10年前のドラフトから考えるヤクルト。失敗でもなく成功でもないその戦略。

10年前のドラフトから考えるヤクルト。失敗でもなく成功でもないその戦略。

 毎年ヒートアップし続けている「プロ野球ドラフト会議」。今年も夏の甲子園の熱気をそのままに、秋の空を熱く焦がしています。そこでNumberWebでは、誰よりもドラフト会議を知るジャーナリスト・小関順二氏に依頼し、全12球団の10年前のドラフトを振り返って今を検証する『2008年のドラフト会議、その後』という短期集中連載をスタートさせました!
 今回は3年ぶりのCS進出を確定させた東京ヤクルトスワローズです!

2008年のドラフト会議・東京ヤクルトスワローズ

1位 赤川克紀/投手/宮崎商業高校
2位 八木亮祐/投手/享栄高校
3位 中村悠平/捕手/福井商業高校
4位 日高亮/投手/日本文理大学附属高校
5位 新田玄気/捕手/パナソニック
育成1位 ラファエル・フェルナンデス/投手/白鴎大学
育成2位 塚本浩二/投手/香川オリーブガイナーズ

成功でも、失敗でもなく……。

 '08年のヤクルトのドラフトは成功とは言えないが、大失敗と言うほどひどくはない。4位までの選手がその後、どういう成績を挙げていったのかを見てみると……。

 1位の赤川克紀(投手・宮崎商)は14勝20敗、防御率4.17(引退年25歳)である。

 その次、2位の八木亮祐(投手・享栄高校)は11勝22敗、防御率4.25(引退年27歳)、3位・中村悠平(捕手・福井商高校)は打率.236、安打542、本塁打24(9月29日現在)、4位・日高亮(投手・日本文理大付高校)は5勝3敗16ホールド、防御率4.19(引退年25歳)となっている。

 赤川、八木、日高はいずれも左腕投手として一時期、しっかりと実績を残しているのだ。

“左腕の技巧派”の早期引退を惜しむ。

 赤川は'12年に初めて投手成績19位に名をつらねて8勝9敗(規定投球回に到達)の成績を残している。

 八木は'13年に先発投手として26試合に登板して5勝13敗。

 日高は'12年に中継ぎ役として66試合に登板して、3勝2敗15ホールドを記録している。
'12年のヤクルトのチーム成績は3位なのだから、赤川と日高は十分に貢献していると言える。

 彼らは球界に多い左打者の殺し役として重宝する“左腕の技巧派”タイプだった。現役引退した年が20歳代半ばというのは、非常に惜しいと思っている。

 そして、チームに大きく貢献したのが3位の中村である。

日本代表選手になるほど活躍した中村。

 ヤクルトでは古田敦也の引退以降、レギュラー捕手不在が長く続いた。

 そんなチーム状況にあって、中村は'12年には91試合に出場して53安打を放っている。'15年には136試合の出場を果たして、プロ入り7年目にしてレギュラーの座をつかんでもいるのである。

 中村は'12年11月の日本対キューバ戦では、侍ジャパンの代表メンバーにも選出されるなど、その存在価値が1チーム内にとどまっていない、というところも見逃せない。

 '08年のドラフトを俯瞰する体で全12球団の成果……という考え方をしてみると、この年の指名選手で全日本クラスに育ったのは中村以外では攝津正(ソフトバンク)、大野奨太(日本ハム、現中日)、中島卓也(日本ハム)、西勇輝(オリックス)、浅村栄斗(西武)くらいになる。

 この選手名でわかるように、ほとんどがパ・リーグの選手だ。

球界再編の影響をパのドラフト戦略に見る。

 '05〜'07年の分離ドラフト時代に成功した選手の比率は、パ・リーグ27人、セ・リーグ20人で「パ高セ低」となっている(私がプロ野球選手の成功ラインと考える基準は……投手なら「300試合登板、50勝<1セーブ、1ホールドは0.5勝に換算>」で、野手なら「1000試合出場、500安打」である)。

 '04年に球界を襲った再編騒動はパ・リーグの近鉄を球団消滅に追い込んだ。この時、追い込む側の中心勢力が、巨人ならびにセ・リーグだったという認識が世間にはあるだろう。

 その時、パ・リーグの各球団に存亡の危機を感じさせたことこそ――2005年以降のパ・リーグ優位の現象を作っているように思えてならない。

文=小関順二

photograph by Kyodo News


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