10年前のドラフトから考えるソフトB。育成指名を重視するきっかけの年に。

10年前のドラフトから考えるソフトB。育成指名を重視するきっかけの年に。

 NumberWebではドラフト会議のすべてを知るスポーツジャーナリスト・小関順二氏に依頼し、全12球団の10年前のドラフトを振り返って今を検証する、「2008年のドラフト会議、その後」という短期集中連載をスタートさせました。
 今回は、工藤公康監督就任からリーグで1位、2位、1位、2位(2018年)と上位が続く福岡ソフトバンクホークスです。

2008年のドラフト会議・福岡ソフトバンクホークス

1位 巽真悟/投手/近畿大学
2位 立岡宗一郎/内野手/鎮西高校
3位 近田怜王/投手/報徳学園高校
4位 有馬翔/投手/日南学園高校
5位 攝津正/投手/JR東日本東北
6位 金無英/投手/福岡レッドワーブラーズ
7位 鈴木駿也/投手/山形中央高校
育成1位 内田好治/投手/大阪産業大学
育成2位 二保旭/投手/九州国際大学付属高校
育成3位 柳川洋平/投手/福井ミラクルエレファンツ
育成4位 猪本健太郎/捕手/鎮西高校
育成5位 堂上隼人/捕手/香川オリーブガイナーズ

戦略が立てにくかったソフトバンク。

 この年、ソフトバンクはダイエーから球団を引き継いで4年目のシーズンにして初めて最下位に沈んだ。

 エース斉藤和巳が右肩の手術で機能せず(2008年以降登板なし)、チーム本塁打99は西武の198本のちょうど半分でリーグ4位。

 大隣憲司、馬原孝浩、新垣渚、和田毅、杉内俊哉の投手陣、松田宣浩、本多雄一、川崎宗則の野手陣には20歳代が多く、世代交代しなければならない、という切迫した空気もない。それでいて投打が振るわないのだから、どこに焦点を当ててドラフトに臨んでいいのか難しかったのである。

1位より、5位の攝津正が活躍した。

 1位で入札した大田泰示(内野手・東海大相模高校)を抽選で外し、外れ1位で巽真悟(投手・近畿大学)を獲得。

 巽は大学3年春のリーグ戦、京都大戦でリーグ記録の23奪三振、その6日後の同志社大戦でノーヒットノーランを演じた本格派だが、投げにいくとき大きなひねりや上下動が入る投球フォームが仇になり、通算1勝で終わった。

 この巽の代役を務めたのが5位の攝津正(投手・JR東日本東北)だ。

 巽と反対に小さいテークバックと開かない左肩が正確なコントロールを導き、1年目から中継ぎとしてフル回転し、70試合に登板、5勝2敗34ホールド、防御率1.47という素晴らしい成績を挙げた。

 攝津は翌'10年まで中継ぎを務め、'11年からは先発に転向、'15年までローテーションの中心的存在としてフル回転し、年俸は最高で4億円にも達した。

育成ドラフトの先駆者、二保と山田。

 2位立岡宗一郎(内野手・鎮西高校)は内野と外野を務めながらマウンドに上がれば140キロを超えるストレートを投げる超高校級として一部で名前を知られた選手。

 ホークスの厚い選手層に阻まれ'12年までの一軍出場はわずか1試合。同年6月に巨人に移籍すると翌'13年は46試合に出場して15安打を放ち、'15年には103安打、16盗塁を記録している。

 一軍に確かな足跡を残したのはこの2人だけだと思ってはいけない。

 育成ドラフトに目を移すと、2位で二保旭(投手・九州国際大付高校)を指名している。

 右ヒジの手術の影響で'16、'17年は登板していないが、'15年には44試合に登板し、6勝1敗の好成績を挙げている。

 ちなみに、通算24勝を挙げている山田大樹(投手・つくば秀英高校、2018年シーズンからヤクルト)は、この2年前の'06年の育成1位選手。

 二保、山田が一軍で戦力になったことでスカウティングが活発になり、'10年には育成ドラフトで現在の主力、千賀滉大、牧原大成、甲斐拓也を指名している。

 そういう意味では山田と二保は、育成ドラフトを盛り上げた先駆者と言っていい。

文=小関順二

photograph by Kyodo News


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