DDTでササダンゴがパンダと激突!パワポの名手が語る“勝利”の定義。

DDTでササダンゴがパンダと激突!パワポの名手が語る“勝利”の定義。

 スーパー・ササダンゴ・マシンは、いま最も一般メディア露出が多いレスラーの1人だろう。試合の見どころや作戦を事前に解説する「煽りパワーポイント」が人気となり、松竹芸能に所属してプロレスと関係ない番組、イベントにも出演している。

 誰もが知るその“正体”は、かつてDDT系イベント『マッスル』をクリエイトしたマッスル坂井だ。「台本あり」を公言、演劇やバラエティ性を大胆に導入した人気のプロレスイベントだったが、坂井は2010年に引退。結婚し、新潟にある実家の金型工場を継ぐべく帰郷した。

 が、なんだかいつの間にかマスクマンとしてDDTマットの常連になって、家業(社業)に勤しみながら東京と新潟を往復する生活を送っている。「後継ぎ」として大学院でビジネスについて学んだこともパワポの役に立っているのだからレスラー人生は不思議なものだ。

“対世間”で最も気になるレスラー。

 10月21日、DDTのビッグマッチである両国国技館大会では、やはり“世間”から引っ張りだこのアンドレザ・ジャイアントパンダ(新根室プロレス)と対戦することになった。キャッチーこの上ないマッチメイクと言っていい。「パンダと笹」である。

 だが、話はそう単純でもないようだ。自身もテレビに出る機会が多いササダンゴに解説してもらった。

「アンドレザ・ジャイアントパンダはここ1年くらいで出てきた中で一番、世の中にリーチしてるプロレスラー。“対世間”という意味で最も気になるレスラーです。正直『行列のできる法律相談所』に出たのはデカい。超メジャーですよ。北海道でいえばTEAM NACSの番組に出る。しかも頑張って取ってきた仕事じゃなく、呼ばれていってる感じがする。番組側からすれば高い交通費、宿泊費を払って呼んでる。国内だけど外タレのような存在じゃないですか」

1人のクリエイターの強烈なエゴ。

 アンドレザの魅力の1つは、もちろん「圧倒的な愛くるしさ」だとササダンゴも言う。しかし可愛いだけで人気が出るわけではないのはどの業界も一緒だろう。ましてこのパンダはプロレスラーだ。

「今はSNSの普及もあって、プロレスラーが人間化、日常化してますよね。一方アンドレザ・ジャイアントパンダは“古き良きプロレスラー”を思わせる。それはデカさであり正体不明という部分、それにファンとの距離感ですね。身近ではない。(普段は根室にいるという)純粋な距離感も含め。それプラス、キャラクターとして見ると“これは会議室で、アンケートの結果をもとに生まれたものじゃないな”と。あくまで非公式というか、行政の主導じゃない感じ。1人のクリエイターの強烈なエゴから生み出されている。そこがまたいいんです」

 1人のクリエイターの強烈なエゴから生み出されたという点において、アンドレザとササダンゴは共通する。ササダンゴ流に言えば「ポジショニングマップの同じ位置にいるんです。両方ともローカル、地方から出てきた異分子ですし」。

DDTがパンダをWWEへ送り込む!?

 メジャー性があり、愛くるしく、なおかつ異分子としての求心力も持っているとなれば、いったいどうやって勝てばいいのか。いや、それは当日のパワポを楽しみにするとして、今回の取材では「スーパー・ササダンゴ・マシンは何をもって勝利とするのか」を聞いてみた。

「変な話、有刺鉄線バットで殴って“立てない”状態にしても、勝ったことになりませんからね。それじゃ誰も勝ったと思わない。そもそもがそういうところで闘ってないし。

 じゃあ僕にとって何が勝利か。

 お客さんが盛り上がるのはもちろんですけど、本当の勝利はこの試合がきっかけでアンドレザ・ジャイアントパンダがビンス・マクマホンなりトリプルHの目に止まってニューヨーク(WWE)に呼ばれ、契約することでしょう。

 アンドレザ・ジャイアントパンダが東京のビッグマッチに初めて出る。それがDDTで相手が自分というのは光栄ですよ。だからDDTなりのおもてなしで“世界”に羽ばたいてもらえたら、と。結果、それが僕の勝利でもあるわけです」

プロレスを通して諸問題を解決!

