松本山雅・高崎寛之が再びJ1へ。「得点王を狙います」を、もう一度。

松本山雅・高崎寛之が再びJ1へ。「得点王を狙います」を、もう一度。

 松本山雅FCのFW高崎寛之が、再びJ1のステージに立つ。

 2018シーズン、4年ぶりのJ1復帰をホームのサンプロアルウィンで決めた最終節の対戦相手は、高崎がクラブ初のJ1昇格へと牽引した古巣の徳島ヴォルティスだった。

 強力なアタッカー陣を揃える相手との戦いは、潰し合いの様相を呈してスコアレスドローに終わった。勝点1を積み上げ、他チームの結果によって昇格を決めたが、高崎はすっきりとは喜べなかった。

「勝ちたかったです。もちろん1年間積み重ねた結果、こうして優勝できてホッとしていますが……」

 山あり谷あり。しかし、最後は必ず這い上がってみせる。彼のキャリアを辿るような1年でもあった。

 今季は開幕スタメンを務めたものの、反町康治監督が2トップのスピードと迫力を模索するなかで、シーズン中盤は先発を外れることもあった。しかし、ケガ人が相次ぐ前線で、計算の立つ軸として再びチャンスを掴み、J1復帰へと導いた。8月18日の29節町田ゼルビア戦(スコアは●0−1)以降、全14試合に先発出場を続けてみせた。

 とりわけ今季の高崎は、良いコンディションを保ち続けた。

「ケガをしない身体作りもしてきました。そうすることで、出場できない選手のぶんまでも戦ってきました。ただ……」

ゴール数は16→19→7。

 もちろんJ1昇格は嬉しい。だからこそ悔やんでいたことがある。

「ゴールが少なかったので、そこは反省をしないといけないと思います」

 2018シーズンは、41試合出場7ゴール8アシスト。

 2016年は37試合16ゴール、2017年は41試合19ゴールと伸ばしたが、今季のゴール数は半分以下まで減った。それでもJ1昇格を果たした。それだけに、ストライカーとしては複雑な気持ちを抱えていた。

「チームはJ2で優勝できましたけれど、個人としては……。もっとゴールを獲りたかったです。悔しい部分はあります」

 彼はそのように本音を吐露していた。

高崎の出た試合は勝ち点を量産。

 実際、シーズン終盤はゴールに絡めずにいた。

 9月23日の34節ロアッソ熊本戦(〇2−0)で2アシストを記録し、翌週の35節のモンテディオ山形戦(△3−3)では1ゴール。しかし、そこから最終節まで7試合、数字に残る結果は出せなかった。

 とはいえそのラスト7試合は、3勝3分1敗と崩れずに勝点を着実に積み重ねた。全試合に先発した高崎の存在があったからこそでもあった。

「身体も痛いところばかりなので、しっかりまた身体づくりをしてから調整したいです」

 シーズンの最後、彼はそう語っていた。

 新シーズン、高崎がJ1のピッチに立てば、2015年のモンテディオ山形時代から4年ぶり(2016年は鹿島にいたが、リーグ戦未出場のまま4月に松本へ移籍)。30代になって初めて挑むことになる。

「どんな形であっても、ゴールを」

 近年のJ1リーグは、30代で輝きを放つケースが目立っている。

 佐藤寿人は30歳で初めて得点王を獲った。大久保嘉人は31歳から3年連続得点王に輝いた。

 興梠慎三も昨年31歳でキャリアハイの20得点を決めた。今季の15ゴールも自身2位の成績だ。小林悠も30歳で初めてMVPを受賞している。

 高崎にとっては、32歳で巡ってきたJ1再挑戦のチャンス。自らの手で掴み獲ったJ1への切符だ。

「泥臭く押し込む形でも、どんな形であっても、ゴールを決める。それがFWの仕事」

 かつて、彼はそう語っていた。フィニッシュに絡んでシュートやラストパスを放ったあと、次の動きが遅れる点などに課題を感じるが、勝負どころを嗅ぎ取る力は増してきたように思う。その力をぜひJ1で見せつけてもらいたい。

「得点王を狙います!」と宣言した時。

 2010年、高崎は水戸ホーリーホックへの1年間の期限付き移籍を経て、浦和レッズに復帰した。

 サポーターを前にしたレッズフェスタで、彼は「得点王を狙います!」と宣言した。水戸への武者修行で覚醒し、2009年に46試合19ゴールと爆発。パワーとスピードを生かし、DFをなぎ倒してでも敵陣に向かっていく。得点ランキング5位に入る成績を残した。

 しかし自信に満ち溢れた24歳のFWは、フォルカー・フィンケ体制下でリーグ5試合1得点と、出場機会すらなかなか巡ってこなかった。

 翌年、ゼリコ・ペトロビッチ監督のもとでは、15試合2得点。まずまず出場機会は得たが、チームはまさかのJ1残留争いに巻き込まれた(そのなかで5月21日の鹿島戦(△2−2)では1得点1アシストとポテンシャルの高さを見せつけた)。

 J2では217試合68得点とコンスタントに活躍してきたものの、J1では74試合10ゴールと結果を残せずにいる。

最前線で「存在感」を出すために。

 2019年。高崎は葛藤のシーズンを送るのではないか。

 チームが勝つために優先すべきは一体何なのか。それは、チームとしても明確にすることが必要だろう。

 松本がJ1残留を果たすとき、高崎は自分の仕事に納得できているはず。ただ、やはりゴールはほしいに違いない。

 松本のために最前線で強気に振る舞い、味方のために潰れることを厭わない。その諦めないスタンスの先に、ゴールはある。

 その実直すぎるほど実直な姿勢は、松本のみならず、彼が在籍してきた浦和、鹿島、山形、そして徳島のサポーターも十分に知っている。

 彼が得点王争いに加われば、松本のJ1残留は間違いない。ただ、そう理想通りに行かなくても……高崎が一皮むけたとき、松本もチームとしてステップアップを遂げるだろう。もちろん、まずは反町監督に認めさせ、ポジションを勝ち取らなければならない。

文=塚越始

photograph by J.LEAGUE


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