日本での開幕戦でスタメンが濃厚。イチローの「その後」が楽しみだ。

日本での開幕戦でスタメンが濃厚。イチローの「その後」が楽しみだ。

 早いもので今年も師走の時期を迎えた。

 野球界の師走と言えば、ストーブリーグ真っ盛り。フリーエージェント選手の獲得、トレード交渉とまさに各球団の編成担当責任者は忙しく走り回る時期となる。

 このオフはナショナルズからFAとなったブライス・ハーパー外野手(26歳)やドジャースからFAのマニー・マチャド内野手(26歳)が史上最高額契約を勝ち取ると見込まれる中、マリナーズが主砲であるロビンソン・カノ内野手(36)のトレードを画策するなど、各球団のGMや編成担当責任者たちの動きは携帯電話を片手に慌ただしさを増している。

 12月3日には西武からポスティングシステムでメジャー移籍を目指す菊池雄星の申請も行われ、ストーブリーグはまさに本番となる。

 そんな中、このオフにフリーエージェントとなったある日本人選手の契約が12月を迎えるまでもなく、11月の初旬に早々と決定した。

「来年の春キャンプには招待選手として参加する。キャンプでは若い選手とともにメジャー40人枠を争うことになるが、日本開幕戦にはメジャーリーグのロースター選手として行くことになる。彼にはチャンスをあげたいと思っている」

 彼とは、歴代23位の3089安打を放っているイチロー。5月3日、今季の現役から退き、球団会長付き特別補佐の肩書きに変わったが、その立場も10月31日を持って契約は満了。立場はフリーエージェントとなっていた。

 そのレジェンドに対し、マリナーズのジェリー・ディポトGMは11月6日、カリフォルニア州カールズバッドで行われたGM会議の場で早くも来季の契約を報道陣に発表したのだった。

来季開幕戦でのスタメン起用を示唆。

 3カ月半後に始まる春キャンプの招待選手をこの時期に発表することが異例であれば、開幕ベンチ入りのプランを発表することなど通常はあり得ない。その上でディポトGMは3月20日、21日に東京ドームで行われるアスレチックスとの開幕戦でスタメン起用する可能性にまで言及した。

「開幕戦で4安打出来るかはわからないが、彼はすでに素晴らしい準備ができている」

 2012年に凱旋した日本開幕戦で4安打を放った事実を引き合いに出しながら、よどみない口調で話す姿はリップサービスだけには感じられなかった。

日本開幕戦に出場し、その後は?

 シアトル・マリナーズにとってイチローは言うまでもなく、球団の象徴である。将来的に確実視されている野球殿堂入りも、マリナーズの選手として果たすことは間違いない。その功労者に対するはなむけの道、それが日本開幕戦と感じている者は少なくない。

 更には海外開催となる日本開幕戦では特別措置が採られ、ベンチ入り枠が28人に増える。その恩恵とする者も多い。シアトルで再開されるレッドソックスとの開幕戦からは通常の25人枠に戻ることを考えれば、風評がひとり歩きするのも仕方がないことだ。ディポトGMでさえも「日本開幕戦後のことは今の時点ではわからない」と言った。

 だが彼は、そのあとにこの言葉を付け加えた。

「後のことはオープン・マインドで考えている」

すでに体は春キャンプ前のよう。

 最終的な意志決定は自分の考えだけでなく、他者との関わりや意見も取り入れ、柔軟に考えて行くと言うGMの公の場での発言。もちろん、その時点でのチーム状況も大きく影響してくるであろう。

 今季はわずか1カ月、出場15試合、47打席の機会しか得られなかったイチローだが、チーム事情は今季と来季では大きく違ってくる。

 マリナーズはこのオフ、抜本的なチーム改革に取り組んでいる。今季11勝を挙げた30歳左腕のジェームス・パックストンをヤンキースにトレードで放出。交換要員は若手有望株投手2人と外野手1人だった。

 シーズン当初、イチローと控え外野手の座を争ったギレルモ・ヘリディアはレイズへとトレードされ、見返りとして獲得したマレックス・スミスは「1番・中堅」としての期待があるものの、25歳と若く未知数の部分も多い。

 主砲カノとともに57セーブを挙げ、最優秀救援投手に輝いた24歳のエドウイン・ディアスもトレードで放出する準備を進めている。数年先を見据えるチーム作りへの移行は“先生役のベテラン”が必要となってくる。ディポトGMは先の会議の場で言った。

「イチローが日本へ帰る前にセーフコフィールドで会って話をした。彼はいつものように練習していたよ。体はもうまるで、春キャンプが始まる前のようだった」

 先のことは誰にも分からない。大切なことは今と向き合い、すべき準備を怠らないことだ。そんなイチローにとっては当たり前の日々を、ディポトGMはこの1年間初めて自分の目で見てきた。彼の心をオープンマインドにさせたのは、間違いなくイチロー自身の日々の鍛錬であり、常に真摯に野球と向き合う姿勢だ。

 2019年シーズン。イチローの周りでどんなことが起こるのか。楽しみにしたい。

文=笹田幸嗣

photograph by Getty Images


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