谷口徹50歳、口もプレーも衰えず。世代交代が進むゴルフ界に待った!

谷口徹50歳、口もプレーも衰えず。世代交代が進むゴルフ界に待った!

「最近の若いモンは……」なんてフレーズは、思っていても簡単には口にできない。

 偉そうだと陰口を叩かれたくないし、言葉にした瞬間になんだか老け込みそうでもある。ホントはそんなことを心配している時点で、すっかり若くないことを認めているのだけど。

 2018年の日本男子ツアーは、若いモンがとにかく頑張った。

 重永亜斗夢や秋吉翔太、星野陸也ら20代の選手がシーズンを通して次々と優勝を飾った。その数、実に10人(大会優勝当時)。そのうち7人が初勝利だった。36歳の市原弘大、34歳・額賀辰徳ら中堅プロが手にした待望の初タイトルも、年下の選手たちの勢いがあってこそ、苦労話が引き立つものになった。

 今平周吾は、その潮流の源泉といえる存在だった。

 昨年初優勝を飾り、プロ8年目の今季は10月のブリヂストンオープンの1勝にとどまったが、9試合でトップ5入り。165cmと上背はなくとも、穴の少ないオールラウンダーである。26歳2カ月での賞金王戴冠は、石川遼(18歳)、松山英樹(21歳)に次ぐ日本人選手としてはツアー史上3番目の年少記録。しっかり世代交代が進んだようでもある。

若手に忠告する谷口徹、50歳。

 ただし、これに“待った”をかける人、臆することなく「最近の若いモン」に忠告するベテランがいる。

 谷口徹、50歳。

 今年シニアツアー入りした一方で、5月の日本プロ選手権で6年ぶりとなるレギュラーツアー通算20勝目を挙げた。今季優勝者の平均年齢を上げた張本人である。

 谷口がプロ入りしたのは1992年。ちょうど今平が生まれた年にあたる。

 現在のベテランが初めて賞金シードを獲得したのは29歳の時だった。今年活躍した若者に比べればやや遅咲きではあるが、2002、'07年に賞金王に輝いた。そして今も、いや、50歳である今だからこそ、存在感が光る。

何かが凄くうまいヤツが……。

 今平には近年、ツアー会場でショートゲームを熱心に教えてきた。親と子ほどの年の離れた後輩たちの活躍を喜んではいるが、物足りなさを感じているのも事実。「ちょっとはマシになったぐらいじゃないですか。まだ、全然アカンと思います」とハッキリ言った。

「今の選手は飛距離も出るからそんなに下手ではない。けれど……」と首をひねる。

「一緒に回って『パターがムチャクチャうまいな』、『メチャクチャ、チップが、バンカーがうまいな』というのがいない。やっぱり人より抜き出たものがないといけない。すべて(の技術の高さが)同じレベルでは、同じレベルにしか行かないんですよ」

 こう嘆くのだ。

 毎年春先に行う合宿には積極的に若手を誘って一緒に汗を流す。基本的には優しくない。厳しい言葉をぶつけながら熟練の技を披露する。そうして彼らを見ているうちに、感じることがある。

「練習の時にね、真剣にやっていないとダメです。ショットを曲げても、その後に試合と同じくらいの気持ちで打てないと、試合ではうまくいかない。自分でイメージを作らないと」

「周吾もデータは良いけど」

 いくら若くとも、ただ数を打てばいいという時期は過ぎている選手が多い。限られた練習時間の使い方が、緊張感のあるゲームでの一打に反映される。

「結局、(それぞれが)自覚をしてやらないといけない。目的意識が低い。『そのうちできるだろう』と思っても、その時間はやってこない」

 今平はしっかりと結果を残した。だからこそ強く伝えたい。

「結局最後はパットが効いてくる。周吾もデータは良い(平均パットは今季全体1位)けれど、(年間1回しか)勝っていないというのは、そういうところ。そこを突き詰めていかないと。今平周吾と回ったら勝てないな、イヤだな、という風にはならない」

1cm、1%でもアップしないと。

 チャンスを必ずものにする、勝負強さを身につけてほしいと願う。

「今年勝った選手はもっと上を目指さないと。今のままだったらすぐ落ちていく。マグレの一勝じゃダメです。次の年に必ず1cmでも、1%でもアップできるようにしないと、日々ちょっとずつアップすれば1年間で大きなアップになる」

 主力選手が入れ替わる冬の季節。今年はツアー8勝の手嶋多一が、現役最長の22年連続で確保していた賞金シードを手放した。来年、彼を引き継ぐ形で22年続けての賞金シード選手としてシーズンを戦うのは、谷口、藤田寛之、片山晋呉という歴代の賞金王たちだ。

 同じく50歳となった手嶋は今年の最終戦となったカシオワールドオープンで、こんなことを言っていた。

「年を取るとピンばかりを狙いたくなる。若い方がガツガツ行きそうですけど、罠にはまることが多くなった。遠回りしてでもパーを獲るゴルフをしていかないといけないかな」

難しいホールほど攻撃的にいく。

 だが、これに異を唱えるのも谷口である。

「逆にピンを狙う気持ちがなくなったらダメじゃないかなと思う。ピンを避けて(安全に攻めれば)、予選は通るかもしれないけれど、優勝するには人が逃げるところをあえて攻めてバーディを獲るのも大事なこと。

 僕は今まで、難しいホールの時ほど頑張らないといけない、逆にバーディを獲りたいと思ってやってきた。もちろん調子と相談しながらになるけれど、そういう時は攻撃的にいく。守っていては勝てないから」

 シードの連続記録については、さしたる興味がない。

「過ぎたことやから。僕はそんなに。数字はあくまで数字やから。それを求めてやっているわけじゃない。あくまで積み重ね」

 四半世紀にも及ぶ時間は、いつも優勝だけを狙ってきたことが矜持だ。

飛ばない若手に辛口コメント。

 国内メジャー大会の優勝で、谷口のシードは55歳で迎える2023年までに伸びた。体力が衰えていくのは摂理で、トップツアーで戦い続ける現実はそれはそれで大変そうだが、本人はどこ吹く風。

「身体は動きがすごく良くなった。アドレスに入ってからトップ、ダウンとフィニッシュまでがスムースになった。最近にはなかった感じで気持ちよく振れる」と表情は明るい。

「年はね、あんまり感じない。ボールを替えてから飛距離も伸びて、若い選手と近いところまで行くようになった。最近は楽しい。(飛距離で若手に)勝ったら、いつも言っている。『お前、シニアが近いな。俺より飛ばないなんて。いくつ? 20代か。話にならんな』って(笑)」

 いつまでたっても口うるさく発破をかけるのも、おそらく谷口の天命。一方で、その志は、今なお若いモンのままなのだ。

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文=桂川洋一

photograph by Yoichi Katsuragawa


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