エディー「ジャパンを痛めつける」恩師お得意の心理戦に日本の反応は?

エディー「ジャパンを痛めつける」恩師お得意の心理戦に日本の反応は?

 エディーさんの言葉が独り歩きしている。

「われわれは、ジャパンを“フィジカリー・スマッシュ”します」

 肉体的に徹底的に痛めつけるという意味だ。

「祈りなさい。無事でいられるよう、お寺で祈りなさい」

 今週土曜日、日本代表とのテストマッチを控え、イングランド代表のヘッドコーチ(HC)、エディー・ジョーンズ氏が関係者に話したとされる言葉だ。

 面白いもので、キャッチ―な言葉は人を伝って広がっていく。木曜日に日本代表のメンバー発表があったが、イギリスのテレビ局のインタビュアーは会見に応じたCTBの中村亮土、WTBの山田章仁、FLの西川征克にジョーンズHCの言葉についてどう思うかを問い質していた。

 中では山田が、

「この辺にお寺ないし」

と答えたのが笑わせたが、サントリーに入って1、2年目にエディーさんの指導を受けた西川が、

「半分冗談、半分本気ってところじゃないですかね」

と答えていたのが、的を射ていると思った。

 さらりといなす感じがいい。ジョーンズ氏との付き合いの中で、身につけたものだろう。

史上初めて代表がラグビーの聖地に。

 11月17日土曜日、ラグビー日本代表はイングランド代表の本拠地、トゥイッケナムで歴史的な一戦を迎える。

 代表として史上初めてラグビーの聖地ともいうべきピッチに立つわけだが、ここで中身のある試合をしないことには、次にこのピッチに立てるのがいつになるかは分からない。

 その意味でジェイミー・ジョセフHCをはじめとした首脳陣、スタッフがどんな計画に沿って準備をしてきたのかが問われる一戦となる。

オールブラックスに突かれた弱点。

 取材を進めるなかで、日本代表とイングランドの、試合へのアプローチに大きな違いがあることが浮かびあがってきた。

 ジャパンは11月3日にニュージーランドのオールブラックスと戦った後から、「ブレイクダウン」を強調した練習を行ってきたという。

 この試合でオールブラックスの選手たちは、日本の素早い球出しを防ぐため、タックルに入った選手がそのままボールに絡むことが多かった。反則すれすれのプレーもあったが、レフェリーの傾向を分析し、ぎりぎりのプレーをオールブラックスは仕掛けてきた。

 黒衣軍の老獪なプレーに対応できなかった日本は、イングランド戦に向けて、このエリアを「重点課題」として解決に取り組んできたわけだ。

 アタックではボールに絡まれた場合の2人目の選手のスピード、寄りがポイントとなりそうで、それを見越してFLにあえてサイズの小さい西川を起用したと思われる。とにかく「スピード」と「下への働きかけ」が生命線になるだろう。

エディーに散々絞られた山田は。

 一方のイングランドはどうか。

 ジョーンズ氏は相手を徹底的に分析することから戦略を練る指揮官だ。

 先週はオールブラックスと戦い、15−16と惜敗したものの、相手FBの身長が低いと見て、徹底的に空中戦を仕掛けて、前半途中に15−0とリードを奪ったのは見事だった。

 自分がサントリー、日本代表で指導した選手たちが数多くいることからも、丸裸にされていると思った方がいい。

 弱点と思われるエリアは、スクラム、ラインアウトをはじめとしたセットプレーはもちろん、ブレイクダウン、そしてキック処理など多岐にわたる。果たして、ジョーンズ氏はどこに焦点を絞ってくるだろうか。

 考えれば考えるほど、日本には不利な条件が揃っていると言えるが、日本の選手たちはいたって穏やかだ。エディーさんから散々絞られた山田は、「イングランドでエディーさんに厳しくされている選手がいたら、僕に相談に来て欲しい」と報道陣を笑わせてから、

「相手のヘッドコーチがたまたまエディーさんというだけです」

といなす姿勢を崩さなかった。

それにしても、ジョーンズ氏は嫌な相手だ。

 自分たちの課題に集中し、余分な情報をシャットアウトする日本。

 分析から戦略を導くイングランド。

「フィジカリー・スマッシュ」というジョーンズ氏の言葉を額面通りに受け取ってしまうと、まったく違う戦いに引きずり込まれてしまう恐れも捨てきれない。ジョーンズ氏はメディアを使っての心理戦も得意としているからだ。

 ジャパンとしては、イングランドの圧力をうまくいなしつつ、自分たちのアタックの時間帯をどれだけ作れるかがカギとなるだろう。

 それにしても、ジョーンズ氏が敵将となると、相当嫌な相手になるのだと、改めて実感しているところである。

文=生島淳

photograph by AFLO


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