ドラフト順位は意外と学歴社会?大阪桐蔭は高校で1番多いが……。

ドラフト順位は意外と学歴社会?大阪桐蔭は高校で1番多いが……。

 読者各位にとって、今年のドラフトはいかがだっただろうか? 球団から指名の連絡はあっただろうか? 私は昨年のドラフトでは、重力に逆らわないへろへろフォークで、下位指名を狙ったが果たせなかった。今年も期待したが、電話は鳴らなかった。

 ただ、知り合いのスポーツ紙記者から「指名されたら独占会見を」というメールをもらった。期待に応えられず申し訳ない。

 さて、今年は大阪桐蔭高のプロ志望届を出した4人の選手が揃ってドラフト指名された。これは2001年の日大三高に並ぶ最多タイだ。野球強豪校の「ブランド化」が進んでいるように思う。

 そこで、2014年〜2018年の5年間に指名された552人について、高校、大学、実業団、独立リーグの指名数について調べてみた。

 人数だけを調べるのではなく、指名順位も加味したいのでポイントを独自に考案した。1位2ポイント、2位〜4位1.5ポイント、5位以下1ポイント、育成での指名は0.5だ。ポイントを指名選手数で割り、平均ポイントを出し、指名順位の高さもわかるようにした。

広陵卒は上位指名が多い。

<指名数上位の高校(選手数552人)>

※指名数は553人だが、2015年、2016年と松澤裕介が2回いずれも巨人から育成で指名されている。これは1人分とカウント。大学以降で指名された選手も含む。4位以上の指名選手まで掲載。

1位 11人 大阪桐蔭高 13Pt(平均1.18Pt)
2018年 根尾昂(中日1位)、藤原恭大(ロッテ1位)、横川凱(巨人4位)

2位 8人 横浜高 12Pt(平均1.50Pt)
2014年 淺間大基(日本ハム3位)
2016年 柳裕也(中日1位、明治大)、藤平尚真(楽天1位)
2017年 増田珠(ソフトバンク3位)
2018年 万波中正(日本ハム4位)

2位 8人 東海大相模高 9.5Pt(平均1.19Pt)
2014年 友永翔太(中日3位、国際武道大−日本通運)
2015年 小笠原慎之介(中日1位)
2017年 大城卓三(巨人3位、東海大−NTT西日本)、菅野剛士(ロッテ4位、明治大−日立製作所)

4位タイ 7人 広陵高 11.5Pt(平均1.64Pt)
2014年 有原航平(日本ハム1位、早稲田大)
2015年 上原健太(日本ハム1位、明治大)、吉持亮汰(楽天2位、大阪商業大)
2017年 中村奨成(広島1位)、福田周平(オリックス3位、明治大−NTT東日本)
2018年 太田光(楽天2位、大阪商業大)

4位タイ 7人 日大三高 10.5Pt(平均1.50Pt)
2014年 オリックス1位 山崎福也(明治大)
2015年 高山俊(阪神1位、明治大)、関谷亮太(ロッテ2位、明大−JR東日本)
2016年 坂倉将吾(広島4位)
2018年 伊藤裕季也(DeNA2位、立正大学)

4位タイ 7人 花咲徳栄高 10Pt(平均1.43Pt)
2015年 大瀧愛斗(西武4位)
2016年 高橋昂也(広島2位)、岡崎大輔(オリックス3位)
2017年 西川愛也(西武2位)
2018年 野村佑希(日本ハム2位)

4位タイ 7人 仙台育英高 9.5Pt(平均1.36Pt)
2015年 平沢大河(ロッテ1位)
2017年 馬場皐輔(阪神1位、仙台大)、熊谷敬宥(阪神3位、立教大)
2018年 梅津晃大(中日2位、東洋大)

8位タイ 6人
履正社高9Pt(平均1.50Pt)、桐蔭学園高7.5Pt(平均1.25Pt)、敦賀気比高7.5Pt(平均1.25Pt)、青森山田高7Pt(平均1.17Pt)

 予想通り大阪桐蔭高が11人で最多だ。しかし、平均ポイントは1.18と低い。今年こそ1位指名を2人出したが、意外なことに下位指名が多く、育成枠での指名もあった。

 2位の8人は横浜高、東海大相模高の神奈川勢。横浜高は2016年に中日・柳裕也(明治大経由)、楽天・藤平尚真と1位指名を2人出している。

 上位指名が多いのは広陵高だ。ここ5年間で2位以上の選手を輩出している。ただ広陵高は大学、社会人を経由する選手が多いので、あまり話題にはなっていない。

 大阪桐蔭高といえども、毎年トップクラスの選手ばかり輩出することは難しい。しかしドラフトでかかるようなレベルの高い選手を毎年途切れずに送り出すことができるのが凄いということになろう。

