皐月賞の主役は「不在のダノン」。未対決のタイムフライヤーに勝機?

皐月賞の主役は「不在のダノン」。未対決のタイムフライヤーに勝機?

 不動の主役と見られていた無敗の2歳王者ダノンプレミアムが回避したことで、第78回皐月賞(4月15日、中山芝2000m、3歳GI)は、どの馬にもチャンスがある大混戦の様相を呈している。

 直前に大本命が回避したクラシックとして思い出されるのは、無敗の2歳王者フジキセキが屈腱炎のため皐月賞前に突然引退した1995年シーズンだ。

 フジキセキは新馬、もみじステークス、朝日杯3歳ステークス(馬齢は旧表記)、弥生賞と4戦して全勝。ダノン同様、無敗の2歳王者としてクラシックを迎えようとしていた。

 サンデーサイレンスの初年度産駒で、母系も英国ダービー馬ミルリーフが出た名門。2番人気だった新馬戦以外はすべて単勝1倍台の圧倒的支持を得て、その良血に恥じないパフォーマンスで期待に応えつづけた。特に、掛かり気味に先行し、直線で他馬を一気に突き放した弥生賞の勝ちっぷりは圧巻で、

 ――三冠はこの馬が総なめにするだろう。

 と思われていたさなかの引退劇だっただけに、衝撃的だった。

 結局、この年の皐月賞はフジキセキと未対決だったジェニュイン、ダービーはもみじステークスでフジキセキの2着だったタヤスツヨシ、菊花賞はフジキセキが引退を発表した翌日未勝利を脱したマヤノトップガンが制した。

 また、朝日杯でフジキセキの2着だったスキーキャプテンがアメリカに遠征し、日本馬として初めてケンタッキーダービーに参戦(14着)して話題になった。

「あの馬がいれば」になる?

 アメリカというと、この1995年は、野茂英雄がロサンゼルス・ドジャースでメジャーデビューし「トルネード旋風」を巻き起こした年だった。その意味でも、「ツーウェイ(二刀流)」の大谷翔平が注目を集めている今年に通じるものがある。

 フジキセキと違い、ダノンプレミアムは軽症で、ダービーに出てくる可能性もあるようだ。

 だから、「歴史は繰り返す」と表現するのは正しくないのだが、それでも、今年の皐月賞は、1995年と同じように、「もしあの馬がいれば」と、いくつものタラレバを言いたくなるレースになりそうだ。

ダノンと未対決、という条件で探すと?

 1995年のジェニュインと同じタイプ、つまりダノンと未対決の馬のなかでは、昨年のホープフルステークスの覇者タイムフライヤー(牡、父ハーツクライ、栗東・松田国英厩舎)の復権が考えられる。

 前走の若葉ステークスで5着に敗れて株を下げたが、あの一戦に目をつぶって「なかったこと」にすれば、きわめて高いレベルで安定した走りをする馬だ。

 以前、この馬を所有するサンデーレーシングの吉田俊介代表が「ホープフルステークスを勝つと、次にどこを使ったらいいのか困ってしまう」と話していた。

 負けたら、クラシック出走権を獲るため、いくつかのレースが自然と候補に挙がってくる。しかし勝って賞金面の心配がなくなり、どこを使ってもいいとなると、案外選択が難しくなるようだ。

 特に関西馬は、本番前に何度も長距離輸送をしたくないだろうから、「定番」の共同通信杯や弥生賞、スプリングステークスなどには即決しづらくなる。ということで、タイムフライヤー陣営は、オープン特別の若葉ステークスを選んだ。

 いわば「裏技」だったのだが、GIを厳しい流れで勝ち切ったタイムフライヤーにしてみると、格の違いすぎる馬たちに囲まれ、緩いというよりぬるいと感じられるようなペースに戸惑ってしまったのではないか。あの一戦で見限るのは早すぎる。

 ダノンと未対決の馬として、タイムフライヤー以上に注目されているのがキタノコマンドール(牡、父ディープインパクト、栗東・池江泰寿厩舎)だ。走るたびに大きな成長を見せて2戦2勝。

 ノーザンファームの生産馬で、池江厩舎所属、鞍上がミルコ・デムーロというだけで怖い。馬主が「DMMバヌーシー」として新規参入したDMMドリームクラブ、名付け親が北野武氏と話題性もある。

「ダノンにしか負けていない馬」

 ダノンに敗れた馬のなかで最有力と思われるのは、弥生賞で2着だったワグネリアン(牡、父ディープインパクト、栗東・友道康夫厩舎)か。弥生賞は、鞍上の福永祐一が、初めての中山コースでどんな伸びをするか脚を測ったようなレースだった。ガチンコ勝負でもう一度ダノンとやったら逆転もあり得る、と思わせる素材だ。

 朝日杯フューチュリティステークス2着のステルヴィオ(牡、父ロードカナロア、美浦・木村哲也厩舎)も強い。父は桜花賞を勝ったアーモンドアイと同じで勢いがあるし、トライアルのスプリングステークスの勝ち馬でもある。「ダノンに負けた馬」と言うより、「ダノンにしか負けていない馬」と言うべき実力馬だ。

タイムフライヤーの闘志復活に期待。

 このあたりで結論。

◎タイムフライヤー
○ワグネリアン
▲ステルヴィオ
△ジャンダルム
×オウケンムーン
注キタノコマンドール

 若葉ステークスでほとんど競馬をしなかったタイムフライヤーは、他馬にぶつけられて後方の外を回らされ、そのうちに走る気をなくしたようだ。最内枠を引いた今回は、隣にワグネリアン、その外にジャンダルムという強豪がいるため、若葉ステークスとは対照的な、緊張感のある展開になる。鞍上の内田博幸が、本来の闘志を目覚めさせる騎乗をするだろう。

 この馬の単複と、この馬を軸にした馬連で勝負したい。

文=島田明宏

photograph by Yuji Takahashi

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