12球団唯一、海外でキャンプイン。日本ハムがアリゾナに行く理由とは。

12球団唯一、海外でキャンプイン。日本ハムがアリゾナに行く理由とは。

 空気やムードが一気に変わる。2019年の野球が始まる。

 私は今、米国アリゾナ州スコッツデールにいる。2月1日に12球団で一斉にスタートする春季キャンプの対応が目的である。2年連続でアリゾナ・ダイヤモンドバックスのキャンプ地を使用し、米国では4年連続でのスタートになる。

 1月28日、成田空港第2ターミナル。大所帯のため大きな別室を準備し、そこを目掛けて集ってくる。栗山監督らコーチングスタッフ、選手全員が球団指定のスーツ姿で勢ぞろいした。現地で合流する新外国人選手を除く、キャンプを一軍でスタートするメンバーが集結するのが、この日である。

 昨年10月、クライマックスシリーズのファーストステージで敗退してシーズンを終了して、翌日に札幌ドームで2018年のチームは解散した。その後のオフには新外国人選手の補強、トレードなどを行い、今シーズンへ向けて激しく舵を切ってきた。久々の再会を楽しむような和気藹々という雰囲気ではなく、どことなく緊張感が漂っている。

栗山監督が強調する意義。

 移動はチャーター便で、成田空港からフェニックス空港へと向かう。約9時間のフライトになる。搭乗ロビー前でセレモニーを終えると、続々と機内へと乗り込む。スーツから機内でリラックスできるジャージーなどへ着替える。

 1年間、ファイターズをカバーする放送局の担当ディレクター、新聞社の担当記者らの多くも一緒に向かう。着陸が近づくと再度、スーツに身を包んでアリゾナへと足を踏み入れる。広報という身分でも、スイッチが切り替わる。

 他球団または球界関係者の知り合いの方々から「どうして、アメリカまで行ってキャンプを張るのか」などと、その意義を問われることも多い。契機は、沖縄でのキャンプ地の名護市営球場が改修していることであるが、メリットは大きいと広報ながらにも考える。

 長距離移動による肉体的負担、またもちろん経済的負担はある。そこを、デメリットとして捉える方々も少なくない。ただ前述した気持ちの部分もあるが、すべてがリセットされ、まっさらなスタートを切れるのだ。

 栗山監督は「オレは好きなんだよね。アメリカでキャンプをする意味ってある。アメリカで、日本へ帰ってから……。やることが、はっきりしている」と話している。

宮台も「違った環境は楽しい」。

 アリゾナへ降り立った瞬間、すべてが一新される。オフから世界が変わるのである。見るもの、飛び交う英語も含めて聞くものなど、五感で受ける刺激すべてが激変する。選手にとっては野球をする環境が、一番だろう。

 広大な練習用のグラウンドはもちろん、使用するクラブハウスのロッカーなど、行きかうダイヤモンドバックスのマイナー選手たち(すでにキャンプインしている)……。過去が完全にシャットアウトされるのである。

 初参加の宮台康平投手も「いろいろ、楽しいです。違った環境で野球をするのは」と琴線に触れていた。

ほぼ雨のない気候がメリット。

 野球に、ただひたすら浸る時間を過ごす。選手たちの大半は宿泊先ホテルから大型12人乗りのバンに乗り合って球場入りする。午前6時始発で15分刻みのピストン輸送。約10分で到着すると、思い思いに準備を整えていく。先に朝食を済ませる選手、ウエートトレーニングやストレッチに勤しむ選手。個々で、全体練習の開始時間を逆算してルーティンを消化していく。

 ファイターズは全体練習の時間は比較的、短い。午後からは、ほぼ自主練習の時間になる。朝夕食は日本食が用意され、ランチはダイヤモンドバックスの選手、スタッフらと同様の米国的なメニュー。3食を球場で摂り、丸1日を過ごすような生活を約2週間過ごすのである。

 日本と比べて娯楽はほぼなく、たまに気分転換で外食をし、休日などを利用してNBAやNHLの試合観戦をする程度。野球以外に、気持ちが揺れる環境ではないのである。

 ほぼ雨が降ることはない安定した気候条件の下で、計算通りに調整も行える。大リーガーとして活躍もした木田優夫投手チーフコーチも「一番のメリットは気候」と言い切る。マイナーの選手が主に練習するフィールドを最多で5面使用でき、数人が同時に投球できる広大なブルペンもある。

心身のメリハリが利いている。

 効率的にメニューを消化して、今年は紅白戦1試合、韓国球団と練習試合1試合を予定。本格的な実戦調整を行うため、日本へと帰国をして沖縄・名護市入りする。日本での1次、2次とキャンプを分けている球団があるが、それ以上に心身のメリハリが利いている。

 時差の関係で日本時間より1日遅い、米国時間2月1日からファイターズの一軍の球春が幕を開ける。チームスローガン「驀進(ばくしん)」の第一歩としたい節目が到来した。

 キャンプイン前日の1月31日、栗山監督は全体ミーティングで説いた。言葉は、少なかった。

「みんな言わなくても、やることは分かっている」

 3年ぶりリーグ優勝、日本一へと大勝負が始まったのだ。

文=高山通史

photograph by Kyodo News


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