レアルのロペテギはもう解任目前?支配率70%で4戦連続ノーゴール。

レアルのロペテギはもう解任目前?支配率70%で4戦連続ノーゴール。

 スコアは0−0のまま、後半ロスタイムも4分半を過ぎていた。

 左からのCK。ファーポストに抜け出したルベン・ソブリーノのヘッドがティボウ・クルトワの右手に当たって左へ流れる。左ポストのすぐ内側に飛び込んだのはマヌ・ガルシア。クリアを試みたセルヒオ・ラモスより一瞬早くボールを頭で押し込むと、アラベスの闘将は両手でシャツを引っ張りながらピッチを駆け出した。

 10月6日に行われたアラベス対レアル・マドリー。“白い巨人”を相手に87年ぶりの大金星をもたらした劇的な決勝点に、メンディソローサのスタンドは文字通り狂喜乱舞した。

 その傍ら、レアル・マドリーを率いるジュレン・ロペテギはベンチに座り込み、白いユニホームに身を包んだ選手たちは現実を受け入れられぬまま、試合終了を迎えることになった。

 前半の3失点で勝負あったセビージャ戦の完敗。お互いの守護神を攻略しきれずに終わったアトレティコ・マドリーとのスコアレスドロー。そしてCSKAモスクワに0−1で敗れるチャンピオンズリーグの波乱に続くショッキングな敗戦により、レアル・マドリーは4戦未勝利のまま代表ウィークを迎えることになった。

支配率約70%、決定機はなし。

 しかも1−0で制した第5節エスパニョール戦以降、4戦連続無得点。地元紙によれば、時間にして409分間にわたる不発は2005-06シーズンに並ぶクラブ史上ワースト2位の記録であり、1984-85シーズンに打ち立ててしまった最長記録の496分まで、あと87分に迫っているという。

「重要なのはチャンスを作り出していること。そうすればゴールは自ずとやってくる」

 ロペテギはそう繰り返してきたが、実際には試合を重ねるごとにチャンスの数、シュートの本数も減りつつある。

 この日も約70%のボール支配率を誇りながら、放ったシュートは13本。そのうち決定機と形容できるものは1つもなかった。開幕当初は好意的に受け止められていたポゼッションスタイルへの傾倒も、今では批判の対象となりはじめている。

主力の負傷離脱にロナウドの穴。

 とはいえ同情の余地はある。なにせわずか2週間のうちに5人もの主力選手が立て続けに離脱しているのだ。

 まずセビージャ戦の直前にイスコが病気で1カ月の離脱を強いられた。続いてセビージャ戦ではマルセロがリタイヤ。アトレティコ戦ではギャレス・ベイルがハーフタイムに何らかの痛みを訴えて交代し、CSKA戦ではダニエル・カルバハルが肉離れを起こした。

 そしてアラベス戦ではカリム・ベンゼマがハムストリングを痛めてハーフタイムで退き、ベイルも後半半ばに再び自ら交代を申し出ている。

 イスコは遅攻で違いを作り出せる数少ない選手であり、両翼のマルセロとカルバハルも守備面以上に攻撃面で欠かせない存在だ。さらに前線の核となるべきベンゼマとベイルを失っては、いくらレアル・マドリーといえども攻撃力の低下は避けられない。

 そもそもレアル・マドリーはこの夏、毎シーズン50ゴール前後を保証してきたクリスティアーノ・ロナウドを放出したにもかかわらず、ネイマールの獲得にご執心のフロレンティーノ・ペレス会長は新たな得点源の補強に動かなかった。1年前に放出したマリアーノ・ディアスを8月末になって買い戻したのも、獲得に動いたセビージャに保有権を奪われないためだったという印象が強い。

 さらにはルカ・モドリッチが燃え尽き症候群で、ロナウドの穴埋めとして期待されているマルコ・アセンシオも元気がないのだから、チームの現状は然るべき結果だと言えるだろう。

もうコンテら後任候補の名が。

 しかし、たとえどれだけ多くの外的要因があろうとも、責任を問われるのは常に監督である。

 実際、過去にレアル・マドリーが4戦不発に陥った前例は2度あり、いずれも直後に監督が解任されている。また第8節終了時点での勝ち点14は、就任初年度のウィンターブレーク中に解任されたラファエル・ベニテスのシーズンより、4ポイントも少ない。

 結果だけを見れば、すでに監督を代えるべき条件は揃っているのである。

 今回も例に漏れず、早くも国内メディアには後任候補の名がちらつきはじめている。最有力は現在フリーで昨夏も候補に挙がったアントニオ・コンテ。また、レアル・マドリー・カスティージャ(Bチーム)を率いるサンティアゴ・ソラーリを暫定監督に据えるとの見方もある。マンチェスター・ユナイテッドで解任の危機にさらされているジョゼ・モウリーニョの復帰を望む声も根強い。

もしクラシコで負けてしまえば。

 いずれにせよ、ロペテギの命運を分けるのは10月28日のエル・クラシコだと見られている。幸い、同じく取りこぼしを繰り返しているバルサとの勝ち点差は1で、敵地での直接対決に勝てば順位表で逆転できるだけでなく、ライバルをさらなる窮地に追い込むことができる。

 逆にここで負ければ首位争いから後退するだけでなく、バルサに復調のきっかけを与えることにもなりかねない。クラシコまでにはカルバハルを除く負傷者も復帰できる見込みだが、一方で、負けた場合のエクスキューズもなくなる。

 ロペテギは6月、選手として、指導者として過ごしたレアル・マドリーからの誘いを断れず、結果的にワールドカップ直前にスペイン代表監督の職を解かれて「非国民」のレッテルを貼られることになった。

 解任騒動の翌日、サンティアゴ・ベルナベウで行われたプレゼンテーションでは「昨日は人生で最も悲しい一日だった。でも今日は人生で最も幸せな日だ」と言って涙を流した。

 大きな犠牲を払って手にした憧れのポストをわずか数カ月で失うことになれば、多くの“アンチ”から笑い者にされるだけでなく、指導者としてのキャリアにも大きな傷をつけることになる。

落ち着くためにゴールが必要だ。

「悪い流れが続いているが、それでも(首位セビージャとは)勝ち点2差だ。まだ全タイトルに手が届く。今は第一に重要な選手たちを回復させ、心身のコンディションと落ち着きを取り戻さなければならない。そのために必要なのは、もちろんゴールだ」

 アラベス戦後の会見でロペテギはそう言っていた。はたして追い詰められた指揮官は、この中断期間を経て悪い流れを断ち切ることができるだろうか。

 中断明けの初戦は10月20日、ホームにレバンテを迎える一戦となる。

文=工藤拓

photograph by Getty Images


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