千葉ジェッツ、バスケ天皇杯3連覇。悲願の2冠へ必要なのは挑戦者の心。

千葉ジェッツ、バスケ天皇杯3連覇。悲願の2冠へ必要なのは挑戦者の心。

 難産の末にたどり着いた3連覇だった。

 第94回天皇杯・全日本バスケットボール選手権大会で優勝を果たした千葉ジェッツ。前々回・前回と連覇を果たしているだけに、大会前から「3連覇なるか」という点に注目が集まっていたのは必然であり、今大会全体の最大の焦点だったと言ってもいいだろう。

 すでにレギュラーシーズンの半分以上を消化したBリーグでも全体の首位を走っている分、3連覇の可能性大という呼び声はことさら高かった。

 しかしながらその戦いぶりを振り返ると、Bリーグ首位やディフェンディングチャンピオンといった肩書を匂わせる要素は薄い。

 ファイナルラウンドの初戦となる準々決勝は第4クォーター終盤に川崎ブレイブサンダースの猛反撃を受け、残り1分を切って10点あった点差はみるみる縮まり、終わってみれば3点差という薄氷の勝利。

 続く準決勝ではアルバルク東京とクロスゲームを演じ、1点ビハインドの残り0.5秒で逆転するという苦しい試合だった。

 そして、決勝は栃木ブレックスにリードを許しながらも追いつき、延長にもつれ込む大熱戦を展開。1点ビハインドを背負った残り16.1秒からのオフェンスで富樫勇樹が値千金の3ポイントを炸裂させ、劇的な幕引きでの優勝となった。

紙一重の激戦をことごとく勝利。

 ファイナルラウンドの3試合は順に3点差、1点差、2点差とすべて1ポゼッションで勝敗が入れ替わる可能性のある点差だった。どこかで1つ間違えればその瞬間に3連覇の夢が潰えてしまうという、トーナメント方式の天皇杯が持つ“一発勝負の怖さ”を感じずにはいられない結果だ。

 同時に行われた第85回皇后杯では、JX-ENEOSサンフラワーズがファイナルラウンドの3試合すべて14点以上の差をつける貫禄の6連覇。Wリーグ10連覇中というリーグの中でも頭1つ抜けた存在である“絶対女王”と千葉を単純には比較できないとはいえ、連覇がかかった立場である点は同じ。

 実に対照的な過程を経た結末だったが、それと同時に、紙一重の激戦をことごとくものにした千葉の底力を証明する戦いぶりでもあった。勝負のかかった重要な場面で持てる力を発揮できることは、千葉の一発勝負での強さに他ならない。

なぜ千葉は天皇杯で強いのか。

 3連覇を期待する声が集まることは、プレッシャーを感じやすい状況に追い込まれるということでもある。はたして千葉はどのような精神状態でこの天皇杯を迎えたのか。

 川崎との激戦を制した準々決勝の試合後、キャプテンの小野龍猛はこう語っている。

「3連覇を皆さんが期待してくれるのは逆にありがたいですし、僕たちは常にチャレンジャーだと思っている。この天皇杯もチャレンジャーとして臨んでいるので、気負いもプレッシャーも特に感じたことはないです」

 王者として受けて立つのではなく、あくまでも自分たちはチャレンジャーだという小野。

 一発勝負の天皇杯に強い自チームについて「たぶんそういう印象は強いですよね」と認めつつ、「リーグ戦と天皇杯は別物だと考えています。全然違いますね」とも語る。

 一方で、その小野が説明する“天皇杯に強い理由”はリーグ戦でも千葉が特に強く意識している部分であり、「別物」のはずの天皇杯でも普段通りの戦い方ができているということを意味するものだった。

相手どうこうではなく。

「しっかり対策を練って、それを遂行できている。そこにどれだけフォーカスできるかだと思います。難しいですけどね、決勝だったりこういう一発勝負の戦い方は……でもやっぱり試合の入り方なんだと思います。過去の2回の優勝もすべての試合で入り方がすごく良かった。それが自分たちの良いところなんじゃないかと思いますね。相手どうこうではなく、自分たちのバスケットをしないと勝てない」

 普段通りの戦い方という点では、準決勝でA東京を破った後の記者会見に出席した富樫も「最後の5分はそれまで追いかけて逆転した相手のほうに勢いがあったと思うんですが、リーグ戦でやってきたことを忘れずに、全員が諦めず戦い続けたのがこの結果につながったと思う」と話す。

 周囲の声に惑わされることなく平常心で試合に臨むという、そのメンタリティーの部分で千葉は他チームに対してアドバンテージを持っているということなのだろう。

リベンジの意識が原動力。

 そしてもうひとつ、千葉の原動力になっていたのは“リベンジの意識”だ。準々決勝で対戦した川崎は、リーグの開幕戦でホームゲーム、川崎のニック・ファジーカス欠場といった有利な条件がそろっていたにもかかわらず連敗を喫してしまった相手。

 準決勝で激突したA東京も昨シーズンのBリーグファイナルで屈辱を味わわされた因縁の相手だ。小野が自チームを「チャレンジャー」と表現したのは、そういった背景も踏まえてのものだったことは想像に難くない。

「開幕の川崎戦はニックが出ていない中で連敗して、悔しい思いもありました。アルバルクにも昨シーズンのファイナルで負けているので、借りを返さないといけないという気持ちは強いです」(小野、準々決勝終了後)

「昨シーズンのファイナルの時のあの気持ちはもちろん忘れていませんし、昨シーズンを振り返ると東京さんとの試合は接戦を落としているイメージだったので、今日も接戦になりましたがそれを勝ちきったのはチームの成長だと思います」(富樫、準決勝終了後)

 これまでに味わった悔しさを糧に、さらなる進化を遂げた千葉。それが結果として表れたのが今回の3連覇だった。しかし、Bリーグ制覇という目標はまだなしえていない。2シーズン続けて逃している“2冠達成”が成就するその日まで、千葉は「チャレンジャー」であり続けるだろう。

文=吉川哲彦

photograph by Kiichi Matsumoto


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