上原浩治復帰は菅野智之にも好影響!黒田とマエケンのような関係性に。

上原浩治復帰は菅野智之にも好影響!黒田とマエケンのような関係性に。

 シカゴ・カブスからフリーエージェントとなっていた上原浩治投手の古巣・巨人への復帰が、9日決まった。

「正直なところメジャーでの契約をずっと待っていた。あまりいい話がないところにジャイアンツの方から話を頂きましたので、こちらから『お願いします』という話をしました」

 入団会見でこう語った上原は、他球団からの話もある中で、最終的に古巣を選択したことも明らかにした。

 巨人が上原獲得に動いている。そんな情報が流れたのは、昨年のオフのことだった。

 しかし、その時点ではまだ上原にメジャーからオファーがある可能性が高く、本人も「あと1年、メジャーでやりたい」と語っていた。上原の中で日本球界復帰は選択肢としてはなかったのである。

 ところが、そこから予想もしない展開が待っていたわけだ。メジャーのFA戦線が異常ともいえる停滞を見せて、80人余の選手の行き先が決まらず宙ぶらりんとなっていた。上原の昨年の同僚で、2014年からの4シーズンで64勝をマークしたジェイク・アリエッタ投手すら、遅れに遅れてこの11日まで決まらなかったほどなのだ。

巨人復帰はベストではないはずだが。

 そこで上原を取り巻く状況も一変した。

 移籍先が決まらず、揺れる上原の心を動かしたのは以前から熱心に接触してきていた巨人だった。巨人の努力と、上原の気持ち、そしてタイミングが絶妙にマッチした。それが今回の復帰劇の真相だったわけである。

「野球がやりたい」

 上原は会見で率直な気持ちを吐露した。

 はっきり言えば、巨人復帰は上原にとってはベストな選択ではなかったはずである。

「開幕後でも5月くらいまで我慢できれば、中継ぎ不足のチームからメジャー契約の話もあったのではないか」

 米国のメディア関係者の間では、そういう声があるのも事実だ。

 しかし決断のカギは何よりも、また今年もマウンドに立つことだった。メジャーを諦めるという決断によって、新たな舞台として日本の、巨人というチームを得たわけである。

他球団は警戒感を抱かざるを得ない。

 ファンにとってもメジャーリーガーを手玉にとった、あのピッチングを再びナマで見られるのだから大歓迎のはずだ。

 もちろん球界関係者も、メジャーでプレーした選手の日本復帰には歓迎の意を表す。

「球界全体から見たら盛り上がっていいんじゃないか。明るいニュースだね」

 こう反応したのは広島の緒方孝市監督だった。

 ただ緒方監督だけではなく、これから1年間、ペナントレースでしのぎを削る他球団にとっては、開幕直前の巨人の上原補強は警戒感を抱かざるを得ないものだろう。

 いうまでもなく戦力的にみれば、上原の加入は巨人にとっては大きなプラス材料だ。

 投手陣の中で欠けていた大事なピースが、これでしっかりと埋まることになる。

西村、宮國、澤村が未知数だけに。

「ピッチャー陣は後ろをしっかり作りたい。最後の2人には安定感があるので、あとはそこに繋ぐピッチャーをどうするかだね」

 キャンプでこう語っていたのは巨人の斎藤雅樹投手総合コーチだった。

 昨年から稼働しているセットアッパーのスコット・マシソンとクローザーのアルキメデス・カミネロ両投手については、高橋由伸監督も不動と考えていた。

 問題はその2人につなぐ7回を任せる投手である。当初は経験豊富な西村健太朗投手や若手の宮國椋丞投手らの名前が挙がっていたが、2人ともケガで出遅れている。

 また3月4日のヤクルトとのオープン戦では、澤村拓一投手が1年ぶりの一軍マウンドで好投。ただ、1年間のブランクは大きく、まだまだ今後のピッチングを見ていかなければ判断できない状態だった。

 だが、そこに上原が入ってきたのだ。これで後ろの3枚が固定できることになる。しかも状態次第ではマシソンと上原の順番を入れ替えて、7回ではなく8回に上原を起用する案もある。またメジャーでの実績を考えれば、場合によってはクローザーという選択肢を得たことにもなる。

 いずれにしてもこれで7回から最後の3イニングを託せる投手が揃った。あとは「左のワンポイントを作ること」(チーム関係者)ができれば高橋監督のゲームプランはかなり明確に確立できることになる。

緒方監督が話した「黒田みたいな……」。

 こうした戦力的補強も他球団からみれば脅威だが、もう1つ、上原の加入には、目に見えない相乗効果が出るという声もある。

 緒方監督は、むしろその点に警戒感を募らせていた。

「向こう(メジャー)であれだけの実績を残してきた投手。黒田みたいにね、チームに与える影響力も大きいだろう」

 2015年にメジャーから広島に復帰したこのレジェンドの存在の大きさを、一番、知っているのは緒方監督だ。

「もちろん事あるごとに、彼は彼なりの考えを選手に話してくれて、それが投手陣だけでなく、チーム全体にとっても大きなプラスになった。ただ、何も言わないでも、彼がいること、存在自体がチームにとっては一番、大きな力になった」

 黒田の存在感の大きさ、チームに与えた影響を緒方監督はこう語っている。

 当時のエースだった前田健太投手も、黒田の加入で様々な意味で助けられたと振り返っている。

菅野の背負うものが大きくなり過ぎた。

 それは巨人と上原の関係にも当てはまることだった。

 巨人の今の投手陣を俯瞰する。長くピッチャーのリーダー役だった内海哲也投手の力が衰えて、ここ2、3年は一軍にいることも少なくなっている。代わって投手陣をまとめるのがエースの菅野智之投手だ。

 菅野は今や誰もが認める巨人投手陣のリーダー役だ。ただ、その一方でエースとリーダーとして、あまりに背負うものが大きくなり過ぎているのも事実だった。

 そこに経験豊富なベテランが加わった。

 上原は巨人で10年間プレーして、チームの流儀は十分に理解している。その上、メジャーで修羅場をくぐってきた経験がある。

 おそらく上原が自分から積極的に前に出ることはないだろう。ただ、そこにいるだけで菅野をサポートできることは山ほどあり、それはチームにとっては大きなプラスとなるはずなのである。

 その関係は、まさに黒田と前田、そして2人とチームの関係と同じものとなるはずだ。

「ボールの回転にびっくりした」との声。

 入団会見の翌10日。上原はジャイアンツ球場の練習に合流して早速ブルペンに立ち、11日には打撃投手も務めた。

「ボールの回転にびっくりした」

 メジャー帰りのベテランが投じる高回転のフォーシームに、選手たちからはこんな感嘆の声が上がったという。もちろんこうした高度な技術を見ることも若い選手には勉強になるが、やっぱり大きいのは42歳のベテラン選手がグラウンドに立つ姿を見せることなのだろう。

 復帰会見。

「とにかくがむしゃらにやるだけです」

 上原は静かに語った。

 日米合わせてプロ生活20年目のベテランはいま紛れもなく、必死に野球と向き合っている。そしてその姿は紛れもなく、巨人に新しい風を吹き込むことになるはずだ。

 戦力としてはもちろんである。

 ただ、それ以上に巨人に化学変化を起こす触媒となる。ファンが期待し、他チームが最も警戒する――それこそが一番の「上原効果」である。

文=鷲田康

photograph by Kyodo News

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