巨人キャンプにもう丸佳浩効果!原監督の狙い、坂本勇人の変化とは。

巨人キャンプにもう丸佳浩効果!原監督の狙い、坂本勇人の変化とは。

 進歩に対して、貪欲であること。

 それは名選手の1つの条件だと思う。

 巨人やニューヨーク・ヤンキースで活躍した松井秀喜さんは、プレーヤーとしての成長についてこんな風に説明していた。

「課題があって、その課題を克服するために階段を一歩、一歩、登っていく。ようやく頂上にたどり着いたと思ったら、またその先には階段がある。プレーヤーとして高みを目指すってそういうことだと思う。決して終わりはない。終点はないということです」

 今年の巨人キャンプ。巨人ナインが、自分たちの成長のためにその一挙手一投足に視線を送る選手がいる。

 広島からフリーエージェントで加入してきた丸佳浩外野手、背番号8番だ。

丸の練習を巨人ナインが注視。

 キャンプ初日のティー打撃では左右片手づつ、逆手で握ってなど6種類の打ち方で60スイング。その後は屋外のフリー打撃で68スイングして24本の安打性の打球を飛ばすと、仕上げは木の花ドームで約1時間のマシン打撃を行った。

「ユニフォームを着てやるのは久しぶりなので抑えを利かせてやりました」

 こう語る本人だが、それでも丸がティー打撃を始めると食い入るように巨人ナインが見つめ、フリー打撃でもタイミングの取り方や、足の使い方などを選手が興味深そうに観察している姿が見られた。

 1月の自主トレ期間にはケージで並んで打っていたベテランの阿部慎之助捕手が、右足のタイミングの取り方を直接、質問するなど、丸の加入により巨人ナインが何かを吸収しようとする姿があちこちから見える。

 3割6厘。

 39本塁打で97打点。

 昨シーズンにたたき出したこの数字とは別に、原辰徳監督がフリーエージェントでこの一流を獲得した、もう1つの理由がそこにはある。

1人の選手の加入で、数字以上の効果を。

 1人の選手の加入によって数字以上のチームへの影響がある。この積み重ねがチームの力を底上げして、ムードを変えていくことにつながるという確信だった。

 その“丸効果”は、まだまだ目に見えるものは少ない。その中で具体的な余波として巨人選手の興味を引いているのが、このキャンプから試験的に導入された丸愛用のフェイスガード付きヘルメットだった。

 広島では丸の他にも鈴木誠也外野手が昨シーズンから使用して、他チームでもヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手やソフトバンクの柳田悠岐外野手、中村晃外野手らは、一昨年、もしくは昨年から使いだしているようだ。

 メジャーでもニューヨーク・ヤンキースのジャンカルロ・スタントン外野手やロサンゼルス・エンゼルスのマイク・トラウト外野手らのスラッガーたちが使用しているシロモノで、耳当てから顔を覆うように「Cフラップ」と呼ばれるガードが装着されたものになる。

 目的は死球からの顔面の保護だ。

強打者の宿命「インコース攻め」対策として。

 実際にスタントンはマイアミ・マーリンズ時代の2014年の9月11日のミルウォーキー・ブルワーズ戦で顔面に球が直撃。顔の骨を複雑骨折してそのシーズンの残り試合を棒に振った経験から「Cフラップ」の愛用者となった。

 強打者の宿命といえるインコース攻め。

 その厳しい内角攻めによる頭や顔面へのダメージから身を守るために広まっていったものなのである。

 日本ではまだ「Cフラップ」一体型のヘルメットが市販されていないため、他の日本人選手同様に、巨人でもフラップ部分を別に購入してねじ止めしたものが用意されている。

 昨年10月から使い始めた丸は、「付けてみて違和感がないなら、自分の身を守るために大事だと思います」とその効果を説明する。

 そしてこのニュートレンドに巨人で早速、興味を持ったのが坂本勇人内野手だった。

貪欲に変化し続ける坂本勇人。

 キャンプ初日に「Cフラップ」を試した主力選手は坂本の他にも岡本和真内野手や陽岱鋼外野手ら数人がいた。しかし耳から伸びるフラップで視野が狭まることや、打っている最中にフラップの位置が微妙にずれて気になってしまうこと。また陽のように左肩を持ち上げてバットを構えるとフラップが邪魔になるなど、様々な理由でなかなか継続して手を出そうとする選手が少ないのが現状だ。

 ところが坂本は前向きだ。

「そんなに変な感じはしない。(フラップが)あってもいいのかな」

 こう語って着用に積極的な姿勢を見せているのだ。

 一流になればなるほど、結果を残せば残すほど、変化することに貪欲になっていく。

 坂本もそういう選手である。

年下の筒香にも平気で質問する坂本と秋山。

「あんなにいろんなことを聞いてくる先輩はいないかもしれません」

 DeNAの筒香嘉智外野手が坂本の貪欲さに驚いた話を聞いたことがある。

 話は2年前、2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のときに遡る。

「あの時は坂本さんと(西武の)秋山(翔吾)さんとよく食事に行かせてもらったんですけど、とにかく坂本さんも秋山さんもずっと野球の話をしていました」

 しかも筒香が驚いたのは、2人は自分の話をするのではなく、バッティングの技術的な問題を年下の筒香にも平気で質問してきたことだったというのだ。

「例えばボールをどんな風に待っているのかとか、スイングするときに軸の取り方をどうしているのかとか。『どうやって考えている?』とか坂本さんが平気で年下の僕に聞いてくるんです」

丸佳浩が起こす化学変化に注目!

 要は自分が上手くなるためなら、年上も年下もなく情報を取り込もうとするということだ。

 自分が打者として成長する、より良い選手になるために参考になると思えば、聞かずにいられない。

 違うことも試さずにはいられない。

 丸の使う「Cフラップ」にしても、先入観や今までの自分の常識には囚われずにどんどん取り入れる姿勢を示す。そうして次の段階へと登って行く階段を坂本はまだ、探し求めているということだ。

 丸の加入で巨人ナインが手にする“丸効果”はまだまだあるはずだ。固定観念に囚われず、進化を求め続ける貪欲さが、丸佳浩という1人の選手で化学変化をチームにもたらすはずである。

文=鷲田康

photograph by Kyodo News


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