Tリーグ、開幕2日で観客は1万人!卓球ならではの観戦文化が待たれる。

Tリーグ、開幕2日で観客は1万人!卓球ならではの観戦文化が待たれる。

 両国国技館の最寄駅、両国駅では電車の到着を告げるアナウンスの合間に、パコン、パコンというリズミカルな音がこだました。

 週末の特別列車以外は使われていない3番線ホームに卓球台が置かれ、多くの人が体験イベントを楽しんでいる。さらに、会場周辺にはチーム名がプリントされたのぼりが風にたなびき、会場外のグッズ売り場も開幕を待ちわびた多くのファンで賑わっていた。

 10月24日、東京・両国国技館を舞台に、卓球の新リーグ「Tリーグ」が開幕した。男子開幕戦5624人、翌25日の女子開幕戦4572人。2日間で計1万人以上のファンが開幕戦に足を運び、卓球界のあらたな歴史の幕開けを見届けた。

 卓球というスポーツが、日本で“国技”と呼ばれるようなスポーツになってほしいという思いから両国国技館での開幕戦を決断した松下浩二チェアマン。

「音と光と映像を組み合わせながら、一般の方々にも卓球というスポーツが分かりやすい演出をお見せしたい。今までの卓球のイメージは、どちらかといえば競技性が高く、たくさんの卓球台が並んでいて、上位の戦いに進むほど(卓球台が)少なくなっていくという形式でしたが、Tリーグは卓球台を1台にしてその中でどう演出していくか。これまでの卓球のイメージを覆すような演出をしていきたいと思っているので、楽しみにしてもらいたい」

 新しい卓球の楽しみ方を提案しようという意気込みが感じられる。

吊り屋根にオブジェ、巨大モニター。

 その言葉通り、開幕戦が行われる国技館の雰囲気はあきらかにこれまでとは異なっていた。

 吊り屋根は天井高くに吊り上げられ、その下にはTリーグのロゴとピンポン球をかたどったオブジェと4台の巨大モニターが吊るされていた。中央には卓球台が置かれているのだが、この時点ではまだ白い布で隠され、ベールに包まれていた。一体何が行われるのか、そんな期待に胸が膨らむ。

「今日を待ちわびていた」

 オープニングセレモニーが始まると、会場の照明は落ち、卓球台周辺だけにスポットライトが当てられた。その周りをオーケストラのキャストが取り囲み、生演奏を披露する。音や光や映像を組み合わせた演出が施されるなか、各チームの選手名がコールされる。水谷隼や吉村真晴ら次々に選手が登場すると、そのたびに客席からは大声援が沸き上がった。

 試合では水谷や張本智和、平野美宇、早田ひな、海外の世界ランク上位の選手たちのハイレベルなプレーに会場から大きな拍手やため息が漏れる。試合開始序盤は探りながらだった応援も、次第に声援や拍手が増えていった。

 大々的なセレモニーには選手も気持ちが高ぶった。「今日という日を待ちわびていた。あの舞台に立ってすごく興奮しましたし、開幕戦ということでものすごく緊張しました。それこそ、自分は五輪を3度経験していますが、(五輪と)同じような緊張感のなかでプレーできたことは、自分にとってものすごく大きな経験になったと思います」と水谷。

 通常の試合とは異なる会場演出に、「音楽とかすごかった」と張本も驚きの様子を隠さなかった。

試合中の演出は意外にシンプル。

 試合中の演出は、プレー間のMCによる実況と4面ディスプレイに表示されるスローモーション映像と球速表示というシンプルな内容。第2マッチと第3マッチ間のハーフタイムも映像が流れるのみで、特別なイベントは行われなかった。

 それは開幕戦だけに限らない。26〜28日には東京・アリーナ立川立飛で女子の試合が行われたが、そこでも同様だった。会場が狭くなったことで、コートサイドはもちろん、どの席でもより選手たちの緊迫した戦いを間近で感じられる利点はあったが、若干の物足りなさも否めなかった。

卓球特有の応援方法は発明されるか。

 雰囲気という意味では、会場での応援も無視できない。

 開幕戦後、平野美宇が「サッカーや野球には決まった応援がありますが、卓球にはないので、そういうものも取り入れられたら面白いのかもしれません。応援の楽しさというものもあると思うので」とコメントしているように、会場の雰囲気作りは、選手の士気をさらに高めることにもつながる。

 観客席からは選手の名前を呼んだり、応援する声はもちろん聞かれた。しかしまだまだ手探り状態といった節も見られる。他のスポーツの応援スタイルを導入することも1つの策ではあるが、もちろん、そのまま取り入れるというわけにはいかないだろう。

 競技性の違いもあるからだ。卓球ではスーパープレーで自然と手拍子が生まれ、選手がサーブに入った瞬間には水を打ったように静まり返る。そういった“静寂”の瞬間も醍醐味だ。卓球ならではの長所を最大限生かしたスタイルを構築してもらいたい。

Bリーグを参考にする手もある。

 しかしながら、応援の指南役がいればさらに盛り上がるのではないだろうか。もちろん、状況を考慮した上でのコントロールは重要だが、卓球という競技の魅力を高めることにもつながり、より身近なスポーツに感じられると思う。

 同じアリーナスポーツのプロバスケットボール・Bリーグでは、試合中、攻守がかわる度に音楽を流したり、MCがファウルやプレーの解説をしたりもする。

 また、今シーズンから川崎ブレイブサンダースはスチャダラパーがホームゲームの音楽演出を担当し、名古屋ダイヤモンドドルフィンズでは演出家・映画監督の堤幸彦氏がホームゲームの演出をプロデュースするなど、開幕3シーズン目を迎え、さらに演出面にも力を注いでいる。

 さらに、試合前やハーフタイムにはチアガールが応援の仕方もレクチャーするため盛り上がり、初めて会場を訪れた観客でもすんなりと試合に入ることができる。選手たちのプレーに熱狂するのはもちろん、自分も試合に関わっているという一体感を楽しむことができるというわけだ。

 開幕にあたっては、「見に来ていただける方々に、本当に楽しんでもらえるものを作っていきたい」と話していた松下チェアマン。その言葉通り、Tリーグならではのアイデアで、今後さらにあらゆる角度から楽しめるリーグ作り、運営を期待したい。

文=石井宏美(Number編集部)

photograph by 2018 T.LEAGUE


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