駒澤大学が見据えるのは「3位以内」。凸凹駅伝からの脱却を狙う順天堂大学。

駒澤大学が見据えるのは「3位以内」。凸凹駅伝からの脱却を狙う順天堂大学。

今回で95回目を数える東京箱根間往復大学駅伝競走。2019年1月の箱根路では、23チームが健脚を競う。特色豊かな各チームが持つ、ポイントをそれぞれ紹介する。

駒澤大学

<予選会1位> <前回大会12位> 53年連続、53回目

狙うは常に「優勝争い」。
平成の王者・駒澤大学が目指す復活。

文=小堀隆司

 トップという言葉が何度も出てくるところに、チームの好調さがうかがえる。

「今回から予選会の距離が(20kmから)ハーフマラソンに延びて、なおさらスタミナが必要だろうと言うことで、春先から走り込みをやってきました。ただ予選会を通過するんじゃない。トップでクリアしていこうというのがうちの狙い。やはりトップで通過しないと、本大会でも上位では戦えないですから」

 大八木弘明監督のもくろみ通り、予選会を断トツで通過すると、チームには強豪校らしい風格がでてきた。11月の全日本大学駅伝は距離の違いに戸惑いながらも4位で来年のシード権を獲得。再び距離がハーフマラソン前後まで延びる箱根駅伝では、3強の一角を崩したいと意気込んでいる。

層の厚さが強みになりつつある。

 チームの核となるのはエースの片西景、主将の堀合大輔ら4年生たちだが、全日本で好走した山下一貴や中村大聖、伊東颯汰など下級生がそこに割って入る勢いだ。

 前回、9年振りに箱根駅伝のシード権を失った原因を「層の薄さ」と振り返るが、今は逆に層の厚さが駒澤大学の強みになりつつある。

「少しずつみんなが自信を持ってきて、上の方だけでなくつなぎも差がなくなってきました。前回はエースの工藤(有生)が不安で急きょ、箱根の経験がない山下を2区で走らせてプレッシャーをかけてしまった。ケガがないように持って行ければ、今回はまずそういうことはないと思う。層の厚さは前回とは比べものにならないので」

 選手が成長したのにはもちろん理由がある。昨年から体幹トレーニングを本格的に取り入れ、その成果が1年半以上経ってようやく実を結び始めた。昨年は寮も新しくなったが、環境の変化もプラスに働いているという。

練習面で加えたアレンジとは。

「どうしても1年目は様子見というか、選手も新しい環境に慣れていないところがあったんです。でも、この寮にはトレーニングルームもあるし、疲労を抜くための酸素カプセルもある。以前は狭くて選手全員が入寮できなかったですけど、それも解消されました。サウナルームはまあ、私とマネージャーが利用することが多いですけど(笑)」

 監督や選手の表情が明るいのは、日々の生活がしっかり充実しているからだろう。

 さらに練習面では、こんなアレンジを加えたと話す。

「うちはけっこう走り込むんですけど、今の子たちは体力的な面で弱い。だからあまり負荷をかけすぎても能率が上がってこないことがあって。それで以前とは量とか質も少しずつ変えたところがあります。夏合宿は朝昼晩の3部練が当たり前でしたが、今季はそれを2部練に落としてみたり、個々のコンディションにより細かく対応してきてます」

”平成の駅伝王者”の意地を。

 春先に調子の上がってこなかったチーム状況を鑑みて、7月には主将を入れ替えるという荒療治にも出た。チーム全員が同じ寮で生活することで以前よりも結束力が増しているという。「2.5冠」という今季の目標が生まれたのは、そんな環境下でのことだった。