 根室から両国経由でニューヨークへ。日本から力のある選手がどんどん海を渡っている現状を考えると、決して非現実的ではないだろう。「中国市場」という言葉も頭に浮かぶ。それに何より、WWEとパンダの因縁は深い。

 かつてWWEはWWFという団体名だったが、パンダのロゴのWWF(世界自然保護基金)に名称変更の訴訟を起こされ、改名した経緯がある。そんなパンダを「我がもの」にしたいとオーナーでCEOのビンス・マクマホンが考えてもおかしくはない。いや想像だが。

「あぁ〜それ……そうか。僕はね、プロレスを通して諸問題をコンサルティングするという活動をやってきたわけです。今回は知らず知らず、WWEとWWFについてそれをやってたっていうのが怖いですね、うん。

 WWEもパンダのロゴになるかもしれないし、もしかしたらアンドレザが世界自然保護基金と契約するかもしれないですよ……」

地方在住としての“客観”も武器に。

 話がワールドワイドになってきたが、その発端は日本の“地方”である。新潟と東京を往復する多忙な生活を送るササダンゴだが、ベースはあくまで新潟。東京で部屋を借りることもしていない。

「地方で生活してる人しか持ち得ない感情から生まれているキャラクターだと思います、アンドレザ・ジャイアントパンダもスーパー・ササダンゴ・マシンも。

 実感として(新潟からの新幹線で)大宮すぎたらもう海外の感覚ですよ。地方のよさ? 僕が作ってるもの、仕事の大半のアイディアは新潟で生まれてますから。東京じゃないほうがものを考えるのに適してるのかもしれない。ツイッターでも東京で見るのと新潟で見るので違いますよ。それはやっぱり距離感」

「太ってる人の中で誰よりも健康」

 一昨年、心臓の病気になってから、ササダンゴは徹夜をしなくなったそうだ。血圧もコレステロールも気にしており「今はたぶん、太ってる人の中で誰よりも健康」とのこと。夜7時をすぎたら仕事はしたくない、とも言う。

「新潟の旨い酒と肴、楽しい仲間が待ってるんでね。東京にいると、何時まででも仕事しちゃうでしょ、のめり込んで。でも僕らの仕事って、準備は客観的にやるべきなんですよ。

 いくら制作物が破天荒でくだらないものであっても、試合中にはのめり込んでも、準備は冷静に、客観的に、ロジカルに。僕はパワポ作りも会社、つまり金型部品を作る工場で作業してます。言ってみれば、魔法がない場所ですよ」

 リングに熱狂を生み出す魔法には、客観とロジックが欠かせないということか。そもそも試合場でまずやることがノートPCを使ってのプレゼンテーションだから、絵面としてもロジカルではある。プレゼンしているのが体重100kg超のマスクマンだというだけで。

棚橋 in『情熱大陸』を『マッスル』創始者はどう見た?

 仕事への姿勢という話をしていて思いついたので、ササダンゴに先日放送された『情熱大陸』棚橋弘至出演回の感想を聞いてみた。この番組のエンディングで流れる曲「エトピリカ」を『マッスル』では試合中のスローモーションシーン(実際に選手がゆっくり動く)で使用してきた。番組を見たプロレスファンは、ほぼ全員そのことを思ったはずである。

「見ましたよ僕も。もう両膝を叩いちゃいましたね。“これだ”って。あの番組で棚橋さんが見せたのは、技術点と芸術点で言えば芸術点、体力や運動能力よりも感情のプロレスだった。実際それって、僕らが『マッスル』でやろうとしてたことですから。それを棚橋さんが『情熱大陸』で見せている。僕はこれ、棚橋さんが『マッスル』に出たようなものだと思ってますね」

 いずれササダンゴ自身が仕事論を語る姿を、日曜夜にTBSで見ることもあるのだろうか。

「いやいやいや、ないですよ。それはない。“分かってたまるか”と思ってやってるんですから、申し訳ないけど。

 1つひとつの表現は分かりやすく、世間に伝わるように。でも僕全体の頑張りとか価値を分かってもらおうとは全然思ってない。分かりやすいことをやるためのプロセスは、分かりにくくあって然るべきです」

文=橋本宗洋

photograph by DDT PRO-WRESTLING&Norihiro Hashimoto


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