PayPay狂騒曲とインバウンド。スポーツ界にも電子決済の波を!

PayPay狂騒曲とインバウンド。スポーツ界にも電子決済の波を!

 最近話題の電子決済サービス、PayPay。みなさんは使ってみましたか?

「買い物額の20%を還元」「還元の上限は100億円」と大々的に謳ってはじめたキャンペーンは、わずか10日間で上限に到達してしまいました。つまり10日間で約500億円が動いたことになるわけです。

 私は先月、中国・深センに行ったときに大きな衝撃を受けました。今となっては「中国のシリコンバレー」とも呼ばれるこの土地ですが、数年前まではクレジットカードも使えず、受け入れられるのは現金のみ。それが今は、最新のIT社会インフラが国家単位で一気に埋め込まれ、アリババのアリペイや、テンセントの微信支付(WeChat Pay:ウィーチャットペイ)などの電子決済もほぼすべて、まさにあちこちで使えるようになっていたのです。

 現金を使っている人はほとんどいません。日本のようにクレジットカードやSuicaなどの電子マネーでの支払いというステップを飛び越えて、スマホで電子決済が当たり前の時代になっていました。

電子マネーから電子決済へ。

 遅ればせながら日本でもこの時代が始まりつつあります。PayPayのみならず、LINE Pay、楽天Payなど様々なサービスが出てき始め、これからも群雄割拠していくでしょう。それらが淘汰されて何が残るかはわかりませんが、この流れはどんどん加速していくはずです。

 私としても、この電子決済の波が押し寄せてくるのは必然で、もっと自発的に各業界が導入して、今後を考えはじめていくべきなのではないか、と思っています。

 電子マネー対応はすでにかなり広まっています。クレカや電子マネーなどに合わせた社会インフラが様々に進んできたため、電子決済に移行するスイッチングコストもかなりかかるでしょう。

 電子決済業者ももちろんそれはわかっていて、機器の導入コストを一部負担するなどして、導入を加速させようとしています。一部では年内の導入が追いつかないほど、その流れは加速しているとも聞きました。私は導入コストがあったとしても、大小様々な形態の小売店などではすぐに取り入れるべきだと思っています。

電子決済で客単価が跳ね上がった例も。

 主な理由のひとつは、いわゆるインバウンドです。日本に来る外国人観光客は、2018年は3000万人を突破し、これらのインバウンドが日本に来た際に落としていくお金というのはかなりの額になります。昨年は訪日観光客による旅行消費の総額が4兆4161億円と発表されています(観光庁・訪日外国人消費動向調査より)。

 また、こんな事例もあります。観光客が多く訪れる鎌倉のとある人気レストランでは、お客さんの中でインバウンドが占める割合はなんと約36%もあるそうです。さらに別のお店では電子決済を導入した途端、客単価が数千円ほどから、1万円くらいまで一気に上がったというのです。

 自国と同じ感覚でスマホ1つで支払いができ、現金で支払うよりも圧倒的に「お金を払う」という感覚が薄いこともあるのか、飛躍的に物を買ってくれることにつながったという声も耳にします。

日本でスポーツを観るという文化を。

 このように大きな収入源となりうるインバウンドですが、彼らが日本に来てスポーツを観るかというと、その人数はまだまだ相当少ないでしょう。

 我々日本人が海外に行った場合、シアトルに行けばセーフコフィールド(つい先日命名権の新しい契約が交わされ、2019年1月から25年間はTモバイル・パークとなります)でマリナーズの試合を観てみよう、となるし、スペイン・イギリスに行けばリーガ・エスパニョーラやプレミアリーグの試合を観てみようとなりますよね。スポーツの盛んな土地に行けば、旅行のプランの中にスポーツ観戦も選択肢の1つとして入ってきます。

 日本に来たら京都や鎌倉へ行こう、という定番コースのように、日本に来る方々にもそういった文化、選択肢が根付いていく時代も来るでしょう。

 そこでインバウンドの足をスポーツに向かせるための第一歩として、スポーツ界にもいち早く電子決済を導入すべきだ! と思うのです。スタジアムに行って、「ピッ」とスマホをかざせばそこで支払いが完了してすぐに入場できる。中にあるショップでも同じように支払いができれば、もっと手軽にお土産を買っていく人も増えるのではないでしょうか。

ビッグデータをどこが握るかの分かれ目。

 もちろんそれによる問題もあります。まずはセキュリティ。PayPayでも知らないうちにカードが不正利用されていることが問題になりました。個人情報の流出も最近増えており、その辺の危険性は必ずしもなくなるわけではありません。

 どの国の人が日本でスポーツを旅行プランに組み込んで、日本で何を買う人がスポーツを見に来て、そういう人は日本でどういうところに足を運んでいるのか、というビッグデータが海外の電子決済サービス会社に流れることにもなります。しかし日本国内でも早期に日本発の電子決済サービスが広まっていけば、自国内にビッグデータが集積され、それを利用したサービスなどもつくられていくでしょう。

 また、インバウンドの方々が多数観戦することで、スタジアムの熱気を維持するのが難しくなる、という問題も出てくるでしょう。ひいきでもないチームを応援するということは難しく、一体感を生み出すのは難しいかもしれません。

 でもスタジアムにいろんな仕掛けを用意したり、ハーフタイムのショーなどで会場を盛り上げたりもできるはずです。多くの地元ファンを築いた上であれば、インバウンドを取り込むことも利益につながるはず。

 '19年のラグビーW杯、'20年の東京五輪とスポーツ好きなインバウンドがたくさん集まるイベントが待っています。せっかくのチャンスを逃さないために、電子決済はひとつのキーワードとなるのではないでしょうか。

文=池田純

photograph by AFLO


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