サンウルブズ、今季最終戦を前に――。流大「僕らは絶対に勝てるようになる」

サンウルブズ、今季最終戦を前に――。流大「僕らは絶対に勝てるようになる」

これまで3勝12敗――。スーパーラグビー挑戦3年目ながら、シビアな数字を突きつけられているサンウルブズ。今季も残すは7月13日のレッズ戦のみとなった。チームのオフィシャルカメラマンを務める近藤篤氏に、ヴィリー・ブリッツとともに共同キャプテンを務める流大(ながれ・ゆたか)が、今季の回想とサンウルブズの可能性について語った。

流(以下略)「今シーズンを振り返ると、本当にあっという間でしたね。いや、でも、長かったなあっていう感覚もあります(笑)。とにかく、レッズ戦の1勝(5月12日、秩父宮にて。それまでチームは9連敗)までがひたすら長かったです」

――初めてのプロ生活?

「そうです。サントリーでは社員契約で、僕は営業部に所属しています。

 まず午前中は出社して内勤、午後は量販店のお得意さんを回って、営業トークをしたり、会社の商品をより目立つところに置いてもらったりしています(笑)。

 それがサンウルブズの活動が始まってからは、朝から晩までひたすらラグビーに集中できました」

――同時に、サンウルブズのキャプテンも任されました。

「そこに関しては、キャプテンであるなしにかかわらず、勝てない時間の中でいろいろな葛藤もありましたね。

 1月の終わりに別府で合宿をスタートして、その合宿で自衛隊の訓練にまで参加して、そこでボコスカにされて(笑)。何部練なのかもわからないくらい練習もした。

 明らかに積み上げて来られている、着実にチームは成長しているなって感じられる、でもなぜか勝てない、そこがかなりきつかったです」

「これからまだまだ良くなるっていう確信も」

――でも、外から見ていると、チームの雰囲気は悪くなかった。

「そこはベテランの選手たちに助けられました。開幕から3戦目、南アフリカ遠征の頃は、メンバーに選ばれている選手とノンメンバーの温度差がありましたから。

 みんなチームのために何をすべきか、なぜ自分が選ばれなかったのかをもっとしっかりヘッドコーチ(HC)に説明してもらうとか、そういうことを堀江(翔太)さんを中心にコーチ陣と話し合ってもらえたことは本当に大きかったと思います」

――どのあたりの試合が一番きつかったですか?

「やっぱりワラターズ戦(4月7日)、ブルーズ戦(4月14日)とホームで負け続けたあたりですね。

 ブランビーズとの開幕戦(2月24日)もいい準備はできていたので勝てると思って臨んだんですが、結果的には7点差(25−32)でした。僕の致命的なパスミスもあって負けてしまいましたけど、チームとしては十分戦えていたし、これからまだまだ良くなるっていう確信もありました。

 実際その後の南アフリカ遠征では昨季準優勝チームのライオンズ相手に2点差のゲームを演じて(3月18日。38−40)、内容的にもさらに上がってきていた。チーフスには負けましたが、なんとか自信もついてきて、さあいよいよホームの秩父宮で絶対に勝たなきゃいけない、って迎えたのが、ワラターズとブルーズとの2試合だったわけです」

「ちょっとした隙を、エグいくらい突いてくる」

――でも、やっぱりまだ力が足りなかったということ?

「ワラターズ戦は入りも良かったし、トライも取れていた。よし、これは行けるぞって感覚はあったんです。でも、これはワラターズに限ったことではないですが、僕たちのちょっとした油断、ちょっとした隙を、相手はエグいくらい突いてくるんです。

 そういう時間帯をジェイミー(・ジョセフHC)は、“ソフトモーメント”って表現するんですが、そこで一気に襲いかかってくるのがスーパーラグビーのチーム。このリーグは、ちょっとした隙で全ての流れを変えられるチームばかりなんです」

「無理かな、って思った試合は一度もありません」

――そこまで負けが込んでくると、ダメだ、どうやっても勝てないというマインドになったりしないんですか?

