同日に3つのGI、そしてオジュウ。競馬界で起きた珍しい盛り上がり方。

同日に3つのGI、そしてオジュウ。競馬界で起きた珍しい盛り上がり方。

 先週の土日は、いつものGIウィークとは、ちょっと違った盛り上がりを見せた。

 まずは、11月3日、土曜日。障害界の絶対王者オジュウチョウサン(牡7歳、父ステイゴールド、美浦・和田正一郎厩舎)が、平地復帰2戦目となった東京第9レースの南武特別(芝2400m、3歳以上1000万円下、7頭立て)に出走。前走の開成山特別(1着)以来約4カ月ぶりの実戦ながら、好位から抜け出す横綱相撲で優勝し、スタンドを沸かせた。

 前日発売の段階では1番人気に支持されていたのだが、最終的には単勝3.1倍の3番人気に落ちついた。人気先行型と見たシビアなファンが、「応援票」を投じたファンより多かった、ということだろう。

 ところが、蓋をあけてみれば、オジュウチョウサンの強さばかりが目立つレースとなった。スローな流れのなか、道中は3番手で折り合い、直線で力強く抜け出した。外から他馬に並びかけられたら、もうひと伸びして抜かせない、強い競馬で平地2勝目。障害を含めると11連勝目をマークした。

 ゴールの瞬間、武豊は思わずガッツポーズを見せた。勝ちタイムは2分25秒0。2着との差は半馬身だった。

「人気のある馬だから、勝ちたかった。並ばれてからも、いい脚を使ってくれましたね。タイムなどは一線級との差を感じますが、平地2戦目ということを考えると、まだ伸びしろがあると思います」

競馬場の空気を自分色にするスターぶり。

 あまり期待されすぎても困る、といった口ぶりだったが、直線で、外からミルコ・デムーロのブラックプラチナムに並びかけられたら、武は左鞭を入れて馬体を併せに行った。

 馬体を併せての叩き合いになると、格上の馬が威圧感で相手の脚を封じるシーンが競馬ではしばしば見られる。条件戦とはいえ、「王者」の競馬で勝ちをもぎとった。強い馬に乗ったときの、武らしい、凄みのある騎乗だったと言えよう。

 和田調教師の表情も、喜び以上に、重責を果たした安堵の色が濃かった。

「非常にスムーズな競馬で、何も言うことはありません。能力を発揮できたし、課題も見当たりません。馬の状態を見ながらですが、有馬記念の前に、もう一戦はさむ可能性もあると思います」

 次走は、11月25日のジャパンカップか、12月1日のステイヤーズステークスが候補になると見られている。

 土曜日の1000万下特別とは思えないほど観客が多く、ファンファーレが鳴ると拍手が沸き起こった。競馬場の空気を自分の色に染めてしまうスターホースの今後が楽しみだ。

JBC3競走がはじめて京都で開催。

 翌日、11月4日は、京都競馬場でJBCスプリント、JBCクラシック、JBCレディスクラシックのJBC3競走が行われた。

 JBCは、地方の競馬場で開催を持ち回りにして行われてきた。アメリカのブリーダーズカップに範をとり、2001年から実施されているイベントだ。第1回は大井で、クラシックとスプリントが行われた。そして'11年からレディスクラシックが加わった。

 一日に複数のGI(JpnI)を実施することが売りのこのイベントが、ファン層の拡大をはかるため、今年初めて中央の競馬場で行われた。来年は浦和で行われ、また地方の持ち回り開催に戻るという。

 JBC3競走の皮切りに、まず第10レースとしてJBCスプリント(ダート1200m、3歳以上JpnI)が行われた。

 武豊のマテラスカイを、クリストフ・ルメールのグレイスフルリープ(牡8歳、父ゴールドアリュール、栗東・橋口慎介厩舎)がとらえて優勝。同馬は昨年、韓国GIのコリアスプリントを勝っているが、国内のGI(JpnI)はこれが初勝利。

 またルメールは、秋華賞、菊花賞、天皇賞・秋につづくGI4連勝で、単独最多記録の年間GI7勝目となった。JBC3競走は国際グレードではないJpnIなのだが、JRA・GIとしてカウントされるようだ。

JBCにとっても京都にとってもプラス。

 メインの第11レース、JBCクラシック(ダート1900m、3歳以上JpnI)は、福永祐一のケイティブレイブ(牡5歳、父アドマイヤマックス、栗東・杉山晴紀厩舎)が優勝。地方の競馬場では帝王賞、川崎記念といったJpnIを勝っているが、中央の競馬場で初めての重賞勝ちがJpnI制覇となった。

 2着は3歳のオメガパフューム。これら2頭と、昨年の最優秀ダートホースのゴールドドリーム、それを10月の南武杯で破った3歳馬ルヴァンスレーヴといった強豪による砂の王者争いは、例年以上にハイレベルな戦いになりそうだ。

 武の交流GI完全制覇がかかる一戦としても注目されたJBCレディスクラシック(ダート1800m、3歳以上牝馬JpnI)を制したのは、横山典弘のアンジュデジール(4歳、父ディープインパクト、栗東・昆貢厩舎)だった。武のプリンシアコメータは10着に終わった。

 地方競馬としては、今回の試みでJBC3競走の認知度を飛躍的に高めることができた。

 舞台を提供したJRAとしては、GIの谷間を埋めることができたことに加え、アメリカのブリーダーズカップデーや、フランスの凱旋門賞デー、ドバイワールドカップデー、そして香港国際競走デーのように、将来、一日に複数のGIを施行することになった場合のシミュレーションができた。

 JBC3競走にとっても、京都競馬場にとっても、売り上げ、入場人員ともに大幅なアップとなった。いわゆる「ウインウイン」である。

2歳GIにも影響を与える可能性が?

 かつて、秋の東京で土曜日にジャパンカップダート、翌日の日曜日にジャパンカップと短い間隔でGIを開催していた時期はあったが、やはり土曜日だと観客も少なく、注目度も今ひとつだった。

 どうせ12月は香港国際競走に多くの日本の一流馬とトップジョッキーが行ってしまうのだから、それと重ならない日程で、同日に同じ競馬場で2歳の牝牡のチャンピオン決定戦を実施してもいいのではないか。JBC3競走をJRA・GIとして同日に実施したという「前例」ができたことは追い風になるだろう。

 そんなことを考えさせられた、なかなかエキサイティングな週末だった。

文=島田明宏

photograph by Kyodo News


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