高津臣吾二軍監督に聞いてみた、ヤクルトV字回復の背景と今季展望。

高津臣吾二軍監督に聞いてみた、ヤクルトV字回復の背景と今季展望。

 毎年恒例、Number Web版“プロ野球・ゆく年くる年”企画は、全12球団の反省と期待を綴った短期集中連載シリーズです。今年もそれぞれの愛すべきチームについて、しっかりと2018年、そして2019年への思いを発表したいと思います。
 第10回は、トリプルスリー男・山田哲人、10年ぶりに復帰した五十嵐亮太らを擁する東京ヤクルトスワローズです!

 2018年は、高津臣吾二軍監督の本の企画、構成をすることになり、ヤクルトの試合をよく見た。

 正直、開幕前の期待値はそれほど高くなかった。新しい首脳陣、そして青木宣親がメジャーリーグから帰ってきたとはいえ、なにせ2017年にはシーズン96敗したチームである。野球界の常識に照らし合わせて考えるなら、クライマックスシリーズ(CS)進出はずいぶんと遠い目標に思えた。

 そしてシーズンが始まってみると、やっぱりね……とため息が出る試合が続く。

 4月終了時点で、8勝15敗。今年も厳しいと思っていたら、驚いたことに5月下旬から始まった交流戦から雰囲気がガラッと変わった。そしてなんとなんと、12勝6敗で交流戦で優勝してしまったのである。

交流戦後のV字回復の理由とは?

 なにがヤクルトに起きたのか? 

 初夏からの快進撃を、高津二軍監督がこう分析していた。

「やっぱり、野球は先発。ブキャナン、夏場から小川(泰弘)、原(樹理)が状態を上げてきてゲームを作れるようになった。やっぱり野球は先発なんですよ。先発がしっかりしているからこそ、梅野(雄吾)、近藤(一樹)、石山(泰稚)といったブルペンが生きる。

 ブルペンの勝ち星が増えたのは、先発が踏ん張り、ブルペンがつないで打線が盛り返すという形が出来たからでしょう」

 そしてもうひとつ、夏場になってから変化があったのは、「宣親」だった。

 春、青木は苦戦した。5月末時点での打率は2割6分5厘。「やっぱり年齢なのかなあ」という心配の声も聞かれたが、青木自身は、友人たちに苦戦の理由をこう話している。

「打席に立って、メジャーの感覚で始動するとボールが全然来ない。タイミングが合ってないんですよ。たぶん、慣れれば自ずと打率は上がってくるでしょう」

打撃の職人、青木宣親の復活。

 その通りになった。

 6月以降の月間打率は惚れ惚れするような数字が並んだ。

6月 3割8分8厘
7月 3割7分
8月 3割6分1厘
9月 3割2分7厘

 さすがは打撃の職人。

 青木の「ボールがなかなか来ない」という知覚は正しく、青木の状態が上向くようになって、打線全体が機能するようになった。

 シーズンが終わってみれば、3割打者は青木の3割2分7厘を筆頭に、雄平が3割1分8厘、苦しい序盤を牽引した坂口智隆が3割1分7厘、そして山田哲人が3割1分5厘で本塁打を34本。そいでもって、バレンティンが本塁打38本で期待された通りの仕事をしてくれた。

 これだけの打者が上位に並ぶのだから、競ったゲームに持ち込めば、終盤に逆転のチャンスがある。6月から、ヤクルトは投打の歯車ががっちりと噛み合い、終わってみれば75勝66敗2分けの2位に入る。

 なんとなんと、1年で一気に30勝も積み上げたのである。

 上出来だろう。

菅野智之のノーヒッター時の切なさ……。

 ただし、クライマックスシリーズのファーストステージで、巨人に2試合で1点しか取れずに敗れてしまったのは残念であった。

 しかも第2戦で、巨人の菅野智之にノーヒッターを喫した瞬間を見るのは、切なかった。

 振り返ってみると、青木がレギュラーシーズン終盤にケガをして、CSに登録はしたものの出場機会に恵まれなかったことで、打線が細った感じがした。改めて青木の存在感の大きさを感じたCSだった。

楽しみな若手選手の台頭。

 CSで敗れたとはいえ、2018年のシーズンを見る限り、ヤクルトの未来には大きな可能性がある。二軍では、将来のヤクルトを背負って立つ若手が台頭してきたからだ。

 特に鮮烈だったのは、九州学院高からドラフト1巡目指名で入団した村上宗隆だ。

 9月16日の一軍デビュー戦の第1打席、いきなり本塁打を放った。これだけ興奮を呼び起こすルーキーは、そうそう現れるものではない。

 それ以降一軍ではヒットが出なかったものの、二軍ではシーズンを通して2割8分8厘、17本塁打、70打点に加え、16盗塁をマークして、高卒ルーキーとしては抜群の成績を残している。

 加えて、10月に宮崎で行われたフェニックス・リーグでは、阪神戦での1試合3発を含む17試合で10本塁打をマーク、度肝を抜いた。

村上は間違いなく4番になる。

 将来、村上は間違いなくヤクルトの4番に座る。高津二軍監督はいう。

「来シーズン、村上は一軍で活躍する機会が多くなるでしょう。僕としてはもちろん、一軍でレギュラーに定着するようになったらうれしいけれど、一軍はそうは甘くないです。もしも二軍での時間が必要になったら、じっくりと成長を促します」

 加えて、龍谷大平安高から入団した3年目の先発、高橋奎二が10月2日の横浜DeNA戦で初勝利をマーク。

「いまのところ、10日に一度の先発であれば、十分に仕事が出来る」(高津二軍監督)という高橋だが、体力を上積みしていけば、近い将来、ローテーションの一角を担うようになるだろう。

村上、高橋以外にも多くの若手が。

 高津二軍監督の話によれば、村上のデビュー戦、そして高橋の一軍初勝利の時には、二軍コーチ間のLINEが大騒ぎになったという。高津氏は2019年、二軍監督として3年目を迎える。

「二軍では、ベテランのリハビリ、そして若手の育成がいいバランスで出来るようになってきました。いまのヤクルトには、村上、高橋だけじゃなくて、寺島(成輝)、梅野、野手では捕手の古賀(優大)、内野の廣岡(大志)と楽しみな選手がいっぱいいます。期待してください」

 2018年のヤクルトについては、V字回復を達成し、ファンに将来の可能性を感じさせたことで、“Good Season”と言い切ってよかったと思う。

文=生島淳

photograph by Kyodo News


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