根尾&小園に「負けてはいけない」。オリのドラ1太田椋の自信と父の夢。

根尾&小園に「負けてはいけない」。オリのドラ1太田椋の自信と父の夢。

 まもなく移転3年目を迎える大阪・舞洲のオリックスの選手寮「青濤館」に、今年も8人の新人選手が入寮した。

 ドラフト1位で指名された天理高校の内野手、太田椋は1月8日、父・暁さんの車で青濤館に到着した。これからプロ生活を送る部屋を見渡し、「とてもキレイで住みやすそう」と笑顔を見せた。

 太田は名門の天理高で、高1の夏から3番・遊撃手のレギュラーとして活躍し、高2の夏には甲子園にも出場した。

 オリックスの長村裕之球団本部長は、「イキのいい内野手というのが今回のドラフトの一番の重要課題でした」と語っていた。

ショートを守れる選手が必要。

 今年度の高校3年生は遊撃手に逸材が集まっていた。その代表が、ドラフトで4チームが競合した大阪桐蔭の根尾昂(中日)と報徳学園の小園海斗(広島)だった。

 オリックスも1位で小園を指名したがくじを外し、外れ1位で太田を指名した。

 近畿地区担当の谷口悦司スカウトは、まず小園を1位指名した理由をこう明かした。

「やはりうちは、ショートをすぐに守れる選手が必要でした。安達(了一)もベテランになってきていますし、その下がなかなか出てきていない。すぐに安達に追いつくレベルの選手を獲らなければということで、能力の高い小園でした。足の速さが飛び抜けていて、守備範囲が広いので、普通ならセンターに抜ける打球もアウトにできるのが想像できました」

 現時点では太田よりも小園の評価が高いのは確かだ。ただ、太田には独特の雰囲気と伸びしろの大きさを感じていたと言う。

太田は「自分」を持っている。

「小園や根尾は華やかさがあって、高校生離れしている。小園はスピードがあり、『こんなことできんねや!』というすごいプレーをするので見ていてわかりやすい。根尾も肩の強さや精神力といった、他の人が持っていないものを持っていると感じます。

 太田はそういう意味では目立ったところがあまりなさそうに見えますが、やはり181cmという体格は魅力です。大型のショートはなかなか出てこないので。この3人の中では一番でかくて、それでいて動きがすごくしなやかで、捕ってからの動きにムダがなく肩も強い。

 それに、雰囲気を持っている。練習態度を見ても、話をしても、自分を持っているというか、いつ見ても浮き沈みが少なく心が動かない。普通スカウトが来ていると、キョロキョロと注意力散漫になったり力んだりする選手が多いんですが、彼はそういうことがまったくなく、黙々とやっているのを見て、あ、すごくいいな、と感じましたね」

 谷口スカウトは生まれ月にも焦点を当てる。

「太田は生まれが遅いんです。例えば小園は6月生まれで根尾は4月、藤原(恭大、ロッテ)も5月。でも太田は2月14日生まれ。現時点で彼らに劣っているのは当たり前だと思う。伸びしろしかないですね」

小園や根尾に負けてはいけない。

 小園や根尾への意識を、太田自身はこう語る。

「負けてはいけない存在だと思っています。高校の時は、まだまだ勝てる存在じゃなかったので、これからしっかり成長していけるように頑張りたいと思います」

 太田自身がもっとも自信を持っているのは「守備の確実性」だ。谷口スカウトもこう話す。

「派手さはないけれど、アウトにできる打球を確実にアウトにできる選手。ピッチャーはファインプレーよりも、アウトにできるゴロを当たり前にアウトにしてもらえるほうがいいですから。宮本慎也さんみたいな、ファインプレーをファインプレーに見せないような選手になってくれるかなというイメージがあります」

坂本勇人のようなショートに。

 太田が思い描く理想像は、巨人の坂本勇人のような“3番ショート”だと仮契約の際に語っていた。

「3割打って、ホームランも20、30本打ちたいですね。打点も100で」

 記者に囲まれながら落ち着いて話す息子の様子を少し離れたところから見守っていたのは、オリックスで打撃投手を務める父の暁さんだった。

 自身が打撃投手を務めるチームに、息子が入団する。それもドラフト1位で。

「どこの球団でも、と思っていましたが、びっくりしました。1位で呼ばれたことに驚きました」

 驚きの次に押し寄せたのは喜びだった。自分と同じ職業を選んでくれたことは「嬉しいですね」と相好を崩した。

 入寮の際には、「とにかく挨拶だけはしっかりするように」と言って息子を送り出したが、「心配しかないですね」と父親の顔をのぞかせた。

父が“一軍”で待っている。

 暁さんは1988年のドラフト6位で内野手として近鉄に入団。一軍で3試合に出場し、引退後は打撃投手となった。

 息子の椋も中学生の頃は暁さんのボールを打って練習しており、「今までで一番打ちやすいボールだった」と振り返る。

「また(父の球を)打ちたいですね」と言う息子。

 父もその日を心待ちにしている。

「頑張って一軍に上がってもらって、一軍で投げたいですね。その時はしっかり抑えたいと思います。いや、ウソです(笑)」

 暁さんの球を打ったことがあるオリックスの選手は、「球がすごくキレイな回転で、全部同じ球が真ん中にくる」と話していた。

 シーズン中は主に、ステフェン・ロメロなどの外国人選手や主軸選手を担当している。それはチームからの信頼度の高さを表している。

 息子とはいえ、シーズン中に父に投げてもらうには、主軸を張るような存在になることが必要だ。その日を目指し、17歳がプロでの第一歩を踏み出した。

文=米虫紀子

photograph by Noriko Yonemushi


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