大学は六大学勢が強い。

<指名数上位の大学(選手数273人)>

1位 17人 明治大 24.5Pt(平均1.44Pt)
2014年 山崎福也(オリックス1位、日大三高)、石川駿(中日4位、北大津高/JX-ENEOS)
2015年 上原健太(日本ハム1位、広陵高)、高山俊(阪神1位、日大三高)、坂本誠志郎(阪神2位、履正社高)、関谷亮太(ロッテ2位、日大三高/JR東日本)
2016年 柳裕也(中日1位、横浜高)、星知弥(ヤクルト2位、宇都宮工)
2017年 齊藤大将(西武1位、桐蔭学園高)、福田周平(オリックス3位、広陵高/NTT東日本)、菅野剛士(ロッテ4位、東海大相模高/日立製作所)

2位 13人 亜細亜大 17.5Pt(平均1.35Pt)
2014年 山崎康晃(DeNA1位、帝京高)、薮田和樹(広島2位、岡山理大付高)
2017年 藤岡裕大(ロッテ2位、岡山理大付高/トヨタ自動車)、大下佑馬(ヤクルト2位、崇徳高/三菱重工広島)、高橋遥人(阪神2位、常葉橘高)、北村拓己(巨人4位、星稜高)
2018年 頓宮裕真(オリックス2位、岡山理大付高)、木浪聖也(阪神3位、青森山田高/Honda)

3位 9人 早稲田大 12Pt(平均1.33Pt)
2014年 有原航平(日本ハム1位、広陵高)、中村奨吾(ロッテ1位、天理高)
2015年 重信慎之介(巨人2位、早稲田実)、茂木栄五郎(楽天3位、桐蔭学園高)
2016年 石井一成(日本ハム2位、作新学院高)
2018年 小島和哉(ロッテ3位、浦和学院高)

4位タイ 8人 東洋大 11Pt(平均1.38Pt)
2015年 原樹理(ヤクルト1位、東洋大姫路高)
2018年 上茶谷大河(DeNA1位、京都学園高)、甲斐野央(ソフトバンク1位、東洋大姫路高)、梅津晃大(中日2位、仙台育英高)

4位タイ 8人 立教大 10Pt(平均1.25Pt)
2015年 大城滉二(オリックス3位、興南高)
2016年 田中和基(楽天3位、西南学院高)
2017年 熊谷敬宥(阪神3位、仙台育英高)、齋藤俊介(DeNA4位、成田高/JX-ENEOS)

6位 7人 中央大 9Pt(平均1.29Pt)

7位 6人 国学院大 8Pt(平均1.33Pt)

8位タイ 5人 創価大 7Pt(平均1.40Pt)、大阪商業大 7Pt(平均1.40Pt)、富士大7Pt(平均1.40Pt)、日本大6.5Pt(平均1.30Pt)、立正大5Pt(平均1.00Pt)。

 やはり東京六大学勢が強い。明治が17人、早稲田が9人、立教が8人、ちなみに慶應は4人、法政は3人、東大は1人だ。続いて東都大学勢の亜細亜大、東洋大が続く。

 近年は、東北福祉大、富士大、八戸学院大、仙台大など新興の大学から優秀な選手がプロ入りしているが、まだボリュームでは老舗大学に及ばない。伝統は強いというべきか。

社会人はインフラ系と自動車。

<指名数上位の社会人(選手数115人)>

1位 9人 JR東日本11.5Pt(平均1.28Pt)
2015年 関谷亮太(ロッテ2位、日大三高−明治大)、東條大樹(ロッテ4位、桐光学園高−青山学院大)
2017年 田嶋大樹(オリックス1位、佐野日大高)
2018年 板東湧梧(ソフトバンク4位、鳴門高)

2位 8人 JX-ENEOS 9.5Pt(平均1.19Pt)
2014年 石川駿(中日4位、北大津高−明治大)
2017年 齋藤俊介(DeNA4位、成田高−立教大)、塩見泰隆(ヤクルト4位、武相高−帝京大)

3位 7人 Honda 8Pt(平均1.14Pt)
2018年 木浪聖也(阪神3位、青森山田高-亜細亜大)、齋藤友貴哉(阪神4位、山形中央高−桐蔭横浜大)

