ドイツは今季もバイエルン無双?まず長谷部フランクフルトが挑む。

ドイツは今季もバイエルン無双?まず長谷部フランクフルトが挑む。

 ドイツは熱波が続いています。

 僕の住むフランクフルトはここ2週間連続で32度超え、最高気温37度を記録した日もありました。「ヨーロッパは湿度が低いから体感温度はそれほど高くないでしょ」という声が聞こえてきそうですが、今夏は湿度60%超えの日もざらでして、7月8日は最高湿度89%にもなる蒸し暑さでした。

 クーラーのないアパートメントは地獄です。風呂場で水を浴びようとしたら、蛇口から出てきたのは水道管内で温められた完全なお湯……。また、先日ベルギーへ行った際は、ドイツの新幹線であるICEのクーラーが故障してまさかの温室状態。仕方がないので他の車両へ逃げ込みましたが、帰路でもクーラーが故障している車両に当たってしまいました。なんたる不運……。

 これまでドイツではクーラーを全稼働させる時期は2週間ほどだったのですが、今夏のヨーロッパは1カ月くらい熱波が続いているので、不測の事態が続出しているのでしょう。現地の方によると「今年は異常だよ! さすがにドイツ、こんなに暑くない!」とのこと。もうしばらくは辛抱が必要かもしれません。

ハンブルガーは2部で黒星発進。

 さて、ドイツサッカー界の動向ですが、ブンデスリーガ2部はすでに8月3日に開幕し、昨季クラブ史上初の降格を喫したハンブルガーSV(HSV)がキールに0−3で敗れる波乱がありました。

 いや、もはや波乱と言うべきかどうか迷うところです。昨季2部3位となり、1部16位ヴォルフスブルクとのプレーオフで惜しくも敗れたキールに対して、HSVは手も足も出ず完敗してしまったのです。

 2部のクラブとしては、1部からの降格組で、今も多くのサポーターを有するHSVとの対戦はモチベーションが上がること間違いなし。HSVは今後も厳しい戦いが続きそうです。特に、同じくハンブルクを本拠地とするザンクトパウリとのダービーマッチは熱戦必至。ザンクトパウリが大半の期間を下部で過ごしているため、今季は2010-2011シーズン以来の対戦です。

 ちなみに、2011年2月6日に予定されていたダービーは雨によるピッチコンディション不良の影響で10日後に延期されたのですが、怒ったサポーターたちがハンブルク市内で暴れ回った記録があるそうです。

プロテクトされたレバンドフスキ。

 さて、肝心のブンデスリーガ1部の2018-2019シーズンですが、こちらは8月24日のバイエルンvs.ホッフェンハイム戦で幕を開けます。

 昨季は2位シャルケに21ポイント差を付けて史上初のリーガ6連覇を成し遂げたバイエルンですが、CL準決勝でレアル・マドリーに敗れ、調子を崩した主力選手たちの多くはロシアW杯で低調なプレー内容に終始しました。

 バイエルンでプレーしていれば国内リーグは安泰。でも、トップオブトップとも言える欧州の舞台では遅れを取っている……。そんな危機感のため、今夏の移籍マーケットではバイエルンの主力選手たちの動向が連日報道されていました。

 特に去就が注目されたのが、ポーランド代表FWのロベルト・レバンドフスキです。

 昨季30試合29得点を記録したストライカーにはレアルやマンチェスター・U、パリSGなどからオファーが舞い込みました。でも、結局バイエルンのウリ・ヘーネス会長があの強面で「我々はサッカー界に対して、選手よりもクラブの方が立場が上であるということを示していく」と言い切り、彼のプロテクトを明言しました。

ビダルはバルサへと旅立ったが。

 また、守備の要であるジェローム・ボアテンクも移籍を希望してマンチェスター・Uのジョゼ・モウリーニョ監督と会談の場を設けたと報道されましたが、こちらも新指揮官であるニコ・コバチ監督と話し合った上で誘いを断り、コバチ監督も「ジェロームがチームに残ることを確信している」と語っています。

 コバチ監督は「兄のケビン・プリンス・ボアテンクとはフランクフルトでうまくいっていた。ここでもうまくいくと思っている」とも述べていますが、いくら兄弟と言っても、ケビンとジェロームでは性格がまったく違うような気がします。

 そんななか、バイエルンの大物で移籍が決まったのは、チリ代表MFのアルトゥーロ・ビダルです。8月3日にバルセロナと3年契約を結び、ミュンヘンを離れました。ただ、バイエルンはすでにドイツ代表MFのレオン・ゴレツカをシャルケから獲得していたため、31歳のビダルについては当初から移籍を容認していたようです。

