池田純が語るボクシング連盟騒動。「全てはトップの問題なんです」

池田純が語るボクシング連盟騒動。「全てはトップの問題なんです」

 日本ボクシング連盟の問題が話題になっています。でも日大アメフト部や、レスリング協会もそうでしたが、こういったことは本当にどこにでもある話のように私には思われて仕方ありません。

 別のスポーツの協会でも同様の問題があると耳にしたことがありますし、グローブを1社としか契約してなかった、みたいな話は結構いろんな人が知っている話だと、かつてより私ですら耳にしていました。

 でも、批判する人、否定的発言をする人、ストレートな本質的発言をする人、偉い人に忖度しない進言をする人、偉い人より発言が民意を得てしまう人は、いわゆる面倒くさい人と位置づけられて、中からはすぐに排除されてしまう。

 メディアもそうで、批判的なことを書くとすぐ出入り禁止になってしまう。だから忖度が起きたり、何の解決にもならないぬるい議論になったりするわけです。どこも“内向き”の組織で、外部の人を入れない。大胆なビジョンを持っている人間に思い切って任せることもしない。なんなら選挙すら行われていない。密室で行われている事なんて外部の人からしたら全くわからない。

ガバナンスが通用しないクローズドな社会。

 みんな立場にしがみついてしまっているわけです。これは、安易に甘い蜜を吸えるからというだけで片づけられることではありません。スポーツには大勢のファンがいて、そしてそのファンが応援する選手たちがいる。

 それら全てを自分の下に置けるわけです。それで自らを天上人だと勘違いしてしまう人がたくさん出てくる。だから「俺が育てた」となってしまう。

 全てはトップの問題なんです。リーダーの問題。日本や地域の発展に貢献したり、世の中を変えたりといったことを考えずにその競技を牛耳っていれば、あとは自分が理解してコントロールできる範囲で物事を動かして、ガバナンスが通用しないクローズドな社会で権力と立場を固めていくわけです。

 普通の企業なら当たり前に考えていることにも、目が向いてない。経営は集合知なので、いろんな人を巻き込もうと思ったらグローブなんか1社と契約してる場合じゃないんです。

本当の意味での“ドン”とは。

 結局のところトップに立つ人に理念がない、これに尽きます。私ボクシングが好きで、国体に井上尚弥選手(現・WBA世界バンタム級王者)の試合を観に行ったことがありますが、客席はガラガラでした。今の人気からは想像できないくらいです。

 彼にだってアマチュア時代があったと知っている人も少ないのではないでしょうか。同じアマチュアでも高校野球はこんなにもメジャーなのに、もったいない話だとは思いませんか。

 今回こういう問題が出たときに、かばう人がいるどころか身内からも告発する人が出てくる。もしこれまでに彼が本当の課題を解決してきて、ボクシング界を発展させてビジネスにも繋げていたら、本当の意味での“ドン”と周りどころかボクシング界を超えて呼ばれるでしょう。

理念を打ち出すのがリーダーの仕事。

 スポーツは公共財です。みんなが好き勝手言っていいし、全員がオンブズマンであるべきもの。そうした批判を乗り越えられる理念を打ち出していくのがあるべき姿で、乗り越えられないなら外部からでもリーダーを抜擢して、発展させていく必要があるんです。

 最近のアメリカではMLS(メジャーリーグサッカー)がすごい勢いで盛り上がっています。サッカーが根付いていなかった地域であそこまで大きく話題になるのはすごいこと。今の日本で、MLSのように新しく根付くスポーツはないでしょう。

 でも組織のトップが替わったらわかりません。ビジョンを持って客観的に組織運営ができる、そんなリーダーが日本には必要でしょう。外の声を受け入れられるオープンな組織が生まれて初めて、日本のスポーツ界も変わるのかもしれません。

文=池田純

photograph by Kyodo News


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