4位タイ 5人 トヨタ自動車7.5Pt(平均1.50Pt)
2015年 木下拓哉(中日3位、高知高−法政大)、青山大紀(オリックス4位、智弁学園高)
2016年 源田壮亮(西武3位、大分商-愛知学院大)
2017年 藤岡裕大(ロッテ2位、岡山理大付高−亜細亜大)
2018年 富山凌雅(オリックス4位、九国大付)

4位タイ 5人 Honda鈴鹿5.5Pt(平均1.10Pt)
2014年 守屋功輝(阪神4位、倉敷工)

6位タイ 4人 大阪ガス 6.5Pt(平均1.63Pt)、NTT東日本 5.5Pt(平均1.38Pt)、パナソニック 4.5Pt(平均1.13Pt)

9位タイ 3人 ヤマハ5.5Pt(平均1.83Pt)、新日鉄住金鹿島 5Pt(平均1.67Pt)、三菱重工名古屋 4Pt(平均1.33Pt)、九州三菱自動車 2.5Pt(平均0.83Pt)。

 552人のドラフト指名のうち、社会人を経て入団するのは2割程度だ。このうち大学−社会人が79人、高校−社会人が36人だ。

 社会人を経てプロ入りする選手は、高校時代にスカウトの目に留まらなかった選手が多い。そのためか上位での指名選手がそれほど多くない。また年齢が高い選手が多いので、即戦力として期待されている。

 上位の顔ぶれはインフラ系と自動車産業。いわゆる名門が並んでいる。社会人野球は企業丸抱えのチームが減って、クラブチームが増えている。しかしクラブチームは経済的にも苦しく、良い選手はなかなか出てこない。このためランキングには資金面で優位の大企業が並ぶことになる。プロとの人脈が太いことも大きいだろう。

独立リーグで4位以上はレア。

<指名数上位の独立リーグ(選手数42人)>

1位 9人 四国IL徳島7Pt(平均0.78Pt)
2017年 伊藤翔(西武3位、横芝敬愛高)

2位 7人 BCL石川5Pt(平均0.71Pt)

3位 6人 四国IL香川4.5Pt(平均0.75Pt)
2014年 寺田哲也(ヤクルト4位、作新学院高−作新学院大−BCL新潟)

4位 5人 BCL武蔵2.5Pt(平均0.50Pt)

5位 4人 BCL富山2.5Pt(平均0.63Pt)

6位 3人 BCL新潟2Pt(平均0.67Pt)

7位タイ 2人 BCL福井1Pt(平均0.50Pt)、関西独立L兵庫1Pt(平均0.50Pt)

9位タイ 1人 BCL滋賀1Pt、BFL兵庫1Pt、BCL信濃0.5Pt、BCL栃木0.5Pt

※関西独立Lは廃止

 独立リーグのチームの平均ポイントはすべて1を割り込んでいる。育成での指名選手が大部分なのだ。ここ5年で4位以上で指名されたのは2人しかいない。

 それ以前では中日の又吉克樹が四国IL香川から2013年にドラフト2位で指名されて入団したのが最高位だ。

 首位打者2回のロッテ・角中勝也(四国IL高知、2006年大学生・社会人ドラフト7巡目)、中日・亀澤恭平(四国IL香川、2011年育成2位)、前述の又吉克樹のように、NPBで活躍する独立リーグ出身選手もいる。しかし多くは、活躍しないままに消えている。育成枠で入ることが多く、支配下登録されることもなく戦力外になることが多いのだ。

プロ野球も厳しい学歴社会?

 あるNPBのコーチは「同じ実力なら、高卒、大卒を引き上げる。独立リーグは年を食っているから」と言っていた。これは年齢がネックになっているのだ。BCLは、今年から選手の定年を26歳にしたが、これは若い選手を少しでも早くNPBに上げようという考えからだ。

 独立リーグは、NPBからの監督、コーチ、選手の派遣を受けている。NPBとの関係は強まっている。また社会人野球が衰える中、地方の野球普及の担い手にもなっている。頑張ってほしいと思う。

 こうしてみていくと、プロ野球は厳しい学歴社会であることがわかる。有力高、名門大、大手企業に進んだ選手がプロでも成功する可能性が高い。各段階でふるいにかけられて有望な選手だけが残っていくからだ。なかなか世知辛い話ではある。

 私としてはドラフト下位の非エリート選手をこれからも応援したいと思った次第。

文=広尾晃

photograph by Yuki Suenaga


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