肘靭帯損傷でDL入りした大谷翔平。2月から指摘されていた“兆候”とは。

肘靭帯損傷でDL入りした大谷翔平。2月から指摘されていた“兆候”とは。

 まさかの早期離脱だった。

 ベーブ・ルース以来とも言われる「二刀流」で全米中から注目を集めてきたエンゼルス大谷翔平が6月8日、右肘の側副靱帯(じんたい)の損傷のため、メジャー移籍後初めて故障者リスト(DL)に入った。

 6日のロイヤルズ戦後、異変を訴えた大谷は遠征中のチーム本隊から離れ、ロサンゼルス市内の病院で検査を受けた結果、「グレード2」と診断された。

 その際、患部の回復を促進するPRP注射を受けるなど本格的な治療を開始した一方で、現時点では復帰時期は明かされていない。もっとも、最低3週間はノースローの期間を設定されるなど、当面は「投げる、打つ」の両面で、プレーに関わる本格的な動きはできない状況となった。

危険信号はキャンプから。

 今だから言うわけではない。

 大谷の右肘が、遅かれ早かれ悲鳴をあげる可能性が高いとの予想は、実は、メジャー関係者の間では2月のキャンプ開始当時からささやかれていた。

 もちろん、周囲の誰もが、大谷の球界の常識を覆すような「二刀流」には興味津々だった。その一方で、投手、野手の両面でアジャストする難しさと、メジャー移籍1年目での体にかなりの負担となることは、ある程度、想像できることだった。

 危険信号は、春季キャンプ中から見え始めていた。

 打者としての大谷は、日本ハム時代の右足を高く上げるスタイルから、開幕直前に、ノーステップの「すり足」に近いタイミングの取り方に修正し、開幕後は結果を残してきた。

 もっとも、投手としての大谷は、少しばかり違った。日本の公式球よりやや大きく、滑りやすいとされるメジャーの公式球に順応しきれないまま、開幕を迎えたような気がしてならない。開幕前の最終登板となった紅白戦では、すっぽ抜ける球が多く、そこに引っかかる球が入り乱れ、終始、球筋が一定しないまま、調整を終えた。

 言い換えれば、投打両面でアジャストする時間は不足していた。

抜け球が多い場合、投手はつい……。

 投球のメカニック上、大谷がいかなる修正を加え、公式戦に臨んだのか、その詳細を説明することは、今の時点ではさほど意味を持たないだろう。ただ、「抜け球」が多い場合、投手心理として、抜けることを避けるために、できるだけボールを長く持ち、いわゆる「指先のかかり」と「押し込み」を意識するようになる。

 フォームとしての見た目には変わらずとも、それらのほんのわずかな動作を繰り返すことで、肘への負担が増すとも見られている。

 2014年、メジャー1年目のヤンキース田中将大も、同じように右肘に損傷が見つかり、戦列を離脱。PRP注射による治療を進め、約2カ月半後に復帰した。その後は、靭帯の手術を要することなく、投げ続けてきた。

 今回の大谷が、復帰までにどの程度の時間を要するかは分かっていない。米国の一部メディアには、トミー・ジョン手術に踏み切る可能性が高いと指摘する声も少なくない。

 いずれにしても、少なくとも今季中は、投手としての登板には慎重にならざるを得ず、打者としても右肘への負担を考慮したうえで出場することになる。

 投球フォームの修正、投手、打者としてのコンディショニング、起用法を含め、「二刀流」は新たな模索を強いられることになりそうだ。

文=四竈衛

photograph by Kyodo News

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