年間王者を決めようという提案だ。同氏はこう主張する。

「マイスター(チャンピオン)争いの行方が面白くなるし、優秀なチームとそうではないチームのギャップを減らせる。スポーツ的な部分だけでなく、(スポンサー収入が見込める意味で)財政的な観点からもいいだろう」

欧州カップ戦を含めた過密日程が問題。

 もちろん、問題はある。その1つが過密日程だ。欧州カップ戦で最終盤まで勝ち上がっているチームにとって、試合数の増加は諸手を挙げて賛成できないはずだ。心身ともに疲労のピークを迎えているはずの選手たちを無視した、マーケティング優先のイベントと揶揄されても不思議はない。

 現時点では反対の声が大きく、レバークーゼンのルディ・フェラーSDは「リーグ戦が歪められる」と慎重な姿勢を貫く。

 ただ、バイエルンのトーマス・ミュラーが「一種の改革を推し進めるのは良いアイデア」と語れば、『Sport1』がウェブサイト上で行ったアンケートでは約30%のユーザーが賛成の意を示してもいる。

名手エッフェンベルクの大改革案。

 一方で、元ドイツ代表のシュテファン・エッフェンベルクは、もっと大掛かりな改革を提案している。リーグの構造自体にメスを入れるというアイデアだ。

 まず開幕前の時点で、トップリーグの18チームをグループA、グループBに9チームずつ分ける。各チームは同じグループの対戦相手とクリスマスまでにホーム&アウェーの計16試合を消化。各グループの上位4チーム+グループAとBの5位で成績の良いチームがグループIに進出し、1月から5月にかけて優勝および欧州カップ戦出場権を争う。

 そして、残りの9チームはグループIIで残留を懸けたサバイバルに挑むという構図だ。前半戦の成績は反映させず、グループI、IIは勝ち点や得失点がゼロのフラットな状態でスタートする。

 この“エッフェ案”はギリシャやベルギーが導入済みの優勝プレーオフとは異なり、欧州の主要リーグでは類似例のない斬新なアイデアだ。もちろん、グループIへの参加権を逃したチームのモチベーション低下に加え、グループIIへのファンの関心度の低下など気がかりな点は思い浮かぶ。

 それでもエッフェは『Sport1』で「夏のドローイベントはドイツ中で注目を集める巨大なイベントになるだろう」と熱弁し、自身の改革案に自信たっぷりの様子だ。ちなみに、「ウインターブレイクは撤廃する」とも主張している。

 他にも50+1ルールの撤廃やテレビ放映権料の分配率の見直し、さらにはドラフトやサラリーキャップ制の導入など、ブンデスリーガを再びエキサイティングにするためのプランはいくつも挙がっている。はたして改革へと舵を切るのか、それとも伝統重視で変革を避けるのか。華々しく映るブンデスリーガが岐路を迎えているのは間違いない。

文=遠藤孝輔

photograph by Getty Images

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