ラグビー界のパイオニア村田亙、母校専修大をフランス式で強化中。

ラグビー界のパイオニア村田亙、母校専修大をフランス式で強化中。

 専修大学がラグビー関東大学リーグ戦を盛り上げている。

 1部復帰は3年ぶりながら、法政大学、中央大学を撃破。指揮官は日本人第1号のプロラグビー選手としてフランスでプレーした、元日本代表スクラムハーフ・村田亙(むらた・わたる)監督。再建途上ゆえの課題と向き合いながら、母校の強化を進めている。

 日本ラグビー界のパイオニアの1人だ。東福岡高から専大を経て東芝府中へ進んだが、自身3度目のW杯となった'99年大会後、31歳でフランス2部リーグのアビロン・バイヨンヌと契約。日本人初のプロ選手として'01年まで2季プレーした。

 帰国後はヤマハ発動機で40歳まで現役を続け、引退後の'08年から7人制ラグビーの代表監督を4季務めた。そんな専大出身のスターが、'12年、2部で9シーズンを過ごしていた母校の再建に乗り出した。

スカウティングは情熱勝負。

 1929年創部の古豪だが、リーグ戦優勝は村田監督が主将だった'89年度以来遠ざかる。大学選手権の最高成績は1970〜80年代に3度記録したベスト4。現在も高校生のスカウティングは情熱の勝負になる。

「同じ選手を獲るにしても、やはり上に強い学校があるとそちらへ行ってしまうので、早めに声を掛けています。『この選手』という子にはすぐ話をしに行って、専大の魅力であったり、伸びているチームだということを直接伝えます」

 身長198センチの3年生フォワード・山極大貴は、まさに『この選手』という逸材だった。山極は東京・保善高時代、村田監督が出先の日体大グラウンドまでやってきたので驚いた。

「高校時代、たまに日体大のグラウンドを少し借りて練習をしていたのですが、そこにも来て頂きました」

 山極は最終的に専大を含めた5大学から誘われた。しかし山極は「村田さんが熱心で、『ついて行きたい』と思い、専修を選びました」

福岡堅樹を中学時代に発掘。

 '14年、村田監督は就任3年目で13年ぶりとなる1部復帰を果たした。'15年にふたたび2部へ落ちたが、昨年は2部を全勝優勝で1位通過し、入替戦にも勝利。無傷で1部昇格を決めたピッチに、山極の姿もあった。

 スカウトには矜恃がある。7人制の代表監督時代に誘った選手たちは、'16年リオデジャネイロ五輪で羽ばたき、4位に入った。

「当時は学生中心に集めていました。リオ五輪のメンバー14人(バックアップ2名含む)のうちの大半は、当時誘った選手。嬉しかったですね」

 リオ五輪メンバーで、15人制代表としても活躍するウイング・福岡堅樹については「彼が中学3年のときにセブンズのアカデミーに呼びました。当時から噂になってはいましたが、まっすぐ走らせたら一番速かったので、『将来化けるな』と」

 いま福岡は世界で注目されるウイングに大化けしている。

東福岡のレギュラークラスも。

 現在も将来性を見込んで声をかける。今年は村田監督の母校・東福岡から、レギュラークラスが2名入部した。そのうちの一人であるウイングの堀田南雄斗は、勧誘時点でレギュラーではなかった。

「堀田は当時Bチームだったんですけど、その後Aチームに上がって活躍してくれました」

 東福岡のレギュラークラスは、大学選手権の常連校クラスへ進むことが多い。しかし堀田は決めていた。

「高校3年の時はトップレベルではありませんでした。そんなときに村田監督に誘ってもらったので、専大一本で、と決めました。チームワークや仲の良さが伝わりました」

 ただ近年の成長はスカウトの成果ばかりではないだろう。就任7年目を迎え、村田監督が目指すフレンチ・スタイルのエッセンスが浸透しつつある。

「うちはラインアウトモールなどにこだわらず、しっかりとボールを回す。フォワード全員にパススキルがなければできないラグビーです。ハマれば見ていて面白い攻撃になります」

まるでトルシエのように。

 指導方法にもフレンチ・スタイルを採り入れている。

「フランスに行ったとき、コーチ陣がみんな動いていたんですよね。座っていない。動けるうちは動いて教えてあげた方が良いと思っているので、サッカーのトルシエ監督のように、身振り手振りで」

 厳しい練習にも積極的に参加している。1年生の堀田は「フィットネス練習に参加されたりするので、一緒に練習をしているという感じです」。

 なぜ練習に加わるのか。その理由はいかにも40歳まで現役を続けた鉄人らしいものだった。

「フィットネス練習は、『どれくらいきついんだろう』と思って一緒に走ったりします。選手も一緒にいることで『やらなきゃ』と思うでしょう。監督に負けるわけにはいかないでしょうし」

 日本ラグビーの先頭を走ったパイオニアは、舞台を大学ラグビーに移し、今も現役で走り続けている。

文=多羅正崇

photograph by Masataka Tara


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