H・ベインズとM・リベラ。メジャー殿堂入りの基準を見直すと。

H・ベインズとM・リベラ。メジャー殿堂入りの基準を見直すと。

 今年も、野球殿堂入りの選手が発表される時期が近づいてきた。BBWAA(全米野球記者協会)の投票による発表は1月22日だが、昨年12月初旬には、それに先立ってヴェテラン委員会による推薦選手2名の殿堂入りが決まった。

 この人選が物議を醸している。

 ヴェテラン委員会では、野球史を4つの時代に区切り(草創期=1871〜1949、黄金期=1950〜69、現代野球=1970〜87、トゥデイズ・ゲーム=1988〜現在)、ブロック別に殿堂入り選手を選ぶ仕組みにしている。

 昨年は〈現代野球〉のカテゴリーから、ジャック・モリス投手とアラン・トラメル内野手が選ばれたが、今年は〈トゥデイズ・ゲーム〉のカテゴリーから、リー・スミスとハロルド・ベインズのふたりが選出された。

 通算セーヴ478を記録したスミスは満票(16票)を獲得し、通算2866安打のベインズも12票を得てぎりぎりで条件(75%以上)を満たした。

 スミスの478セーヴは、史上第3位に当たる。マリアーノ・リベラの652セーヴや、トレヴァー・ホフマンの601セーヴには及ばないものの、これは堂々たる数字といってよい。

物議を醸したベインズ選出。

 物議を醸したのはベインズのほうだ。22年間も大リーグで働き(主にDH)、40歳を過ぎて打率3割と25本塁打を記録したのは立派だが、WARの22年間トータルが38.7というのはいかにも寂しい。これはスティーヴ・ガーヴィやポール・オニールとほぼ同水準だ(ふたりとも殿堂入りは果たせなかった)。

 BBWAAの投票率を見ても、候補になっていた5年間で、ベインズは6.19%より多い票を獲得したことが一度もない。

 もしかするとこれは、いまだ殿堂入りを果たしていない(今回で候補になって10年目)エドガー・マルティネスや、これから候補に入るはずのデヴィッド・オルティース(2022年から有資格者になる)といった専任DHに道をつけるための地ならしではないだろうか、という声も聞こえてくるほどだ。

リベラは殿堂入りだろう。

 ま、決まってしまったものは仕方がない。殿堂は殿堂、記憶は記憶と割り切るほかないが、ベインズ当人が「選ばれてびっくりした」と述べている事実は申し伝えておきたい。それでは、2019年に新しく資格を得る選手には、どんな人たちがいるのだろうか。

 まず、自動的に殿堂入りと見られているのは、かつてヤンキースの守護神だったマリアーノ・リベラだ。史上最多の通算セーヴ数(652)もさることながら、ポストシーズンで通算141イニングスを投げて防御率0.70という驚異的な数字には、思わず眼をこすりたくなる。

 1996年から2009年にかけて、ヤンキースがワールドシリーズを5回制覇できたのも、リベラの存在があってのことだ。パナマ出身の選手が殿堂入りするのは、'91年のロッド・カルー以来となる。

ハラデイも有力候補。

 もうひとりの有力候補は、ロイ・ハラデイだ。現役16年間の通算成績が203勝105敗というのはやや物足りなく見えるが、全盛期の投球は「鬼神」を思わせた。とくにシンカーとハードカッターの切れと重みが抜群で、球に押された相手打線がゴロの山を築いていく光景には、凄みさえ感じられたものだ。

 シーズン最多完投を7度、最多完封を4度記録しているのも特筆すべき点だし、完全試合を1度、ポストシーズンでのノーヒッターを1度記録したことも忘れがたい。

 要するに、ハラデイは記憶に残る投手だった。しかも彼は、まだ40歳だった2017年11月、自ら操縦していた水陸両用機の墜落事故で死亡してしまった。嫌な言い方をするようだが、ハラデイを偲ぶ記者はかなりの数にのぼるのではないか。

 彼ら以外の新しい候補(トッド・ヘルトン、アンディ・ペティート、ロイ・オズワルトら)の殿堂入りは、ややむずかしいだろう。ヘルトンの実績はかなりのものだが、30代中盤以降、長打力が急落したのはマイナス材料と思う。

 一方、これまで候補になりつづけてきた持ち越し組のなかでは、先ほども触れたエドガー・マルティネスが有力だ。候補10年目(この年で資格が切れる)のラストチャンスをものにする可能性は、かなり高いと見る。候補6年目のマイク・ムッシーナ投手の選ばれる確率は五分五分。

ボンズ、クレメンスは?

 むしろ私は、候補7年目を迎えたバリー・ボンズとロジャー・クレメンスにどれほどの票が集まるかに注目している。ふたりの卓越した能力が、ステロイド禍という巨大なマイナス要因を差し引いて、なおかつ高く評価されるかどうか。「あんなこと、しなくても十分凄かったのに」と悔しがる記者の数は年々増えているように見える。

 やや強引な推論を申し上げれば、資格の切れる2022年が、ボンズとクレメンスの殿堂入りの年になるような気がしてならない。

 そこでの判断は、この年に資格を得るアレックス・ロドリゲスの得票結果とも関わってくるにちがいない。イチローの名が取り沙汰されるのは、(引退時期によるが)'24年か'25年になってからだろう。

文=芝山幹郎

photograph by AFLO


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