ヤマハ・清宮監督「もちろん日本一」トップリーグの短期決戦が始まる。

ヤマハ・清宮監督「もちろん日本一」トップリーグの短期決戦が始まる。

 8月31日、ラグビー国内最高峰のトップリーグが開幕する。

 今年は短期決戦だ。2019年W杯へ向けた日本代表の準備期間を確保するため、試合数は昨季から5試合減り、10試合となる。

 昨季3位のヤマハ発動機ジュビロ・清宮克幸監督は、観る側の楽しみをこう語る。

「試合数が減ったことによって、試合の密度は高まります。お互いのチームが、エネルギーをより注力してくる。質が高くて、熱があって、競った試合が増えるでしょう。そこはプラスだと思います」

 リーグ戦はわずかに7試合だ。参加16チームが2組に分かれ、1回戦総当たりを行う。

 この7試合により、天地が分かれる。

 各組で上位4位以内に入れなければ、その時点で優勝への道は断たれる。その後3試合ある順位決定トーナメントで、9〜16位が決まる。

 全チームが、まず7試合を全速力で駆け抜ける。観戦者にはスリリングだ。しかし、懸念もある。

「試合数が少なくなることで、いろいろな可能性も少なくなる。チャレンジをするメンバー構成とか、そういうものが少なくなるので、ラグビー全体にとっては良くないことでしょう」

 今年は全5試合のカップ戦も新設されたが、「公式戦でしか味わえない空気というのはある。それはプロ野球でも一緒」と清宮監督は言う。

 若手に経験を積ませたい。しかしリスクの大きい布陣は避けたい――。今季は多くの指揮官が、こうした逡巡を経験することになるかもしれない。

ヤマハをトップリーグの強豪に育て上げた。

 ヤマハ発動機を率いて8年目になる。

 1967年大阪府に生まれ、茨田高、早稲田大、サントリーと進み、2001年監督就任の早大では、5季で対抗戦5連覇、大学選手権優勝3回など黄金期を築いた。

 サントリー指揮官を経て、2011年にヤマハ発動機へ。今でこそポピュラーなレスリング練習をいち早く採用するなど、ピッチ内外で辣腕を発揮し、チームをトップリーグ4強に再興した。

新戦力が加わっても、軸のスクラムは不変。

 トップリーグ王者へ向けては、今年に入って南アフリカ代表にデビューした快速フランカー、クワッガ・スミスを獲得。注目を集めている。

「(クワッガ・スミスは)流れを読み、流れを変えられる。そういう選手がヤマハのフォワードにひとり加わると、チームは大きく変わるかなと思っています。ただ、チームがやることは変わりません」

 ヤマハ発動機の変わらないもの。

 そのひとつは、2011年から清宮監督、長谷川慎FWコーチ(現日本代表スクラムコーチ)が二人三脚で注力してきたスクラムで間違いない。

 国内チームの多くがニュージーランドなど南半球のラグビーを追いかけるなか、スクラム練習をするためだけにFW選手が北半球のフランスへ遠征。前代未聞の取り組みで強化してきた。

「(スクラムへのこだわりは)今年も変わりません。時間をかけて、プライドをもって作った部分は、他のチームと差が出るところ。そこを軸にゲームを組み立てていきます」

 日本ラグビー屈指の名将は、就任4年目の2014年度にヤマハ発動機を日本選手権初優勝に導いている。

日本一までに越えるべき「最後の一線」。

 ただ、トップリーグ王者の栄誉にはいまだ浴していない。目指すところは言うまでもない。

「もちろん日本一。この4年間トップ4を維持しているので、最後の一線を越えるべく、自分たちの強みを作っていきたいですね」

「相手が誰であろうとも、ヤマハのプライドはセットプレー(スクラムやラインアウト)にある。そういうプレーが目立つ試合をすれば、ヤマハの力を発揮できるんじゃないかなと思います」

 短期決戦の号砲は、8月31日だ。

文=多羅正崇

photograph by Masataka Tara


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