日米野球ではこのサムライに注目!岡本和真は東京五輪の主砲狙う。

日米野球ではこのサムライに注目!岡本和真は東京五輪の主砲狙う。

 稲葉篤紀監督率いる日本代表「侍ジャパン」の台湾との強化試合が11月7日、ヤフオクドームで行われた。

「試合から遠ざかっている選手を優先的に出そう、と。ピッチャーを含めて。そういう試合勘を戻すというところでした」

 稲葉監督が説明したように、投手は先発の中日・笠原祥太郎投手から7人をつなぐ小刻み継投。5回に3番手の阪神・岩貞祐太投手が捕まり5失点して先制を許す展開となった。

 一方の打線は3番にヤクルト・山田哲人内野手、4番に西武の山川穂高内野手、5番にソフトバンク・柳田悠岐外野手、6番に巨人の岡本和真内野手という打線だったが、台湾の繰り出す投手に沈黙。6回に楽天・田中和基外野手が放った右中間二塁打がチーム初安打で、9回に敵失などもあり反撃はしたが、5対6と1点及ばず、稲葉監督にとってはフル代表初黒星となった。

「まず試合勘を戻すということで」

「台湾のピッチャーは良かったし、バッターの振りも良かった。その中で打たれた、打ち取られたはありましたけど、まず試合勘を戻すということでやっていた」

 9日から始まるメジャーリーグ選抜との日米野球に備えた強化試合という位置づけから、まずは調整優先の試合ということだ。

 ただ、それではその中でどの選手に注目すれば良かったのかといえば、4年目の岡本のバッティングだった。

 ご存知のように今季の岡本は22歳で巨人の4番に定着して3割、30ホーマー、100打点を達成しての初フル代表入りだ。

岡本の打撃は「国際試合向き」。

 クライマックスシリーズ敗退後は、ジャイアンツ球場で調整を続けてきたが、実戦は10月19日の広島とのCSファイナルステージ最終戦以来。

「実戦をやっていた宮崎(秋季キャンプ)が羨ましかったです。見たことのない投手ばかりと言う試合なので……」

 何事も初体験で戸惑いの連続だったが、その中で第1打席は台湾先発の左腕・江辰晏投手の123キロのチェンジアップを右飛。その後も遊ゴロ、二飛で9回1死一、二塁ではフルカウントから四球を選んで4点目のホームは踏んだが、結果は3打数無安打。

「バットのヘッドが出てこなくて。ぜんぜんでした」

 初回の右飛はまずまずの当たりだったが、本人は不満そうにデビュー戦を振り返った。

 だが、そんな岡本の打撃を「国際試合向き」と評するのは、2013年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)など代表で活躍した井端弘和内野守備・走塁コーチだった。

「国際試合ではほぼアウトコースでしか勝負にこない」

 井端コーチの国際試合論だ。

「大事な場面では外角中心の配球」

 2013年のWBC第2ラウンド(日本)の台湾戦では、土壇場の9回に同点タイムリーを放って決勝ラウンド進出の立役者となり、大会打率も5割5分6厘は日本代表の“首位打者”だった。

 その他にも2003年のアテネ五輪アジア予選や'07年の北京五輪アジア最終予選等でも代表入りするなど、国際試合を熟知している同コーチは、その難しさをこう説明する。

「左のいいスライダー投手やファウルでよっぽど粘ったりしない限り、基本的に大事なところではインコースにはこないと思った方がいい。こっちも手探りなら相手も手探り。そうなると、どうしても走者を置いた場面とか、勝負所の大事な場面では外角中心の配球になる」

 これが国際試合の1つの大きな特徴だという。だとすれば、それをどう仕留められるかが打者には求められることになるのだ。

逆方向に強く打てる技術が必要。

「代表で仕事ができる条件があるとしたら、そういう外のボールをしっかり呼び込んで逆方向に打てるバッティングができること」

 井端コーチが自分の経験から導き出した結論だった。

 これは'13年のWBCでソフトバンクの内川聖一内野手とも一致した意見だった。

 ただでさえ動くボールが主流。その上で外角となれば、ボールを呼び込んでしっかり逆方向に強い打球を打ち返せる技術が必要になる。そういう国際大会向けの打撃ができる長距離砲は、今までならDeNAの筒香嘉智外野手の名がまっ先に上がったが、右ではなかなかいなかった。

 その期待が膨らむのが岡本という訳だ。

転機となった1本の本塁打。

「岡本にはその技術がある」

 井端コーチは今季の岡本の開花とシンクロした形で、将来の侍の4番候補として岡本を推す。

「僕は今年の彼の成長は、右方向にもホームランが打てるんだということを自覚したことにあると思っているんです。

 外角の球を逆方向に打っても、こんなもんで(スタンドに)入るんだという感覚をつかんだ。そうするとボールをしっかり最後まで見られるし、強引に行かなくなって率も上がる。

 全ては右方向への意識がしっかりできたことだったと思います」

 今季、岡本の転機となったと言われるホームランがある。

 8月4日のナゴヤドームで行われた中日戦だ。その1回に、左腕・小笠原慎之介投手の外角高めの141キロストレートを右中間スタンドにたたき込んだ。

 それまでも逆方向への意識は高かったが、広いナゴヤドームの右中間に放った一打から、右方向の長打への意識が変わった。

 当てて流すのではなく、右方向へもしっかり捕まえたボールで引っ張る感覚を身につけた。強引に行かなくても、それでしっかりミートできれば十分にスタンドまで届く。

 それが覚醒のカギだった。

井端コーチが想像する岡本の未来。

 次はメジャーリーガー相手の試合が待っている。稲葉監督も日米野球ではどこかで4番を打たせるとも語っていた。

「まだまだそんなレベルに行っていないので頑張ります」

 こう謙遜する岡本の、今後の侍ジャパンでのテーマを井端コーチはこう示した。

「課題は対応力。今まで1打席かかっていたのを、その打席の1球で対応できるようになるとか。でも、そこを磨いていければ国際大会で必ず結果を残せる選手になるはずです」

 今季限りで巨人のユニフォームを脱いだ井端コーチにとっては、岡本とは久々の再会だった。

「ちょっと痩せたんじゃないか? と聞いたら『少し絞りました』と言っていた。普通と逆なんです、アイツは。普通の選手はシーズン中にだんだん体重が落ちていって、オフになると太る。でも岡本はシーズン中の一番きつい夏場に太って、オフにしっかり自己管理して逆に痩せてくる。そういう意識の高さがあるから、必ずもっと成長すると思います」

 東京五輪のある2年後のシーズン。

 3割3分、45本塁打。

 井端コーチが描いたこの成長曲線通りに岡本が育てば、金メダルを狙う侍ジャパンの右の主砲にもなるはずだ。

 その第一歩を日米野球で踏み出すことになる。

文=鷲田康

photograph by SAMURAI JAPAN via Getty Images


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