女子サッカー初のバロンドール!世界中の女子選手が読むべき受賞談話。

女子サッカー初のバロンドール!世界中の女子選手が読むべき受賞談話。

 今年から新たに創設された「女子バロンドール」(FIFA最優秀選手賞は澤穂希が受賞)は、FIFA加盟の46の国・地域のジャーナリストによる投票の結果、オリンピック・リヨン(OL)に所属するノルウェー代表のストライカー、アダ・ヘゲルベルグ(23歳)が栄誉ある初代女王に輝いた。

 3年連続リーグ得点王にして、2016年に続き2度目のチャンピオンズリーグ得点王も獲得。投票数で第2位だったペルニル・アルデレ(ヴォルフスブルク、デンマーク代表)とのポイント差はわずか6(へゲルベルグの136に対しアルデレは130)。しかし、2018年5月にキエフでおこなわれたUEFA女子チャンピオンズリーグ決勝で、延長戦の末にOLがヴォルフスブルクを4対1と下して3連覇を達成し、頂点対決を制したのが受賞の決め手となったのだろう。

 ちなみに国内リーグも12連覇中のOLからは、このノミネートで5人がトップ10入りし、日本の熊谷紗希も12位(25ポイント)に名を連ねていた。

 バロンドール特集の『フランス・フットボール』誌12月4日発売号では、永遠のパイオニアとなったヘゲルベルグが、編集部が用意した「最初の」を枕詞とする様々な質問に率直に答えている。フランク・シモン記者によるインタビューの抄訳をここにお届けする。

監修:田村修一

――女子バロンドールの創設について。

「女子サッカーが目覚ましく進歩している証拠でありとても大きな一歩であると思う。と同時に、将来は男子だろうと女子だろうと、サッカーに精力を注ぎ、喜びを感じることができれば、バロンドールに値するということになっていくでしょう」

――自身が最初の受賞者になったことについて。

「説明は難しいわ! 『誇りと名誉』という言葉を私はあまり使わないけど、人生において受けた最高の名誉です。

 オリビエ・ブラン(OLのサブGM)が電話してきて、数日後にインタビューが予定されていると言われました。でも媒体が何でどんなテーマかは知らされなかった。その後、彼と直接会ったときに、私がバロンドールを受賞したと言われて、思わず感極まってしまった。いつの間にか涙が溢れて……忘れられない瞬間でした。

 正直に言って、受賞できるとは思っていなかった。OLでは様々な感動的な場面があったけど、バロンドールはまた別だから。

 クラブでタイトルを獲ることを目指して、これまで日々努力してきた。それが達成できた後では、個人タイトルを思い浮かべる。でもバロンドールは、そうしたすべてを超越している!

 その栄誉ある第1回を受賞できるなんて、永遠に語り継がれる権利を得たようなものでしょう。クラブやチームと名誉を分かち合えるのは本当に嬉しい。

 こんなこと言うのは紋切型かも知れないけれども、チームメイト抜きではこの受賞は絶対にありえませんでした」

「6歳からサッカーは第一のスポーツに」

――サッカーを始めたきっかけは?

「まず両親ともにサッカーをしていました。兄たちと姉(PSG所属のアンドリーネ・へゲルベルグ、同じくノルウェー代表)もです。私に選択肢はありませんでした(笑)。

 6歳からサッカーは私の第1のスポーツになり、多くのテストを受けてそれが実践にとても役に立った。そして、テレビで男子のサッカーをたくさん見ましたね。

 ミランやバルセロナ、チャンピオンズリーグ……。それが8歳ぐらいで、本格的にやり始めたのは10歳になってからです」

――最初に好きになった選手は?

「パオロ・マルディニやジェンナーロ・ガットゥーゾ、フィリッポ・インザーギといった選手たちが好きだった。でもシャビやリオネル・メッシ、アンドレス・イニエスタもよく見ていたし、もちろんティエリ・アンリも。

 2009年か'10年に、生まれた町のすぐ近くでおこなわれたオーレ・グンナー・スールシャール(元マンチェスター・ユナイテッド)のキャンプに選抜されて、そこではストライカーに必要な多くのことを学びました。

 彼の話もとても刺激的で、ディテールがどれほど重要かをそのときに知りました」

サッカーでお金を貰える喜び。

――最初にサラリーを得たのは?

「トゥルビネ・ポツダムと契約したドイツで、2012年のことでした。大した額ではなくて日常生活でもいろいろ節約しなければならなかったけど……それでもサッカーでお金を貰えるのは喜びだった。メルセデスもフェラーリも買えない普通の生活でした。

 リヨンはまた別だけど、選手を終えた後も生活が続くことを考えればそう贅沢はしていられない。

 今は十分なサラリーを貰っているけど、将来のためにお金を貯めています」

17歳で初めて国外でプレーを。

――初めて外国でプレーしたのは?

