日本Sの経験でブルペンが劇的成長!DeNAの砂田毅樹、必勝の覚悟。

日本Sの経験でブルペンが劇的成長!DeNAの砂田毅樹、必勝の覚悟。

「だいぶ過酷な出番が多いですけど……よくやってくれていると思います。選手たちには感謝しかないですよ」

 ブルペンを担当する木塚敦志コーチは、リリーフ陣のがんばりに対し、ねぎらうようにそう語った。

 4月に8連勝したものの、いまいち波に乗り切れていないDeNA。その第1の要因は繋がらない湿りがちな打線になるわけだが、一方でリリーフ陣の奮闘により五分の戦いができているといっても過言ではない。

 救援投手の評価指数であるホールドポイントは12球団最多の43(以下データは5月14日現在)、またDeNAはここまで33試合を消化しているが、全16敗中リリーフ陣に黒星がついたのは3試合しかない。

 ただ、冒頭で木塚コーチが語っているように、以前にも増して中継ぎ陣はハードワークを強いられている。

ラミレス監督の多様な投手起用法。

 ラミレス監督の先発投手に対する基本方針は「100球、5〜6回」が原則。

 ピッチングの調子が良さそうに見えても、多くの場合このタイミングでリリーフ陣へとバトンタッチする。さらに1人が1イニングを担当するシンプルな継投ばかりではなく、ワンポイントもあれば回またぎなど状況によって異なり、その起用法は多様を極めている。

「どこで出番が来るのかは僕や選手たちが選べるわけじゃない。とにかく任された1人目のバッターに責任を持つ。この積み重ねしかない。ただ、選手たちは精神的にも肉体的にも以前よりたくましくなってきましたよ」

 指導者であり、また良き兄貴分でもある木塚コーチは、選手たちの成長を誇らしげに語った。

「以前よりも自己管理を意識的にできるようになってきました。僕としては些細な変化も見逃さず、シーズン最後まで見据えて指導していきたい。今年の夏は暑いといいますからね……」

DeNAにとって「言わずもがなの課題」とは?

 苛烈なシーズン本番はこれからだ。

 ちょっと失礼かと思ったが「何か懸念材料はありますか?」と尋ねてみた。すると木塚コーチは、苦笑しながら「それは口が裂けても言えませんよ」と返してきた。

「そういった部分を消すためにベストを尽くします」

 言わずとも課題は当然、チームとしてこのリリーフ陣の調子を維持することだ。

 昨季も前半戦は快調であっても後半戦にかけコンディションを落としてしまった投手が何人かいた。

 その1人が昨季62試合を投げた左のリリーフの要である砂田毅樹だ。

「自分らしいピッチングができるようになった」

「中継ぎも今年で3年目なので、慣れもあり準備も含め精神的な部分で楽になっています。昨年の前半に比べるとずば抜けた感覚はないのですが、疲労度に関しても自分でわかるので、そこを踏まえ自分らしいピッチングができるようになっていますね」

 現在19試合に登板し、防御率1.76と好調の砂田は、昨季と同じことを繰り返すつもりはない、と冷静な面持ちで語った。

「昨年は調子が良いときに上半身に頼ってしまったのか、コンディションを悪くすると落ちる一方でした。けど今年は下半身を含め全身を使って投げているので、これを続けることができればどこかに疲れがたまるということはないと思います。

 木塚コーチからは昨年のことを思い出し、体と相談してやっていけばいいと言われています」

 砂田は、ストレートとスライダーを軸に、チェンジアップ、カーブ、シュートと多彩な変化球を持つが、今シーズンから新たに縦に落ちるボールを使うようになった。

 最初は以前使っていたスクリューボールかと思ったのだが、鋭く落下するその軌道はフォークである。

「“落ちる”ボールが欲しかったんです」

「自分の中で“落ちる”ボールが欲しかったんです。スクリューのように“逃げる”のではなく“落ちる”。

 キャンプで練習をしたら上手く落ちたのでコーチと相談して使うようになりました。最初は誰かに習うということはしなかったのですが、投げていくうちにどんな軌道を意識しているのか、飯塚(悟史)や井納(翔一)さんにいろいろ話を聞きました」

 ピッチングの幅を広げた砂田は、左打者への対応ばかりでなく右打者に対しても強みを発揮し、さらに昨季よりも奪三振率を向上させている。

「スライダーを多投したことで、そこを狙われるようになったので、自分が成長するためにも必要なボールでした」

どんな場面でも全力で挑み続ける砂田。

 砂田は、井納翔一、パットン、山崎康晃の勝ちパターン継投に組み込まれているわけではない。

 三上朋也、エスコバー、三嶋一輝とともにリードであろうが同点であろうがビハインドであろうが、どんな場面であってもブルペンを飛び出しマウンドへと向かう。

 5月12日のヤクルト戦では同点の11回にマウンドに上がり、フォアボールと味方のエラーが重なり負け投手となるが、砂田は顔を伏せることなく前を向く。

「厳しい場面での出番や、やる仕事は多くなったけど、それだけ信頼されているということだし、やりがいはありますよ。とにかく自分ができることでチームに貢献したい」

 クールな砂田は表情を変えずそう語った。

「やはり日本シリーズに出場したことが大きいと」

 現在、DeNAのブルペンの雰囲気はとても良いという。

 前出の木塚コーチは、以前とは異なる微妙な変化を感じ取っている。

「競争はあるけど、仲間をフォローするような団結力が生まれている。また今シーズンは開幕前に先発に故障者が出たりして、なおさら結束が強まっている感じがしますね」

 砂田も同意見だ。

「リリーフ陣は昨年よりもいい仕事をしていると思います。やはり日本シリーズに出場したことが大きいと思います。自分たち中継ぎがやらなければいけないんだ、という想いが強くなったことで皆が危機感を持ってプレーできていると思います」

 苦しい展開を支える勇ましきリリーバーたち。

 ブルペン一丸となり、20年ぶりのリーグ優勝へ向かい、熱投で勝利の流れを引き込んでいく。

文=石塚隆

photograph by Kyodo News


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