 結局バイエルンは、その他ではすでに昨季レンタル移籍させていたダグラス・コスタを完全移籍でユベントスへ放出した以外は、大物が去る気配はなさそうです。

今季の移籍市場はバイエルンに優位。

 今季の移籍マーケットは、バイエルンにとって優位な状況であるとも言えます。

 なぜなら、プレミアリーグが今季から移籍期間を前倒しして6月9日から8月9日までとしたためです。FIFAが定めた他国(イタリアを除く)の移籍期限は今季も8月31日なので、約20日も早くマーケットが閉まることになります。

 今回プレミアリーグが移籍期限の前倒しを決めたのには理由があります。新シーズンが開幕しても市場が開いていると、資金力のあるクラブが開幕後のチーム状況を鑑みて選手を獲得、放出する可能性があります。そうすると、しわ寄せを食う形で小中規模チームが編成の再考を余儀なくされる。

 そうした事態を避けるため、複数のクラブから移籍期限の前倒し、つまりシーズン開幕前に「マーケットを閉めてほしい」との要望があったのです。ちなみにプレミアリーグでは20チーム中14チームが移籍マーケット期間の変更に賛成し、マンチェスターの2チームは反対に票を投じたそうです。

 ブンデスリーガは今季も8月31日が最終日で、スペインやフランスと一緒です。ドイツの盟主であるバイエルンにとっては、イングランドのビッグクラブからの選手引き抜き攻勢が早々に終えられるので、自らは腕を組み、シーズンが開幕する8月24日からの1週間で新たな対策を講じられるというわけです。

 バイエルンの代表取締役社長であるカールハインツ・ルンメニゲは「個人的には短い期間の移籍ウインドーに賛成だ。3カ月は間違いなく長すぎる」と語っていますが、内心ほくそ笑んでいるのかもしれません。

かつての名選手がコーチ、SDに。

 昨今のバイエルンは“ファミリー化”が進んでいます。

 フランツ・ベッケンバウアー名誉会長、ウリ・ヘーネス会長、カールハインツ・ルンメニゲ代表取締役社長は、いずれもドイツ代表で名を馳せ、バイエルンの黄金期をも支えたレジェンドたちです。

 また、現場では今季から監督を務めるニコ・コバチがチームを指揮して、アシスタントコーチのロベルト・コバチが兄を支えます。昨季途中のカルロ・アンチェロッティ監督の解任を受け、1試合だけ代行監督を務めたウィリー・サニョルは、テクニカルアシスタントコーチに就任。

 なおコバチを招聘したスポーツディレクターはハサン・サリハミジッチで、つまり、かつてバイエルンに所属した人々が続々と現チームに関わっているのです。

ヘーネス会長は収監後また復職。

 昨季途中、フランクフルトの監督をしていたニコ・コバチを“強奪”した際は喧々諤々の論争が巻き起こりましたが、バイエルン首脳陣はどこ吹く風です。

 振り返れば、2014年3月に脱税の罪で有罪判決を受けて収監されたウリ・ヘーネス会長は2016年2月に模範囚として刑期が縮小されて出所すると、同年11月唯一の候補者としてクラブの会長選挙に立候補して当選。見事に復職しています。まさに沈黙の掟。ドンに誓いを立てた者たちの結束は、もはや揺るぎないのでしょう。

 クラブ経営が安定しており、豊富な資金を有し、観客動員も突出。もはやバイエルンに隙はないとも思えるのですが、国内1強の状況を心よく思っていない僕としては、ここはやはり波乱を期待したいところです。

気になるのはロベリーらの高齢化。

 先述したように、バイエルンは主力選手の放出を免れています。しかし、キャプテンのマヌエル・ノイアーが32歳、アリエン・ロッベンが34歳、フランク・リベリーが35歳。マッツ・フンメルスとボアテンク、中盤のハビ・マルティネス、そしてレバンドフスキも今年で30歳を迎えます。

 ニクラス・ズーレ、ヨシュア・キミッヒ、キングスレー・コマン、コランタン・トリソ、そして今季加入したゴレツカなどの若手もいますが、主力の高齢化による世代交代の時期は着々と迫っていて、タイトル防衛、もしくはCL制覇のためにはハメス・ロドリゲス、チアゴ、トーマス・ミュラーらの中堅どころの活躍は必須でしょう。

 8月12日のドイツスーパーカップでは、昨季王者のバイエルンとDFBポカールを制したフランクフルトが対戦します。ここで、我がアイントラハト(フランクフルトの愛称)がホームのコンメルツバンク・アレナで“バイエルン・ファミリー”を打ち負かしてくれれば……。今は、そんな淡い期待を抱いている次第です。

 最後に一言。「マコト・ハセベ、頑張れ!」

文=島崎英純

photograph by Getty Images


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