堂安律も若手気分でいられない?欧州リーグの平均年齢と外国人比率。

堂安律も若手気分でいられない?欧州リーグの平均年齢と外国人比率。

 神童、ワンダーキッド……。新たな時代を象徴する選手を目にした時、人々はそんな言葉を口にする。

 その舞台が4年に1度の世界的祭典となれば、このフレーズのインパクトはさらに増す。今年のロシア大会でのキリアン・ムバッペが、まさにそんな存在だった。ひと昔前ならセンターサークルからのドリブルでゴールを奪ったマイケル・オーウェンだろう。

 ブラジル大会決勝戦でゴールを決めたマリオ・ゲッツェは、17歳でプロデビュー。18歳でフル代表デビューすると、勢いそのままにドルトムントのリーグ制覇に貢献している。

 彼らの元祖は、ムバッペ以前にただ一人10代のうちにワールドカップ決勝でゴールを決めた「王様」ペレになるのだろう。

欧州では何歳まで「キッド」?

 こうした選手たちを思い起こすと疑問が浮かぶ。何歳まで「キッド」なのか? 欧州で日本の大卒選手のように、22歳がルーキー扱いされることはない。10代であろうと常に結果が要求され、選手は厳しい競争にさらされ続ける。

 そうした欧州の土壌が生む「育成力」を見ていく上で、平均年齢を見てみよう。

<リーグ平均年齢・外国人比率一覧>
平均年齢(歳)/外国人比率(%)

リーガ・エスパニョーラ(スペイン) 27.0/40.0
プレミアリーグ(イングランド) 26.8/67.6
セリエA(イタリア) 26.3/57.5
ブンデスリーガ(ドイツ) 25.3/52.9
リーグアン(フランス) 25.3/47.4
プリメイラ・リーガ(ポルトガル) 26.1/62.6
ジュピラー・プロリーグ(ベルギー) 24.8/63.6
オーストリア・ブンデスリーガ(オーストリア) 24.6/28.7
エールディビジ(オランダ) 24.1/36.9

 ※並びは上からUEFAランキング順。数字は'18年9月1日時点のもの。

 24.1歳。こう聞くと、随分若いチームだと思うかもしれない。だが、これはオランダのエールディビジまるごとの平均年齢である。

 狭い国土から世界的名手を輩出する育成大国らしく、この平均年齢は欧州に54ある1部リーグ中3番目の若さとなる。その上はエストニアとスロバキアという小国であり、欧州トップレベルのリーグでは抜きんでた数字だと言っていい。

堂安も若手気分ではいられない。

 さらにリーグ内に目を転じれば、一番若いクラブは平均22.7歳のフローニンゲン。20歳になった堂安律も、若手気分ではいられない。エールディビジでは今季第3節まで終えた時点で、17歳以下の3人を含む、12人の18歳以下の選手がリーグ戦に出場している。

 反対に平均年齢の高さが目立つのが、54リーグ中49番目のスペイン(平均27.0歳)、48番目のイングランド(同26.8歳)だ。ラ・リーガは世界的名門のバルサやR・マドリーのけん引により、UEFAのリーグランキングでダントツのトップに立ち、英プレミアは世界で最もリッチなリーグだ。いわば、選手たちの出世のラストステップと言ってもいい場所なのだろう。

国際性にもリーグごとの特徴が。

 この2つのリーグの競争力を保つのは、多様性である。世界中からトッププレーヤーが持ち寄る個性が、切磋琢磨のレベルを上げている。

 特にプレミアリーグは外国籍を持つ選手の占める割合でトップに立つ。もはや自国の選手はマイノリティというわけだ。南米などEU外地域の出身者を含めて、欧州では複数の国籍を持つ選手も多い。リーグによって枠数もホームグロウンの解釈の仕方もまちまちと、外国人選手に関するレギュレーションも様々だ。だが、外国籍選手が10人に満たないのはボーンマスだけというプレミアは、やはり突出している。

「国際性」で個性と居場所を確立し、上位リーグを支える国もある。外国籍選手比率が63.6%のベルギーや、62.6%のポルトガルがそうだ。日本企業がオーナーのシント・トロイデンに招かれ、今夏に日本人選手が多く渡ったベルギーは、平均年齢の若さも売りだ。ポルトガルは南米からの金の卵の輸入も大きな利益につなげている。

 オーストリア・ブンデスリーガの外国人選手率は3割にも満たないが、目を引くのが南野拓実も所属するザルツブルク。同じ親会社を持つドイツ・ブンデスリーガのライプツィヒとの選手交換というからくりはあるが、他クラブがすべて1ケタである中、20人を超える外国人選手を抱える。焚きつけられる選手の野心を原動力に、昨季も独走でリーグを制した。

中間に立っているのがブンデス。

 そうした選手流通の中間に立つのがドイツ・ブンデスリーガだ。外国人選手の比率も平均年齢も、バランスが取れている。今季開幕戦のピッチにも、3人の18歳が立った。2季前にリーグを驚かせた昇格組のライプツィヒは、選手の若さを武器の一つとした。

 同じような選手構成のフランス・リーグ1と並んで、一足飛びに英国へ渡らない選手をショーウィンドウに並べつつ戦力もアップと、現在と未来の両にらみで補強している。

 では、欧州への選手供給源の一つである日本は、この世界にどう組み入れられていくべきか。外国人選手枠撤廃案、逆にその案への反対意見も聞こえてくるが、現状のままでは競争力は不十分だ。

 体ができあがる年代にも違いはあるが、いつまでも「奥手」ではいられない。Jリーグの設立当初、外国人監督たちが積極的な若手起用で「プロの矜持」を見せていたことを忘れてはいけない。

文=杉山孝

photograph by Getty Images


関連記事

おすすめ情報

Number Webの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

スポーツ アクセスランキング

ランキングの続きを見る

スポーツ 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

記事検索