脱臼は完治していないが戦線復帰。Bリーグ川崎・辻直人の復活はいつ?

脱臼は完治していないが戦線復帰。Bリーグ川崎・辻直人の復活はいつ?

 Bリーグも折り返し地点を過ぎ、ここからはチャンピオンシップ進出を巡る争いが激化する。

 Bリーグ初年度の一昨シーズンにファイナルまで上りつめながらあと一歩届かず、昨シーズンはクォーターファイナルで敗退した川崎ブレイブサンダースは、中地区に戻った今シーズンも1月24日現在、地区2位に甘んじている。

 オフの間に手術に踏みきったニック・ファジーカスの出遅れもその一因だが、ファジーカスのエンジンがかかってきたところで今度は辻直人が左肩関節脱臼のケガを負い戦線離脱。一昨シーズンのような安定感が見られず、波に乗りきれないまま後半戦を迎えた。

 盛況に終わったオールスターを挟んで、本格的にリーグ戦が再開した1月23日の第20節、川崎はアウェーで横浜ビー・コルセアーズとの「神奈川ダービー」に臨んだ。年明けに行われた第94回天皇杯・全日本バスケットボール選手権ファイナルラウンドで、辻は当初の見込みよりも早く戦列に復帰した。

12連勝中の横浜に苦戦。

 しかしまだコンディションは万全でなく、その後の第19節と合わせた2試合はベンチスタート。この日も辻はベンチで試合開始を迎えた。

 神奈川ダービーはBリーグ創設以降、すべて川崎の勝利に終わっている。しかしこの日は、第19節終了時点で8勝24敗と苦境にあえぐ横浜が、第1クォーターで24−15と先手を取った。

 川崎は第2クォーターにディフェンスのギアを上げて反撃に転じ、残り39秒にこの試合で初めてリードを奪ってハーフタイムに。第3クォーターは突き放そうとする川崎に横浜も追いすがり、第4クォーターもディフェンスの強度をさらに上げた川崎が一時は18点の大差をつけるが、横浜は川村卓也を中心に得点を重ねて、点差は6まで縮まる。

 最終的には横浜の粘りも届かず、79−70で川崎が神奈川ダービー13連勝を飾ったが、川崎にとってはこれまでで最も苦戦した試合だった。

「まだコンタクトが……」

 その中で辻は13分55秒の出場にとどまり、5得点。横浜の追撃を受けた時間帯も辻の名前が呼ばれることはなく、第4クォーターは1秒もコートに立っていない。出場時間が少なかった理由を、北卓也ヘッドコーチは「ゲーム勘とコンディションの両方」と説明する。

「練習はできていますが、まだコンディションは100%ではないですし、今はオフェンス重視になっていて、まだコンタクト(接触)が怖いのかなと思います。練習からディフェンスがハードにできるようになれば完全復活かなと。

 辻の力はこれから必ず必要になってきます。今は控えですが、本来の彼の力が戻ってくれば『スタートで』ということになるかもしれません。そこはチーム内の競争で、彼には期待しています」

 横浜に追い上げられた場面は、辻の3ポイントで相手の勢いを断ち切ることもできたはずだった。

 この試合、川崎は3ポイントを15本放って成功は3本のみ。そんな時こそ辻のシュート力に頼りたくなりそうなものだが、「詰められた時に『ディフェンスをやらないと』と思って」(北ヘッドコーチ)辻の起用は見送られた。

「焦らずに」と言い聞かせて。

 天皇杯も含めて復帰3試合目であることを考えれば、実績のある辻といえどもこの判断はやむを得ないだろう。

 当の辻自身も、前日に少し体調を崩していたことを明かした上で「ケガした部分もまだ完治はしていないですし、1カ月半くらい休んでいたのでゲーム勘もまだまだ。今日に関しては体調も考えてもらったのかなと思います」と、この試合の自身の起用法を素直に受け入れている様子だった。

 100%のコンディションに戻っているどころか、まだ痛みも完全には消えていないという状況で試合に出場する。うがった見方をすれば復帰を急いだと言える。

 しかし本人は、「まだチャンピオンシップまでは時間があるので、『焦らずに』と自分に言い聞かせている。1試合1試合パフォーマンスを上げていって、ゲーム勘を戻そうと思ってやっています」と語る。今の辻の糧となっているのは、過去の苦い経験だ。

今はとにかくゲーム勘を。

「Bリーグ1年目に腰痛になった時は焦ってしまって、結果的にチームはファイナルまで行けましたが自分の力は出せなかった。焦っても良いことはないですし、今はその分チームが頑張ってくれている。ケガする前よりも良いパフォーマンスを、終盤の大事な試合やチャンピオンシップで出せればと思っているので、今はとにかくゲーム勘や体力を確認しながらパフォーマンスを上げていこうという段階です」

 この試合がそうだったように、アウトサイドシュートが入らずに苦しむ展開はどのチームにもある。川崎もシーズン序盤は通算3ポイント成功率が一時30%を割り込むなど、3ポイントで相手に脅威を与えられない試合が多かった。

 中盤戦以降こそ持ち直しているが、今後チャンピオンシップ争いが激しさを増すにつれてさらに精度を高めていく必要がある。当然ながら、その中で3ポイントシューターである辻が果たすべき役割は大きい。

「優勝するためには自分がチームを引っ張らないといけない。開幕以降、自分も3ポイントの確率は低かったですし、自分の確率が良ければチームを勝たせられる試合も多かったと思うので、後半戦はスタッフも含めてチームからの信頼を取り戻さないといけないと思います。大事な試合で求められるのは自分のアウトサイドシュート。1試合1試合前進できるように取り組んでいきたい」

 自身が見据えるチャンピオンシップに向け、チームのキーマンである自覚を持つ辻は、今その牙を静かに、そして丹念に研いでいるところだ。

文=吉川哲彦

photograph by B.LEAGUE


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