「より高いレベルでプレーするには国外に出ていくしかなかった。

 ノルウェーでリーグの得点王になって、別の世界で新たなチャレンジをするべきだと考えました。17歳でまだ高校も卒業していなかったけど、両親がよく理解してくれて私と姉のアンドリーネの後押しをしてくれたんです。

『うまくいかなかったら家に戻って来ればいいから』と言って、彼らは私をドイツに送り出してくれました。

 そこで得た経験が、次にリヨンに行くためのいい準備になったのです。当時の決断がなかったら、今こうしてOLでプレーしていなかったと思う。

 家を出るときは、たとえどんなに苦しくてホームシックになっても2年は頑張る――と心に決めていました。

 人間として必要なステップだったし、選手としてもとても大きな経験だった。おかげで成長ができました」

代表デビューは酷いプレーだったが……。

――初めて代表に選ばれたのは?

「17歳でドイツに行く直前のことでした。ベルファストでの北アイルランド戦で、得点もできなかったし酷い試合でしたね(笑)」

――最初のワールドカップは?

「2015年のカナダ大会で、北米大陸に初めて行ってとてもいい経験ができました。

 人工芝でのプレーも、天然芝と何も変わらず苦にはならなかった。ベスト16でイングランドに敗れたけどいい思い出になっています(3得点をあげて大会最優秀若手選手にノミネートされた)」

助監督からの電話でOL行きを決意。

――初めてOLのことを知ったのは?

「代表キャプテンのイングリッド・ステンスランドがOLに所属していて、チャンピオンズリーグ決勝で彼女がプレーするのをテレビで見ましたけど……。

 でも私が当時意識していたのは、スウェーデンのロッタ・シェリンだった。私にとっての女子サッカーは彼女がイメージだったし、OLがビッグクラブだと知ったのも彼女を通してでした」

――リヨンから最初のコンタクトがあったのは?

「正確には2014年の夏でした。

 その数か月前に、ポツダムはチャンピオンズリーグベスト16でOLに勝っていて、代理人からOLが興味を示していると電話があった。その直後に――すでにバカンスに入っていたけれども――助監督を務めていたソニア・ボンパストルからも電話があって、『OLがどんなクラブか説明したい』と言われた。それで行くことに決めました」

名物会長の女子サッカー界での貢献。

――はじめてジャン・ミシェル・オラス(OLの名物会長。女子サッカーのよき理解者としても知られる)と話したのは?

「最初の契約にサインしたときです。

 私の知っているオラスは、常に笑顔をたやさず陽気でとても寛大な人物で、彼がこれまでに成し遂げてきたこと、特に女子サッカーに対して貢献してきたことには、心から敬意を抱いています。私のことも信頼してくれているし」

――リヨンでの最初のゴールは?

「ホーム初戦となったギャンガンとの試合で、クロスを左足で振り抜いて、最初の公式戦で決めることができて心からホッとしたのをよく覚えています」

――最初に仲良くなったチームメイトは?

「カミーユ・アビリ(フランス代表DF)で、毎日のように当時私が宿泊していたホテルに会いに来てくれたんです。

 そのときからここは特別なクラブで、特別なグループなんだと理解できた。

 サインするときには何の疑問も抱かなかったけれども、本当は疑念でいっぱいになっても何の不思議もなかった。

 でもすぐに素晴らしい人たちばかりであることに気づいて、彼女たちは両手を広げて迎えてくれたから、私もすぐに打ち解けることができました」

姉妹でまさか対戦するとは!?

――初めてピッチ上で姉のアンドリーネと相対したのは?

「昨シーズンのアウェーのPSG戦(0−0の引き分け)でした。お互いが敵になるなんて想像したことがなくて、特別な瞬間でした。姉が私たちのゴールに向かってシュートを放つのを見るのは不思議な感じでした。

 家族にとって特別な出来事だったけど、両親はちょっと辛かったかも。勝利を求めてふたりが戦って、試合が終わればまた姉妹に戻るのだから」

――ピッチを離れるときにまず想うのは誰のことですか?

「もちろん家族のことだけれども、フィアンセ(ポーランドのレフ・ポズナンでプレーする元ノルウェー代表のトーマス・ログネ)と出会ってからは彼のことも考えます。彼もまた家族の一員といえるから。

 ふたりともサッカーを生業にして、サッカーに情熱を捧げているしお互いに助け合い励まし合っている。サッカーで成功するために、ふたりで出来る限りのことをしています」

文=フランク・シモン

photograph by Jean-Francois Robert/L'Equipe


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