ヘルシンキGP圧勝の羽生結弦。4アクセルへの、新たな挑戦。

ヘルシンキGP圧勝の羽生結弦。4アクセルへの、新たな挑戦。

 今シーズンのGPヘルシンキ大会で、羽生結弦は完璧なショートプログラムと、大きなミスのないフリーを滑りきった。

 総合297.12と、2位のミハル・ブレジナ(チェコ)に40ポイント近くの点差をつけ圧巻の優勝。9月末のシーズン初戦オータムクラシックから、30ポイント以上もスコアを伸ばした。

 ルールが大幅に改定されたため、今シーズンから新たにリセットされたスコアシステムの中で、今季の男子が出した最高点である。

「確実にいい練習をしてこれたというのが、演技として出たかなと思います。ただ(フリーの4ループと4トウループの)アンダーローテイションは悔しい。きれいにきめたいと思います。1回試合に勝つだけじゃだめ。しっかりこれ以上のできが試合でできるように、考えながらこの先やっていかなきゃいけないと思っています」

「憧れが詰まったプログラム」

 2度のオリンピック制覇も果たし、勝つべき試合は勝ち、取るべきタイトルは全て手にした羽生結弦。だが彼にとってモチベーションはまだまだ尽きるところがないようだ。

 結果を出すことを最優先とした昨シーズンが一段落し、今シーズンの羽生には新たな滑る喜びがある。

 今季のプログラムは2つとも、彼の「憧れが詰まったプログラム」なのだという。

 SPは元全米チャンピオン、ジョニー・ウィアーが2004年から2006年にかけて滑ったフリーで使用した『秋によせて』。

 フリー『Origin』は、エフゲニー・プルシェンコが長年コラボワークを行ったヴァイオリニスト、エドウィン・モートンによる演奏で、プルシェンコが2003年から2004年にかけて滑ったフリーの曲が取り入れられている。

しがらみに関係なく好きな曲を。

 この2つは、羽生が若い頃に影響を受けた、尊敬する2人のスケーターへのトリビュートとして選んだのだという。

「オリンピックが終わってある意味解放されて、自分がしがらみも関係なく滑りたいと思った曲を使っています。小さい頃の自分が見たら、嬉しいだろうなというプログラム」と、SP後の会見で羽生は語った。

トリビュートで入れた動きも。

 振付の中で、意識をしてトリビュートとして取り入れさせてもらった動きもあるという。SPの『秋によせて』については、こう説明する。

「ジャンプの降りた姿勢とか、曲とジャンプのマッチしているところ……今日のコンビネーションスピンの中に入っていた『シットフォワード(屈んだ姿勢で前にフリーレッグを出し回るスピン)』で腕を使ったりするところも、彼からすごくインスパイアされてぼくはこういうふうにやるようになりました」

 またフリーのほうでは、「コレオシークエンス(後半のステップの部分)のところのイナバウアーで、手をいつもと違って変形させているところが、彼(プルシェンコ)のプログラムのトリビュートとしてやっている。他にも色々あるんですが、見つけていただいたら嬉しい。見つけていただけるように、クオリティを上げたいと思います」

 こうした遊び心があるプログラムを滑る余裕ができたのも、五輪連覇を成し遂げて、肩の荷がおりた今シーズンだったから可能だったのに違いない。

新たな武器4トウループ+3アクセル。

 だが当然、競技を続けるからには勝ち続けなくてはという意識は高い。

 フリーでは、世界初となる「4トウループ+3アクセル」のコンビネーションを成功させた。

 もっとも本番では公式練習ほどきれいにきまらず、わずかながらマイナスのGOE(グレードオブエクスキューション/評価点)がついた。

「このジャンプに関しては世界初とか言われると思うのですが、自分の中ではGOEがちゃんと良いできとしてつかなかったのが残念です。

 ただこのジャンプを入れるきっかけとしては、ダブルジャンプをなくして点数をあげたいという思いがあったので入れました。

 ちょっと挑戦的なことだと思いますし、練習も大変だったんですが、頑張りました」

 現在の男子フリーにおいて、重複できるジャンプは2種類まで、重複できる4回転ジャンプは1種類のみ、コンビネーションジャンプは7回中3度まで、という細かいルールが色々ある。こうしたややこしいルールの中で、いかにして最大限のポイントを取るかと模索した答えが、今季から取り入れた4トウループ+3アクセルという、世界で誰も跳んでいないコンビネーションジャンプだったという。

「4アクセル」は今季中に。

 平昌オリンピック終了直後、競技活動を続けると宣言した羽生。

 そのときは、モチベーションの1つとして4アクセルを跳びたい、と語っていた。

 そのことについて会見で聞かれると、このように説明した。

「今シーズン中にはやりたいと思っています。オータムクラシックの前までは結構アクセルの練習をしていた。でもオータムクラシックの結果を受けて、今こういう練習をしている場合ではないと気付かされました」

今は「完璧なクオリティ」を目指す。

 オータムクラシックではいくつかミスがあり、総合で優勝したもののフリーは韓国のチャ・ジュンファンに次ぐ2位という結果だった。

「とにかく試合で勝たないと意味ないというのが、自分の中で大きなスケートをやる意義になった。今はとにかくフリーとSPを完璧なクオリティでやることが一番だと思っています」

 2週間後にはロステレコム杯があり、そして12月にはおそらくGPファイナルに出場することになる。

「(4アクセルは)やれても全日本(選手権)あとかなと考えています」と言葉を結んだ。

 1つひとつの難関を着実に越え、さらに尽きることのないモチベーションを燃やし続ける羽生結弦。今シーズンはこれからまたどのような演技を私たちの前で見せてくれるのか、楽しみである。

文=田村明子

photograph by Akiko Tamura


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