再びジェイミー・ジャパンの一員に。期待の若手、松橋周平がケガから復帰。

再びジェイミー・ジャパンの一員に。期待の若手、松橋周平がケガから復帰。

 松橋周平が帰ってくる。

 2016年度のラグビー国内最高峰・トップリーグで、新人賞、ベスト15をダブル受賞。大卒1年目で日本代表に昇りつめたが、昨秋に右膝前十字靱帯を断裂。長期のリハビリを余儀なくされていた。

 そして2018年夏。リコーブラックラムズで3年目を迎えた24歳は、いま8月31日開幕のトップリーグにうずうずしている。

「トップリーグの開幕戦にスタメンで出て、しっかりと良いパフォーマンスを出す。今はそれしか考えていないです」

 調整もあり、強度の高いコンタクト練習はこれからだ。しかしあとは開幕戦へ向けて追い込んでいく段階にある。

 身長180cmと決して大柄ではないが、類い稀な突進力、密集戦でのボール奪取力などを武器に、明治大学2年時からナンバーエイトを担った。

 明大卒業後に入社したリコーでは、ルーキーイヤーでチーム最多の10トライ。ゴール前の勝負所で相手防御を破り続け、日本代表のヘッドコーチ(HC)、ジェイミー・ジョセフの目に止まった。

「追い込んで自信をつけるタイプ」

 代表デビューは、ジョセフHCの初陣となった2016年秋のアルゼンチン戦。松橋はジェイミー・ジャパンの出港当初の乗組員だった。

 勢いそのままに2017年はサンウルブズに初参加。日本代表としてはバックロー(FW第3列)で8キャップを重ねたが、しかし昨年10月の世界選抜戦で、ラックに巻き込まれて靱帯を切り、船を降りることになった。

「正直、ずっと試合続きでした。トップリーグが開幕して、そこからサンウルブズに参加して、日本代表の試合があって。身体と精神をうまく持っていけていない自分がいたことは気づいていて、少しマズいなと思ってはいたんですけど」

 自らを「追い込んで自信をつけるタイプ」という松橋は、がむしゃらに突き進んだ。ジャパンに選出されてまもない若手に「休ませてほしい」と要望する余裕があるはずもなかった。

サッカーの西大伍に言われた一言。

 2017年11月、東京・品川の病院で、松橋は右膝にメスを入れた。約3週間の入院のあと、12月から国立スポーツ科学センター(JISS)でリハビリ。そこで、同じく競技復帰を目指すトップアスリートたちと出会った。

「サッカー、ビーチバレー、陸上、フェンシング、BMX……。いろんなジャンルの選手がいました。そして今では食事会するくらい仲良くなりました」

 松橋はそんな仲間のひとり、鹿島アントラーズの西大伍に、代表復帰への焦りを相談したことがある。西からは、現状ではコーチの評価を変えることはできない、と諭された。「焦ってもしょうがない」と納得できた。

 競技の枠を越えた仲間、新たな考え方と出会いが刺激的だった。リハビリ中に手にした財産は他にもあった。

 明大ラグビー部の理学療法士も務める真木伸一氏の個人ジムで、それまで感覚に頼っていた身体操作を見直した。「切り返しやダッシュがスムースになりました」。今後のキャリアを見据え、プレーの基礎作りに専念することができた。

日本代表に控える超弩級のビッグマッチ。

 ピッチ外でも大きな変化があった。今年4月からプロ選手になったのだ。

「大学時代からプロという選択肢はありました。リコーには日本人がプロになれる制度があるので、そこは(選んだ理由として)頭にはありました」

 今年11月、日本代表は超弩級のビッグマッチを控えている。世界最強のニュージーランド代表“オールブラックス”、そして前日本代表指揮官エディー・ジョーンズが率いるイングランド代表と対戦するのだ。

「11月は僕のターゲットですが、その前にトップリーグという、目の前の大きな目標があります。そこを1つずつクリアしていったら、そこ(11月の日本代表戦)にたどり着くだろうと思っています」

 代表復帰の確約はもちろんない。

「ただ、一応サンウルブズにも参加させてもらっていたので、見てはもらえると思います。そこでしっかりアピールすることが僕の仕事です」

世界的にハイレベルな、日本のFW第3列。

 代表復帰は到底、生易しくない。なにしろ松橋のポジションである日本代表のFW第3列は、世界的に見てもハイレベルだ。

 W杯2大会連続で日本代表主将を務めることが濃厚なリーチ マイケル。すっかりスーパーラグビーのスター選手となったアマナキ・レレイ・マフィも競争相手だ。

「みんなすごい選手ですし、それぞれの持ち味があります。僕も普通の選手にはなっちゃいけない、日本代表のバックローは“スペシャル”じゃないといけないと思っています。全部のプレーを高いスタンダードでやることはもちろん、ブレイクダウンであったり、ボールキャリーの部分をさらに磨きたいと思っています」

 2019年秋、ジェイミー・ジャパンはいよいよW杯本大会という嵐の中を航海する。乗組員は限られている。しかし幾度も荒波を乗り越えてきた松橋は、自信に満ち溢れている。どんな場所にも辿り着ける。精悍な眼がそう言っている。

文=多羅正崇

photograph by Masataka Tara


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