2019年、メジャーが欧州初進出。「世界戦略」は100年以上前から。

2019年、メジャーが欧州初進出。「世界戦略」は100年以上前から。

 1876年に発足したメジャーリーグは、今後、どこへ向かい、どんな発展を遂げていくのだろうか。

 過去「ブラック・ソックス」などの八百長事件、ストライキ、ステロイド時代など数々の事件を経験してきたものの、それらの困難期を乗り越え、近年は順調に、人気、ビジネス面でも活況を呈してきた。それだけに、過去の成功にあぐらをかくことなく、ファンや市場拡大への気概は失っていない。

 2019年は、日本で公式戦開幕となる「アスレチックスvs.マリナーズ」を2試合実施するだけでなく、6月29、30日には、英国の首都ロンドンで欧州初となる公式戦「レッドソックスvs.ヤンキース」の2試合を実施することが決定している。

 つまり、MLB首脳陣、米球界は国内だけに、目を向けているわけではない。

 とりわけ、欧州への初進出は、MLBにとって歴史的なターニングポイントになる可能性を含んでいる。

世界戦略を推進してきた歴史。

 近代野球の黎明期だった1908年(明治41年)、米国球界は、当時「Far East(極東)」と言われた日本に選手を派遣し、日米野球を開催した。その当時、米球界側にどんな思惑があったかは定かではない。

 ただ、その後、日本遠征を繰り返すことで、米国のベースボールが広まり、結果的に日本独自の野球文化が成熟していていったことは、今さら史実を振り返る必要もない。

 昭和の時代に入っても、メジャーリーグは、日本をはじめ海外への視点を絶やすことなく、維持し続けてきた。各球団がドミニカ共和国やベネズエラに若手育成の機関として専属のアカデミーを設置するなど、早い時期から「世界戦略」を推進してきた。

 確かに、ビジネス面での意図はあったのかもしれない。だが、特に当時の米国とは経済レベルに大きな隔たりのあった中南米諸国の未整備な野球市場に対し、一定の投資を継続し続けた事実は、単なる損得だけでは計れないのではないだろうか。

インドのクリケット選手と契約。

 2008年11月には、パイレーツが野球未開の国・インドでクリケットの選手として活躍していた2選手と、史上初めてマイナー契約を交わしたことが、話題になった。当然のことながら、いずれも野球選手として未知数だった。

 だが、野球の原型とも言われるクリケットに熟練し、身体能力が高いことからスカウト陣が推薦。過去の既成概念に捕らわれることなく、新天地に活路を探そうとした。最終的に両選手ともメジャー昇格は果たせなかったものの、その後、実話をもとに『ミリオンダラー・アーム』のタイトルで映画化されるほど、画期的な出来事となった。

 求めていたのは、目の前や身近な結果ではなく、秘められた可能性だったのだろう。

門戸を広げる懐の広さ。

 プロ野球は、シビアな勝敗を競うスポーツであると同時に、興行的な意味合いを含めたエンターテインメントの側面があることも否定できない。ただ、今日、明日のチケット売り上げ高に左右されているようでは、なんとも心許ない。

 身体能力やレベルの違いだけでなく、門戸を広げる姿勢、伸びゆく可能性を消さないスタンス、そこにメジャーの懐の深さがあるような気がしてならない。

 今から140年以上前、米国人選手が日本を訪れた当時、米国で日本人がプレーすることを誰がイメージしただろうか。体格、技術レベルで、大きな隔たりがあったことは言うまでもない。だが、今や日本人選手がメジャーを目指すことは、ごく自然で、当たり前の時代になった。

 今後、欧州をはじめ他国への戦略が、どのように拡大するかは分からない。ただ、数十年後、英国だけでなく、フランス、スペインなど、欧州出身のメジャーリーガーが活躍する光景が、当然のようになっても、おそらく不思議ではない。

文=四竈衛

photograph by Getty Images


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