福西崇史もおかんむりの初戦辛勝。「集中力の欠如は今後許されない」

福西崇史もおかんむりの初戦辛勝。「集中力の欠如は今後許されない」

 アジアカップのグループステージ初戦、決勝トーナメント進出に近づくという意味では、トルクメニスタン戦の内容で勝ち点3を獲ったのはポジティブです。ただその試合自体を振り返ると……もしこの状況が続いたら、と心配になりますよね。

 まず基本的なパスやトラップミスが目立ったのが苦戦の大きな要因でした。

 陽射しが強く暑い中での試合で、なおかつトルクメニスタンとは初対戦で情報が少なかった。それぞれがマッチアップする相手の特徴で分からない部分が多く、やりづらさがあったのは間違いないでしょう。

 ただ、大事なところでのミスがあまりに多すぎて、それが失点に直結した。

 サッカーはミスが起こるスポーツなので、仕方ない面はあります。でもトルクメニスタンはカウンター狙いであることは、ピッチに立つ選手なら判断がつくはず。攻撃時のリスク管理にも甘さがあったんですよね。

 2失点ともボールを保持していた自分たちのミスから始まっていて、相手に崩されたわけでなかった。はっきり言ってしまえば「集中力の欠如」によって、痛い目に遭いました。確かに先制点のアマノフのミドルシュートは強烈でしたが、誰かが寄せていれば……あれほどフリーで打たれることはなかったはずです。

2失点目の取られ方が良くない。

 それ以上に気になったのが2失点目のシーンです。

 日本のスローインでボールが入ってから、受け手となった北川が相手に挟まれて奪われたのがスタートになっているんですが、そこで「ボールを取られてしまうんじゃないか」と誰も予測していないのが、最初の対応の遅れにつながっている。

 ボールを奪われた後もカバーに入る選手がいませんでした。フィルターとなるはずの中盤の選手がいないことで真ん中にスペースがぽっかり開いたし、センターバックの槙野と吉田の距離感も広がったままだった。

 あの対応ではペナルティエリアまであれだけ簡単に入り込まれるし、PKを与えたのも当然のこと。

 厳しい言い方になりますが、自分たちでゴールまでの道を作ってしまった。

相手の心が折れかけたのに。

 試合の流れや時間帯など考えても、明らかにもったいない失点でした。

 後半に入ってから3−1とするところまで、日本は立ち直っていました。前半は縦パスを警戒されてボールを奪われ、カウンターを浴びる場面がありました。しかし後半は原口が左サイドで幅を取り、高い位置でのサイドチェンジで相手を揺さぶる場面が増えました。

 相手の対策を上回る柔軟性ある戦いを前半のうちにできれば理想的でしたが、そこは評価できる部分です。

 そうやってリズムをつかんだ日本は、大迫の2得点と堂安のゴールで2点差とした。それに加えてトルクメニスタンの選手は暑さもあって明らかに足が止まったし、立て続けのゴールで気持ちが折れかけていました。

 もう1点取りにいって試合を決定づけるのか、それともボールを回して相手の戦意を完全に喪失させるのか。そういった段階でした。しかしあの2失点目によって、ガッカリしていたはずのトルクメニスタンに勇気を与える形になってしまった。

 これでは相手を助けているようなものだし、自らチャンスを相手に与えてはいけませんよね。

集中力の欠如は許されない。

 もし2点差のままなら、終盤も余裕をもって対応できたはず。でも1点差ということで、トルクメニスタンがタイムアップ寸前まで押し込んできて“もしかしたら追いつかれてしまうんじゃないか”という状況になってしまった。

 繰り返しになりますが、トルクメニスタン戦で一番の問題は「集中力の欠如」。優勝を目指していくためには今後絶対に許されないものです。

 これまでもアジアカップでは、グループステージ初戦で苦しんできた歴史があります。8年前(2011年)優勝した時も、初戦のヨルダン戦は終了間際の吉田のゴールでドローに持ち込みました。自分がプレーした'04年のオマーン戦もシュン(中村俊輔)のゴールでの1−0と、何とか勝ちを拾った形です。それを考えれば、今回も良くない展開ながら勝ち点3を得られたことは大きかった。そういう意味ではポジティブと言えるでしょう。

吉田や長友に期待したい。

 今大会に臨むにあたって、国内組はオフ明けの状況など、コンディションがそれぞれ違う。また中島や守田らが大会前に負傷離脱し、コンディションがまだ整っていない選手もいます。大会を戦いながらピークを持ってくることはすごく難しい。今後そこをどう解決してチーム全体で成長していくか。

 試合後の選手のコメントや表情を見る限り、勝利に喜んでいないし、むしろ危機感がはっきりと見えました。冷や汗をかかされる初戦になったからこそ、期待したいのは8年前の優勝メンバーである吉田や長友です。彼らが若手や初めてアジアカップに臨む選手をまとめあげ、導いていく役割を担ってほしい。

 難しい初戦を経験したことでチームも引き締まるはず。次戦以降は大丈夫だと信じています。

(構成・茂野聡士)

文=福西崇史

photograph by AFLO


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