根尾昂はいつ中日で優勝できる?松坂、田中、大谷の例を見てみると。

根尾昂はいつ中日で優勝できる?松坂、田中、大谷の例を見てみると。

 根尾昂(内野手・大阪桐蔭→中日)のニュースが毎日、ネットやスポーツ紙に大きく取り上げられている。これほど話題になる新人は、過去中日にこれまでいただろうか……。

 2012年の高橋周平(内野手・東海大甲府)、'07年の堂上直倫(内野手・愛工大名電)……いやいや、そんなレベルではない。私の記憶では1988年の立浪和義(内野手・PL学園)以来の騒がれ方である。

 この根尾の存在は、中日にとってとてつもない追い風になると思う。

広角に打ち分けられる技術。

 中日は投手陣も弱体だが、野手陣も弱い。昨年、首位打者と最多安打の二冠に輝いているベストナイン(一塁手)のビシエド、今季31歳になる平田良介、33歳の大島洋平……彼ら以外に安定した戦力はいないと言っていいのではないか。そういう中で、根尾は「即戦力」としての魅力に溢れる。

 昨夏の甲子園大会3回戦では高岡商のドラフト候補・山田龍聖(JR東日本入社予定)から第3打席でライト方向に二塁打。

 準々決勝の浦和学院戦では第1打席で渡邉勇太朗(西武2位)の140キロストレートを左中間にホームラン。

 決勝の金足農戦では吉田輝星(日本ハム1位)から第3打席で140キロストレートをバックスクリーンに放り込んでいる。

 紹介した打球でわかるように、広角に打ち分ける技術をすでに持っており、差し込まれたかと思うところから、さらに押し込んでホームランにするパワーもある。打った相手はドラフト候補や上位指名された本格派ばかりである。

 夏の甲子園大会が終わってから行われた侍ジャパンの壮行試合、高校日本代表対大学日本代表戦では田中誠也(立教大学3年)、小島和哉(ロッテ3位)からヒットも放っている。技術的にも実績でも文句はない。

守備は京田に軍配が上がるが。

 中日では京田陽太とショートのレギュラー争いが待っている。

 京田は守備力に関してはセ・リーグのナンバーワンである。

 刺殺+補殺+失策で算出される守備機会は'17、'18年の過去2年、源田壮亮(西武)にこそ敵わないがリーグ1位。

 その京田を守備で上回るのは難しくても、バッティングと走力を含めた「総合力」では1、2年後には抜けるのではないか。その1、2年を前倒しにしてレギュラーポジションを与えたらどうか、というのが私の意見だ。

 立浪が新人王を獲った'88年を振り返ると、'87年のレギュラーショートは宇野勝だった。当時の宇野は30本のホームランを放ち、ショートでベストナインにも輝いていた。

 リーグを代表する宇野をセカンドにコンバートしても当時の星野仙一監督は内野陣を整備したかったのだろう。そしてこの'88年、6年ぶりのリーグ優勝を果たしている。

コンバートで空気を変える?

 与田剛新監督のプランはわからないが――ヘッドコーチに就任した伊東勤は監督として西武時代('04〜'07年)、ロッテ時代('13〜'17年)、若手の育成・抜擢に実績を残している。ともに2009年の第2回WBCではコーチとして連覇達成に手腕を発揮しているので、信頼関係は築かれている。

 与田監督は伊東ヘッドコーチの若手抜擢の進言には耳を貸すと思うし、そうしないと中日は6年連続Bクラスの泥沼は抜けられないと思う。

 根尾がショートに入って京田がセカンドに回れば、高橋周平がサードに回り、サードの福田永将がレフトに回る可能性がある。

 1人の大物新人が入るということはチーム内のポジションが大きく動く、ということである。

 それは淀んだチーム内の空気に違う流れを作ることにもなる。

人気者が入団したチームは?

 過去20年間、球界には根尾と同様、チーム内の空気を一新してしまうような人気者、スター選手が何人か現れている。

 その結果、チームはどうなったのかを考えてみたい。

 西武は松坂大輔が4年目の'02年にリーグ優勝。

 ダイエーは寺原隼人が2年目の'03年に日本一。

 楽天は田中将大が7年目の'13年に日本一。

 巨人は菅野智之が1年目の'13年にリーグ優勝を飾っている。

 日本ハムはダルビッシュ有が2年目の'06年に日本一、中田翔が2年目の'09年にリーグ優勝、斎藤佑樹が2年目の'12年にリーグ優勝、大谷翔平が4年目の'16年に日本一になり、現在は清宮幸太郎が覚醒する時期を待っている状態である。

 人気者、スター選手が入団しながら優勝に届いていないのは藤浪晋太郎の阪神、松井裕樹の楽天くらいではないか。

活気と緊張感のプラス効果。

 入団した大物が優勝・日本一の直接的な力になったのは(怪我で離脱こそしていたが)松坂、ダルビッシュ、田中、大谷、菅野の5例で、寺原、中田、斎藤は直接力になったわけではない。

 なってはいないのだが……キャンプ中だけでなく、シーズンに入ってからもファンとマスコミが大挙して球団に訪れ、チームに活気と緊張感を与えたという、大いなるプラス効果は無視できないのである。

どの球団でも効果はあるもの。

 人気者の入団から優勝までの最長期間は田中・楽天の7年だ。

 もし根尾を1年目からショートのレギュラーで起用し続ければ、Bクラスが当たり前になっている中日でも7年以内で優勝できるのではないか……という楽天的な想像もできるのではないか。

 日本の野球界全体を騒然とさせるほどの人気選手を入団させた効果は、どの球団でもいつか必ず出るのである。

 根尾ほどのフィーバーは起こしていないが、'11年のドラフトで3球団から1位指名を受けた高橋周平が中日の一軍に定着したのは'18年である。

 6年間、中日は高橋を二軍に塩漬けしたことになるがそれは間違いだったと思う。

 その二の舞は、繰り返してほしくない。

文=小関順二

photograph by Kyodo News


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