池上さん風に代表メンバーを解説。選手はともかく、実はコーチ不足?

池上さん風に代表メンバーを解説。選手はともかく、実はコーチ不足?

 みなさん、こんにちは。

 サッカー日本代表、11月の親善試合(16日ベネズエラ戦=大分、20日キルギス戦=豊田)のメンバー23人が発表されました。Number Web編集部から再び、「池上彰さん風に解説をお願いします」というリクエストがあり、編集部の質問に応じる形で進めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

質問(1)「10月のメンバーから長友佑都、小林悠、浅野拓磨が外れ、そこに鈴木優磨、山中亮輔の新顔が入った構成になりました。長友、小林はケガ、浅野はチームでの出番が少ないという状況です。メンバーの入れ替えが最小限にとどまった理由をどう考えますか?」

 理由は簡単です。前回10月、パナマに3−0で勝ち、そしてホームでの親善試合とはいえロシアW杯8強のウルグアイに4−3で打ち勝ちました。結果も内容も伴ったメンバーを入れ替える理由がなかったからだと言えるでしょう。

 中島翔哉、南野拓実、堂安律ら若手アタッカー陣と、ロシアワールドカップの主力を担った吉田麻也、長友、大迫勇也らとの融合をテストしたわけですけど、非常に手応えを感じたんだと思います。

 来年1月のアジアカップ(UAE開催)までに9、10、11月と3度の招集機会があって、森保一監督としては段階的にテストを重ねながら、メンバーを絞っていく考えだったと思います。

乾、香川、岡崎が呼ばれる可能性もあったが。

 ざっくり言えば9月は国内組と若手の融合、活躍した選手とロシアワールドカップ組の融合がその次、そして11月はその2カ月を踏まえたうえでの最終テスト。もし10月の2試合で融合が今イチだと感じたなら、乾貴士、香川真司、岡崎慎司らを代表に呼び戻すプランもあったかもしれません。しかし彼らは出場機会をなかなか得られていない現状もあって、迷うことなく10月のメンバーを踏襲する形になったと考えます。

 アジアカップにはケガで呼ばれなかった選手を加えて、今回のメンバーが基本線になるという明確な意思表示だと思います。もちろん今回の2試合が良かったらという条件はつきますが。意外だったのはケガから復帰して調子を上げている昌子源が呼ばれなかったことぐらいですかね。

鈴木優磨、山中亮輔の選出は当然。

質問(2)「初招集で注目される鈴木、山中はどこを評価されたのでしょうか?」

 2人とも、いつ呼ばれてもおかしくないぐらいの活躍をしてきました。22歳の鈴木は今季、鹿島アントラーズのエースに成長しました。元々ゴール前での勝負強さには定評があり、ここまで自己最多の11得点をマークしています。

 それにキープ力を活かしつつ味方を使うことが非常にうまくなった印象で、ここまでアシストも「9」記録しています。また、対アジアに強いことを証明していることも大きいと言えるでしょう。

 鈴木はACLでも体を張ったプレーで、決勝進出に大きく貢献しました。2年前のクラブワールドカップ準決勝アトレチコ・ナシオナル戦でゴールを挙げてクリスティアーノ・ロナウドを真似たゴールセレブレーションで海外メディアからも取材を受けるなど、大舞台になればなるほど燃えるタイプ。代表戦は多くの注目を集めるだけに、何かやってくれるんじゃないかという期待感があります。

 鈴木と同じく初招集の山中は、横浜F・マリノスの攻撃型サイドバックです。チームはアンジェ・ポステコグルー監督のもと“超攻撃サッカー”に転換し、53得点は首位川崎フロンターレを上回ります。山中の攻撃力がその一翼を担っており、鋭いクロスもさることながら何よりパンチ力十分のミドルシュートが魅力です。甲斐キャノンならぬ山中キャノン。相手にとっても脅威となるでしょう。

 ただ森保監督が会見で指摘したように「パフォーマンスで波がある選手」。安定した守備も求められ、生き残るためにはその部分のアピールも必要になります。

湘南の杉岡大暉も選択肢だったはず。

 左サイドバックは車屋紳太郎もケガで離脱しているため、山中か湘南ベルマーレの杉岡大暉のいずれかが招集されるのではないかと考えていました。いやむしろ、杉岡が呼ばれるだろうなと予想していました。

 というのもルヴァンカップ決勝で両チームは激突し、杉岡は目の覚めるようなミドルシュートで決勝ゴールを奪って大会MVPを獲得しましたから。これも甲斐キャノンならぬ杉岡キャノンでした。直接対決に勝った以上、同じ左利きのサイドバック候補としては、杉岡に勢いがあると感じたからです。

 湘南では様々なポジションを担い、今は左アウトサイドが定位置になっていますが、昨年のU-20ワールドカップでは左サイドバックを任されるなどポジションの適性もまったく問題ありません。

 しかし両者で迷った末に山中を選んだというよりも、違う側面も見えてきます。U−21代表監督を兼任する森保監督は、A代表の試合と日程が重なるU-21代表のUAE遠征メンバーに杉岡を入れています。

 森保監督自身、先のアジア大会で準優勝に貢献した杉岡のことはもちろんよく知っており、このタイミングで一度山中をしっかり見てみたいという気持ちがあったのではないでしょうか。ここは兼任監督のメリットと言えると思います。

コーチの数がさすがに足りない?

質問(3)「今回はA代表とU-21代表の強化日程が重なり、森保監督はU-21代表の指揮を横内昭展コーチに任せる形になりました。このコーチ陣のやりくりも注目されましたが、今後も同様の問題が起こると思うのですが、いかが考えますか」

 いい質問ですね(一度は言わせてください)。今回、U-21代表は森保監督の“右腕”である横内コーチが監督代行を務め、和田一郎コーチもここに入ります。そして2人のコーチが抜けることによって、A代表にはU-16代表の齊藤俊秀コーチ、U−19代表の秋葉忠宏コーチが組み込まれました。

 森保監督は「我々(A代表)がやっていることを各アンダー世代のコーチに経験してもらい、影山ジャパン、森山ジャパンに戻ったときにいろいろな部分で共通認識を持てれば」というプラス思考で捉えています。確かにA代表からアンダー世代まで、共通認識を持って同じようなスタイルで戦っていくことは望ましいし、その意味でカテゴリーの枠を超えたコーチの有効活用は新しい試みだと言えます。

 しかし筆者個人の意見としては、A代表にGKコーチ、フィジカルコーチ以外に専属コーチがいないというのは違和感が残ります。コーチは監督と選手の“橋渡し役”を担うわけであり、2つの代表の日程が重なるたびに体制が変わってしまうことがいいことかどうか。ここは今回のことを、しっかりと検証する必要があるでしょうが、やはりコーチの人員を増やすことを考えたほうがいいとは思います。

 勢いをつけて、アジアカップに入っていけるかどうか。

 甲斐キャノン→カイキャノン→サカイキャノン。

 山中キャノンもいいが、逆サイドの「酒井宏樹キャノン」にも期待したいと思います。

文=二宮寿朗

photograph by AFLO


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