頂点はエネイブル&デットーリ!凱旋門賞への日本馬の挑戦は続く。

頂点はエネイブル&デットーリ!凱旋門賞への日本馬の挑戦は続く。

 舞台が変わっても、臨戦過程が完璧ではなくても、強い馬は強かった。

 第97回凱旋門賞(10月7日、仏パリロンシャン芝2400m、3歳以上GI、19頭立て)を、ランフランコ・デットーリが騎乗する1番人気のエネイブル(牝4歳、父ナサニエル、英ジョン・ゴスデン厩舎)が優勝。史上7頭目の連覇を果たした。

 僅差の2着には3番人気の3歳牝馬シーオブクラス、3着は9番人気のクロスオブスターズ。

 日本から参戦した武豊のクリンチャー(牡4歳、父ディープスカイ、栗東・宮本博厩舎)は17着に敗れた。

 最内の1番枠から出たクリンチャーはまずまずのスタートを切り、内の3番手にポジションを固定した。

 切れるタイプではないが、その代わり、極悪の不良馬場になった昨年の菊花賞で2着、重馬場になった今年の京都記念で1着になったように、ヨーロッパの力のいる馬場への適性が見込まれた馬だ。

エネイブルの独走態勢から……。

 武がレース前に何度も口にしていた「意外性」を引き出し、流れに乗って粘り込むには絶好の位置取りと言える。

 そのまま向こう正面を進むうちに、クリンチャーの外にエネイブルが並びかけてきた。デットーリも、ここがベストポジションだと判断したのだろう。

 3コーナーに入っても、クリンチャーが内の4番手、その真横にエネイブルという並びは変わらず、どちらも抜群の手応えだった。

 フォルスストレート(偽りの直線)に入ると3番手につけていたデフォーが脱落。クリンチャーが3番手になり、エネイブルと馬体を併せたまま直線に向いた。

 上位争いが可能な展開に思われたが、しかし、そこまでだった。

 ラスト400m手前でエネイブルがスパートするとクリンチャーは一瞬のうちに離され、馬群に呑み込まれて行く。

 ラスト300m。エネイブルが内の2頭を抜き去った。ラスト200m地点で独走態勢に入る。

 ラスト100m地点で2馬身ほど抜け出し、圧勝かと思われたそのとき、外からシーオブクラスがものすごい脚で迫ってきた。1完歩ごとに差を詰め、馬体を併せたところがゴールだった。

デットーリ「今回が一番緊張した」

 勢いではシーオブクラスが上回っていたが、エネイブルが短首差で猛追をしのいで優勝。ロンシャン競馬場が改修工事中だったためシャンティー競馬場で行われた昨年の凱旋門賞につづく連覇を達成した。連覇は'13、'14年のトレヴ以来7頭目だが、異なる競馬場での連覇は初めてのことだ。デットーリは自身の凱旋門賞単独最多勝記録を更新する6勝目となった。

「これまでの凱旋門賞で、今回が一番緊張した」と話したデットーリは、エネイブルの力を信じ、圧勝する競馬をした。

 着差が僅かになったのは、臨戦過程が理想的なものではなかったぶんだろう。昨年の凱旋門賞から11カ月ぶりの実戦となった前走のセプテンバーステークスを勝つには勝ったが、4頭立ての少頭数で、しかもオールウェザーだった。どうにか間に合わせたという印象だったが、ここまで仕上げた陣営と、力を引き出したデットーリの手腕には敬意を表したい。

武豊はサバサバした口調で振り返る。

 クリンチャーは大きく離された17着。

「プランどおり、いいポジションをとれたし、流れも悪くなかった。あとは慌てないように、ペースと前の動きを見ながら乗りました」と武はサバサバした口調で振り返る。7度目の参戦だった意義を問われると「いや、6勝した人もいますからね。いつか勝ちたい。大きな目標です」と口元を引き締めた。

 管理する宮本調教師としては、手を尽くしたうえでの結果だった。

「申し訳ありません。状態は最高によかったのですが、世界の壁は厚いと感じました。乗り方は武騎手に任せていました。エネイブルをマークしていましたが、ついて行けなくなりましたね。このような大きなレースに連れてきてくれたクリンチャーと前田幸治オーナーに感謝したいです」

 なお、仏ダービーを制したディープインパクト産駒のスタディオブマンは9着だった。

日本馬の凱旋門賞挑戦は続く。

 昨年参戦して15着に惨敗したサトノダイヤモンドは、実力的には日本トップクラスだが、馬場適性に疑問符のつくタイプだった。

 今回のクリンチャーは、逆に、実力的には関脇クラスだが、馬場適性と意外性でひょっとしたら、というタイプだった。

 ともに望ましい結果は出なかったが、やってみなければわからないのが競馬というスポーツだ。

「ミスター競馬」野平祐二とスピードシンボリが1969年に初挑戦してから49年目。のべ23頭目の参戦は、日本のホースマンの悲願達成に向けての共有財産を確実に大きくした。

 '99年のエルコンドルパサー、'10年のナカヤマフェスタ、'12、'13年のオルフェーヴルが2着になったように、日本馬は凱旋門賞のゴールに手の届くところまで来ている。

 次のチャレンジを、待ちたい。

文=島田明宏

photograph by AFLO


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