「いえ、それはないです。

 僕は毎試合、相手がどのチームでも、今週は絶対に勝てるぞって確信を抱いて試合に挑んでいるんです。この相手だとちょっと無理かな、って思った試合は一度もありません。

 月曜日から金曜日まで懸命に準備を重ねて、チームメイトとお互いにコミュニケーションをとって、ディスカッションもして、最高の準備をして、これはイケるやろって確信して、週末の試合に臨みました。もちろん最初の頃はまだまだ足りなかった部分があったことは認めます。でも、今季初勝利を挙げたレッズ戦を例にとれば、ずっと励まし続けてくれたファンの皆さんの前で、秩父宮での最終戦は絶対に勝たなきゃいけないと感じていただけでなく、本当に勝てるって感じていましたから。

 それまで以上に大きなボリュームで、勝てるっていう確信がありましたね。うまく言葉で表せないんですが」

「いっそのこと怒鳴られたり、罵倒された方が(笑)」

――秩父宮に足を運んでくれたファンの皆さんは、基本的に優しかったですよね。選手たちも、敗戦後もしっかりとスタンドの人たちに挨拶をして、サインや握手、記念撮影、丁寧なファンサービスをしていました。

「そこは毎試合、チームの中で共有していました。

 結果がどうであれ、秩父宮にきてくれたお客さんには最高の対応をしようと。もちろん勝つことで皆さんに喜んでいただけたら最高だったんですが……。負けても、負けても、温かい言葉で応援してくれる、本当にそこは感謝の言葉しかありません。

 でも、どんなに負けても励まされるって、正直結構きつかったりします。いっそのこと、怒鳴られたり、罵倒されたりした方が、よっしゃ、そこまでボロカスに言うなら、次絶対にやったるわい! ってなれますもんね(笑)」

「本当にギリギリの試合をやらないと勝てない」

――それはそうですが、観ている側としては、ダークサイドに落ちて強くなるのも、どんなもんかなと思ったりもします。

「サンウルブズというチームは間違いなく、南アフリカ勢にも、オーストラリア勢にも、そしてニュージーランド勢にも、勝てるか勝てないか、というところまでのゲームを演じられるところまではきていると思います。

 ただそこで、サンウルブズの場合は本当にギリギリの試合をやらないと勝てない。70、80%の力を出しただけでは絶対に勝たせてもらえない。

 レッズ戦(63−28)は結果的に点差の離れた試合になりましたが、あと2つの勝利、ストーマーズ戦(5月19日。26−23)もブルズ戦(6月30日。42−37)も本当に僅差でした。

 先日のワラターズ戦(7月7日。25−77)のように1人退場になって14人で戦うとなると、まだまだチームには経験も実力も足りないんだということを実感させられました」

2019年の後はサンウルブズは不要……という意見も。

――その差というのは、個人の実力の問題なんでしょうか?

「もちろん個人の実力を上げていくのは大前提ですが、同時に、チーム全体としてのインテンシティ、強さ、経験値を全て上げないといけないですね。

 特にニュージーランドのチームとやるとそれを感じます。

 途中まではクロスゲームで進められるし、相手も明らかにプレッシャーを感じながらやっているんですが、最終的には20点離されてゲームが終わるんです」

――もともと代表チームの強化のために始めたんだし、どうせ勝てないんだから、2019年のW杯が終わったらサンウルブズは不要、そんなちょっと乱暴な意見もあると聞きます。

「うーん、人にはそれぞれ意見があって、価値観がありますからね。みんな自分の思ったことを言うのはいいと思いますよ。

 ただ、今シーズン戦ってきた選手の1人として言わせてもらうなら、この経験は日本ラグビーにとって絶対に必要なものだと、僕は感じますね。シーズンを通じてテストマッチで得られる経験は限られていますし、対戦相手も限定されます。

 スーパーラグビーには、スプリングボックス、ワラビーズ、オールブラックス、他にも様々な国の超一流選手がゴロゴロいます。これだけのクオリティの選手と戦える機会は他にないし、その機会を自ら手放してしまうのは、日本ラグビーにとってあまりにももったいないですよね」

「僕らは絶対に勝てるようになる」

――今シーズン、チームはトップ5入りを目標に掲げていました。その目標は幕が上がってみると、言葉はちょっと悪いですが、かなり向こう見ずなものだったようにも思えます。流選手自身は、今後のサンウルブズの可能性をどう捉えていますか?

「うーん、確かに現状では、サンウルブズがトップ5に入れるとは思いません。

 でも、なんていうんですかね、僕は肌で感じるんです。このまましっかりとこの調子で進んでいくことができれば、勝てるんじゃないか、って。

 これだけ負けておいて、何を言ってるんだ! ってお叱りは受けると思うんですけど、僕は本当に感じるんですよ。

 僕らは絶対に勝てるようになるだろうって。それが僕の正直な気持ちです」

文=近藤篤

photograph by Atsushi Kondo


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