ロシアW杯で誰が、どう儲かったのか?“クローズド”な構造を“オープン”に。

ロシアW杯で誰が、どう儲かったのか?“クローズド”な構造を“オープン”に。

 サッカー日本代表が決勝トーナメントに進出し善戦を見せたこともあり、ワールドカップ(W杯)が国内でも大きく盛り上がっています。

 日本代表の結果は素晴らしいものだと思いますが、私には1つ気にかかったことがあります。

 このW杯を通して、果たして誰が儲かったのか?

 ビジネスの機会としてのイノベーションはあったのか?

 試合当日は、テレビ観戦できる居酒屋やスポーツバーなどが満員になったかもしれません。しかし、それはあくまでも1日限りのことで、365日というスパンと規模で考えると、大きな経済効果とはいえないでしょう。

W杯の熱狂が日本でのビジネスに繋がってないのでは!?

 お会いしたとあるJリーグOBの方は解説で忙しく、寝られないと言っていましたが、そのような仕事が回ってくる人は限定された存在です。

 レプリカユニフォームは売れたのかもしれません。ただし、私の印象では、今大会用のユニフォームを着たファンや子どもを街中で見かけるというほどではありませんでした。

 決勝トーナメントに進んだからと、急遽飛行機の便を取りロシアに行き応援したという人も、私の周りにはいません。

 急遽盛り上がったこともあり、全体を見渡すと、熱狂とビジネスチャンスと利益の大きさが釣り合っていないと、ふと感じました。

 そこで考えさせられたのが、W杯関連のものごとが、“オープン”であるか“クローズド”であるか、という問題です。

W杯、五輪は“クローズド”で逆に損をしていないか?

 FIFA管轄のもと、大会のロゴはもちろんのこと、「W杯」や「ワールドカップ」という言葉はオフィシャルのスポンサー以外は容易に使用できないそうです。

 これはW杯に限らないことで、ラグビーW杯も、オリンピックにおける五輪マークも同様です。

 世界規模の大きな大会ですが、それを活かしてビジネス機会を創出できるのは、主催者や開催国の機構や、それに連なるごく一部の企業や人々。クローズドな世界だといえると思います。

 私はITの世界で働いていた経験も多いため、ビジネスの権益や根本の思想などに対し、イノベーションを前提とした目線で疑い、考える癖が付いています。

 ITでは頻繁に起こる、既存のシステムや収支モデルのパラダイムシフト。構造をひっくり返すことで、アマゾンやアップルなどが隆盛してきた時代を目の当たりにしてきました。そのため、どのように根本が変わったら、合理的なイノベーションが起こるのだろうかと、現状を疑問視するところから考え始めます。

 そこで気になったスポーツビジネスにおける根本的な構造が、クローズドとオープンという概念でした。

スマートフォン市場はなぜ爆発的に拡大したか?

 スマートフォンを例に考えてみましょう。

 アプリは誰でも作成することができ、本体を収めるカバーも自由に製作・販売ができます。スマートフォンを持つそれぞれの人が好きなカバーをつけ、便利なアプリを使用できる。その無限な広がりが、全く同じような工業デザインのスマートフォンを、十人十色な“私のスマホ”に作り変えてくれます。

 結果として、とんでもなく大きな市場になりました。

オープン化することで、さらに価値が上がる!?

 このような「集合知」が、IT産業の発展に大きく寄与していることは間違いありません。

 1人がコントロールする世界でのアイデアや知識や行動には限界があります。中心の存在が握るのは根幹だけ。他はすべて、ソースコード、設計図までオープンにすることで、多くのアイデアと知恵が生まれ、イノベーションを高め、全体の規模や価値が高まります。

 スポーツビジネスにおいても、オープンな環境を整える、オープン化にシフトするとどんな世界が待っているのでしょう。

渋谷センター街を歩行者天国にして正式なお祭りに!

 アメリカのプロスポーツビジネスは、数年前からその世界に乗り出しています。

 多くの人がアイデアを創出し、利益を得、人々の接点が広がり、結果として競技のマーケットのイノベーション的発展につながっているのかもしれません。

 私が横浜DeNAベイスターズの社長だったころ、「I☆YOKOHAMA」という言葉は版権をフリーにしていました。街のバーも飲食店も、グッズの展開も、オープン化していきたいと考え、そのように公表していました。

 代表戦の後には、渋谷のセンター街が必ずといっていいほど盛り上がりますが、現状ではただの騒ぎで、ビジネス機会を何も生み出していません。

 代表戦の時だけセンター街を歩行者天国にして、パブリックビューイングを行う。入場料を取り、現地でビールやグッズなどを販売する。

 道路交通法などの大きな障害があることはもちろんわかっています。ですが、これくらい自由でオープンでもいいのではないでしょうか。

オープン化でビジネス機会が爆発的に広がるはず!

 誰が利益を得ているのかよくわからないW杯より、みんなが参加して、誰でもグッズ製作や企画立案に関与できるような大会であってほしい。

 そうすれば、街中に日本代表をモチーフにしたおしゃれなアパレルが散見する世界になるかもしれません。

「オープン化」することで「集合知」を得ると、どんなビジネス機会が生まれ、魅力的になっていくのだろう……。

 多くの人を巻き込むW杯を観ながら、ふと考えてしまいました。

文=池田純

photograph by Kyodo News


関連記事

おすすめ情報

Number Webの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

スポーツ アクセスランキング

ランキングの続きを見る

スポーツ 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

記事検索