正直に謝ったことに期待したい!DeNAラミレス監督、初心に返って。

正直に謝ったことに期待したい!DeNAラミレス監督、初心に返って。

 毎年恒例、Number Web版“プロ野球・ゆく年くる年”企画は、全12球団の反省と期待を綴る短期集中連載シリーズです。今年もそれぞれの愛すべきチームについて、しっかりと2018年、そして2019年への思いを発表していきたいと思います。
 第6回は、ニッポンの主砲・筒香嘉智を擁して、再びのAクラス入りを目指す横浜DeNAベイスターズです!

「ああ、ラミレス監督よ、あなたもか……」

 2018年シーズン、横浜DeNAベイスターズを現場取材してきて、常に頭の中に渦巻いていた言葉――人は変わる。それは避けきれないことなのだろうか……。

 違和感は春先からあった。

 まずは前年に不動のリードオフマンだった桑原将志をラミレス監督は開幕早々スタメンから外すと、同様に調子の上がらない倉本寿彦をシーズン序盤にファームへと落とした。ポジションの問題や打撃不振などもあったが、ふたりはある意味、2年連続Aクラス入りをした“ラミレス野球”の象徴的な選手だった。一時は不振であっても信じ、我慢をして使いつづけた。データ重視とラミレス監督はよく言うが、そういった慧眼に優れた面も持ち合わせ、結果、ふたりは指揮官の期待に応え、日本シリーズ進出への原動力になったのではなかったか。

 そんなじっくりと関係を育み、プレイヤーとして成長した桑原と倉本をあっさりと切り落とした。このラミレス監督の判断はあまりにもドライで、まるで過去2年間を否定しているようにも感じられた。

 途絶える系譜。不確かになるチームとしての根幹。

 もやもやとした感情が胸に去来した。

「チームに変化が必要」なのだが……。

 ただ、ラミレス監督としては前年以上の成績を出すにはキャンプ中から「チームに変化が必要だ」と語っていた。

 同じことをしていては上を目指すことはできない。

 監督として2年契約も終了し、単年契約となる3年目。周囲は20年ぶりのリーグ優勝を期待しており、勝負の1年となるラミレス監督からしてみればドラスティックな変化は必然だったのかもしれない。

 ましてや先発陣が不振で投打は噛み合わず、次から次へと怪我人が続出した。結果を出さなければいけない焦りからか、ラミレス監督は悪手を打つこともしばしばだった。

シーズン途中に聞こえた不協和音。

 投打ともにチーム成績はリーグ下位であり、戦力も十分ではないなか、Aクラス争いができたのはラミレス監督の手腕によるところもあると思うも、中継ぎ陣のハードワークや日替わりによるオーダーなど選手起用に関しては“歪み”を感じることも多く、一貫性が見いだせなかった。

 また噂レベルではあったがチーム内部からもラミレス監督への厳しい意見が聞こえてきた。

 過去2年間では感じられなかった危険な兆候。

 ゆえに筆者は冒頭の言葉をシーズン中に頭の中で反芻し続けていた。

 中畑清前監督のあとを受け、新任監督としては類まれなリーダーシップでチームを戦える集団に変えたラミレス監督。

 以前、監督という立場について話を聞いた際、自分は“リーダー型の監督”だと答えていた。

 選手の目線に立ち、ともに考え、やる気を刺激し、指導していく。常に選手の言葉に耳を傾け、時には見本となって背中で示す。また、スタッフの意見をしっかりと自分のものとし、柔軟にチームの舵取りをしていく。

 就任2年目までのラミレス監督は、時に頑固な面もあったが、まさしく“リーダー型の監督”として結果を出していた。

リーダー型からボス型へ!?

 だが3年目のラミレス監督は、言ってみればリーダー型とは対極にある“ボス型の監督”のように感じられる場面が多かった。

 極端に言えばチームのトップに君臨し、あまり周りの意見を聞かず、自分の信念や判断で指揮を行う。トップダウンありきで強権的な印象もともなう。

 NPBの多くの指揮官が“ボス型”であるなか、ラミレス監督は貴重な“リーダー型”であり、また伸び伸びと野球をする自由なベイスターズの気風にも合っていた。

 やはり絶対に結果を出さなければいけないという焦り、過去2年上手くやって来たという驕りがそうさせてしまったのだろうか――。

権力が集中すれば、腐敗する。

 政治でも社会でもそうだが、権力が1カ所にとどまれば、いずれ腐敗する。

 極論かもしれないが、そういった様子を窺えてしまうことが、筆者にとってはチームの不振よりもつらいことだった。

 シーズン中、ラミレス監督は変わらず常にポジティヴな様子ではあったが、ふとした瞬間に見せる瞳の奥は暗く、苦悩が感じられた。

 とくに9月16日の阪神戦は、投手陣が大崩れし、22年ぶりとなる20失点で大敗。CS争いが佳境を迎えているなか、ラミレス監督自身「大事な試合」と位置づけていた一戦だった。試合後「明日しっかりと勝つだけ」と気丈に述べた指揮官だったが、その顔色は完全に失われていた。

 振り返れば、シーズンの流れから見て、この負けは非常に大きかったように思える。

ついに……3年ぶりBクラスに。

 結局、DeNAは苦しい終盤戦を勝ち切ることができず3年ぶりのBクラス。

 あと1勝が遠く、ラミレス監督の変化は実を結ばなかった。いや、もしかしたら変化がなければCS争いさえできなかったのかもしれない。

 いずれにせよ2018シーズンのラミレス監督のやり方では2019シーズンは危険だろうなと思っていた矢先、10月10日のリーグ最終戦後、指揮官は思いもしない反省の弁を述べた。

「我々のコーチは能力が高く素晴らしいコーチだったが、すべての決断を私がしてきたがためにコーチの能力を生かしきれなかった。

 コーチたちには本当に申し訳ないと思っている。

 より良いチーム、より良い組織にするためには、やはり私自身が変わらないといけないと強く感じている」

ここまで素直に謝る監督はいたか?

 正直、ホッとした。

 素直に自分の非を認め、コーチ陣に謝罪をした。

「自分の責任」と反省を述べる監督はそれなりにいるが、このようにペナント終了後すぐ具体的な理由にまで言及した指揮官は、これまでいただろうか。

 コミュニケーション不足により意思疎通ができず強権を発したラミレス監督は、生まれ変わると宣言したのだ。

 リーダー型の監督への回帰。

「失敗から学ぶことは多い」と就任以来、ラミレス監督は述べてきたが、どうやら“裸の王様”にはならずに済んだようだ。

 他球団にくらべ戦力補強もままならず不安が多いのは確かだが、ラミレス監督が初心を取り戻しただけでも2019シーズンに向かい多少なりとも期待ができるというものだ。

文=石塚隆

photograph by Kyodo News


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