小平智「まだ18歳くらいの感じ」米ツアー2年目の目標はまず2勝目。

小平智「まだ18歳くらいの感じ」米ツアー2年目の目標はまず2勝目。

 ここ最近の誕生日は毎年、愛妻がパーティを開いてくれるそうだ。

 夫人の古閑美保さんをはじめ、近しい関係者や、学生時代にゴルフで競い合った旧友たちが、今年も記念日を祝ってくれた。

 9月11日、小平智は29歳になった。

「あと1年で30歳だなあって。こんな日がいずれ来るとは思っていたんですけど、いざ目の前にすると変な感じですね。自分のことを、まだ子どもだな……と思っていて。まだ18歳くらいの感じなのに(笑)。18歳の頃に“30歳”と聞いたら、『まあまあ、おっさんだな』なんて思っていた。だから僕も今、18歳の人にはそう思われるんだろうなあ……」

 振り返れば、28歳で過ごした日々はまさに激動だった。

 昨秋から冬にかけて日本ツアーの賞金王を争い、宮里優作の前に敗れた。年が明けると4月のマスターズを目指して、世界ランキングを上げるべく海外を転戦。春先にフィールドに滑り込み、オーガスタの地を初めて踏んだ。

 そしてその翌週、スポットで参戦したRBCヘリテージで優勝。たちまち、日本人史上5人目のPGAツアー勝者という立場に成り代わった。

アメリカで12戦、予選通過は4試合。

 突如として主戦場を米国に移し、その後12試合に出場。最高成績は5月のフォートワース招待の20位で、4日間を戦い抜いたのは結局4試合だけだった。

 12戦で予選落ち8回。数字だけ見れば、惨憺たるものだ。「優勝した1回しか、(好結果が)なかった感じ」と、悔しい思いでいっぱいだ。

 ただ、本人にすれば結果はある程度予見していたところがある。

 優勝したことでツアーメンバーに昇格し、実質2年半、2019-20年シーズンまでのシード権を手に入れた。長い目で今後の戦いを見据え、あえて連戦をこなすことを意識したという。

「最初の年はどんどん試合に出て、初めて回るコースを経験した方がいい」というアドバイスを授けてくれたのは、昨年夏まで米ツアーで戦った岩田寛ら。だから「無理をしたところもある。体力面で苦しかった」。シーズン終了間際に“持病”でもある首痛を発症するという締めくくりだった。

ドライバーに書かれた「MMONMK」

 もうひとつ、小平が苦しんだのがドライバーの選定だ。

 昨年秋にクラブのヘッドが破損してからというもの、代役探しの悩みがいつも付きまとった。それほど、彼のゴルフはティショットの正確さが生命線。同じモデルでも、ロフト角や重心位置を変えたバージョンの数は、十数本どころではない。PGAツアーの優勝も、そのジレンマの中で勝ち取った。

 小平のドライバーのヘッドカバーにはいま、マジックで「MMONMK」とアルファベットが書き記されている。美保夫人の「M」以下、マネージャーやキャディら自身のサポートスタッフの名前の頭文字である。「たいした意味はないんですよ。ヘッドを試しすぎて、エースのドライバーがどれだか分からなくなってしまうから」と苦笑いする。

 天国と地獄を味わった28歳の後半戦。それでも本人は望んだ結果を残せなかった5月以降も「めちゃくちゃ苦しい、というほどではないんです」と振り返る。

 理由はシンプル。

「だって、楽しいから。ドライバーが決まらなかったり、調子を崩したり……。そのへんは苦しかったですけど、ゴルフの楽しさは変わっていない」

「一番の難しさは、やっぱりレベルの違い」

 連戦、それに伴う短期間での長距離移動。疲労は蓄積したが、今秋始まる2年目は違う心持ちで臨むことができる。「日本ツアーとは違って、試合の数がいっぱいあるから、これからは自分で試合を選んで出ればいい。疲れれば、休めばいい」と前向きだ。

「一番の難しさは、やっぱりレベルの違い。それは格段にある」

 一時帰国中に出場した日本ツアー・トップ杯東海クラシックは17位だった。事前調整が不十分な状態で残した成績に「まったくゴルフをしないで、あの順位で終わることはまずPGAツアーではない。予選を通ったとしても50位とか、60位といった感じ」と、改めて世界のトップ集団との差に思いを巡らせた。ただ彼らとのギャップは、あって然るべきもの。それを埋めるために、海を渡った。

「ほら、できたでしょ」って言いたい。

「どうすればよくなるかをいっぱい考えたシーズンだった。いっぱい練習をした。あんなにゴルフと向き合ったことは、今までで初めてといえるくらい。“ある程度”では戦えない。ちゃんと体と心を整えないと戦えない舞台ですから」

 かねて「30代半ばでメジャーで優勝争いをする。そのためには早くマスターズに出たい」という目標を掲げてきた。日本での実績も乏しい時期に、誰に、笑われようとも。

「言い訳のようですけど、去年は自分がベストな状態で臨んでいなかったというのが本音。2年目は、とりあえず2勝目をしたいです。フェデックスカッププレーオフには当たり前のように出たい。いま、いいドライバーも見つかってきているんですよ」

 10月中旬、マレーシアでのCIMBクラシックで新シーズンを迎えるこの秋は、韓国、中国、そして米国、豪州への遠征がすでに決まっている。連戦の合間に米国本土では、家探しにも出向くという。「ホントに楽しみ」と、いまも不安を期待が上回っている。

「今年はベストな状態で臨んで、『ほら、できたでしょ』って言いたいです」。失敗なんか怖くない。1年後、節目の誕生日もきっと前を向いている。

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文=桂川洋一

photograph by Yoichi Katsuragawa


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