「あれは選手が言い出したんです。4年生がミーティングをして、こんなのを考えましたって。学生にもつねにトップグループで戦いたいという気持ちがあるんでしょう」

 出場が叶わなかった出雲駅伝の代わりに、0.5換算とした予選会はきっちり勝った。全日本で4位になったことで目標達成は叶わなかったが、箱根駅伝も当然勝ちに行く。

 監督に箱根駅伝での目標順位を訊ねると、こんな答えが返ってきた。

「やっぱり3番以内ですよ。駒澤大学はつねに優勝争いをしないと。それはつねに言い続けてきていることですから」

 トップという言葉こそ出てこなかったものの、その口調からは秘めたる自信が感じられた。

 平成では最多6度の優勝を誇る“平成の駅伝王者”が、平成最後の箱根駅伝でどんな足跡を刻むのか。王者は虎視眈々と、返り咲きを狙っている。

順天堂大学

<予選会2位> <前回大会11位> 8年連続、60回目

ブレーキ区間をどう無くすか。
2枚の切り札の使い方が重要。

文=小堀隆司

 全日本大学駅伝で順天堂大学は総合13位と奮わず。直後に見かけた長門俊介監督の表情は、さすがに冴えなかった。

「今日の駅伝はデコボコどころじゃない。ずっとこう(低空飛行)ですから。さすがだったのは、区間賞の塩尻だけです」

 順天堂大学が今季のテーマとして掲げているのが凸凹駅伝からの脱却だ。前回の箱根駅伝でシード権を逃したのも、原因をたどれば2つのブレーキ区間を作ったことにある。

 シード権獲得まではわずかに14秒。届かなかった悔しさが、現チームの発憤材料になっている。

「よく一人何秒って言い方をしますけど、あれはみんなが作った14秒だったと思うんです。誰がダメとかではなくて、14秒だったら一人ひとりが誰でも返せた。そういう思いをみんなが感じてほしいと、春先から言い続けてきました」

好不調の波をなくす努力。

 しかし、ちぐはぐなレースは新年度になってからも続いた。全日本の選考会を7位で通過したものの、選手によって好不調の波は明らか。出雲駅伝は箱根駅伝の成績により出場すら叶わなかった。

 夏合宿などを通じて、監督は地道に選手たちにこう言い続けてきたという。

「よく口にするのが、最低限の走りができる選手になろうと。たとえ崩れても、こちらが想定しているタイム内なら良い。でも、今の学生は崩れるときは思い切り崩れてしまう。そういう良いとき悪いときの波をなんとかして減らさないといけません」

 手応えが得られたのは、10月の予選会だった。個人2位でフィニッシュしたエースの塩尻和也を筆頭に、105位までに10人の選手が入り、駒澤大に次ぐ総合2位で本大会出場の切符を手に入れた。

エース塩尻、5区で頼れる山田。

 箱根駅伝の前哨戦とも言える11月の全日本こそ結果は出なかったものの、この結果はある程度織り込み済み。試合前に監督はこう語っていた。

「正直、箱根へのステップにしたいんですけど、先を見据えて下級生をエントリーしたい。4年生には申し訳ないけど、今後のことを考えさせてくれと。エースの塩尻と山田攻が抜けた後のことも、やっぱり視野に入れておかないといけないですから」

 名前の挙がった2人の4年生が順天堂大学の切り札だ。

 塩尻は言わずと知れた学生長距離界のエースで、どの区間を走っても区間賞に近い走りをしてくれるだろうという信頼感がある。

 さらに、箱根駅伝では山田の存在が大きい。これまで2年と3年時に5区を走り、区間5位、区間4位と抜群の安定感を誇る。タイム差の出やすい山上りで強い経験者がいるのは頼もしいかぎりだろう。

真っ向勝負になると思います。

 今季の塩尻について、監督はこう言って成長を認める。

「塩尻の持ち味はやっぱり最初からどんどん行くところ。行けるところまで行って、後半はつぶれてもガマン。これまではそうでした。でも今季はちゃんと後半まで余力を残して最後を上げられるようになってきた。だからほとんどのレースを外してないですよね」

 流れを決められる大エースがいて、特殊区間の5区・6区にも経験者がいる。となれば、やはり課題はそこにどうたすきをつなぐかだ。

 滑り出しの1区に適任者が見つかり、復路の6区までにリードを奪えば、シード権の獲得はおろか、2大会前の4位以上の好成績を収めるのも不可能ではない。

 箱根駅伝に向けての抱負を聞くと、監督は衒いなくこう言い切った。

「うちは真っ向勝負になると思います。前回は1区をどうしようとか、誰にどこを走らせるのか、自分自身にも迷いがあった。今季は本人たちとも話をして、一番力を発揮できる区間に駆け引きなしで選手を送り出したい。駅伝が上手くいくときってパズルのように選手がはまっていくんです」

 残りの期間でどれだけの絵が描けるか。最後のピースを埋める努力が、直前まで続きそうだ。

文=箱根駅伝2019取材チーム

photograph by Yuki Suenaga


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