今季Bリーグ最大のサプライズ!?中地区首位の新潟を導くベテラン力。

今季Bリーグ最大のサプライズ!?中地区首位の新潟を導くベテラン力。

 今シーズンのBリーグで最大のサプライズと言っていいかもしれない。

 第23節、各チーム38試合を消化した時点で中地区首位を走っている新潟アルビレックスBBだ。

 昨シーズンの中地区はシーホース三河が圧倒的な成績で独走し、名古屋ダイヤモンドドルフィンズが2位に滑り込んでチャンピオンシップ進出を果たした。

 今シーズンは名古屋Dが西地区に移動し、Bリーグ1年目の一昨シーズンにリーグ全体の最高勝率を残した川崎ブレイブサンダースが東地区から戻ってきた。開幕前に下馬評が高かったのはやはり川崎と三河。昨シーズン名古屋DとCS進出を争ってわずかに及ばなかった新潟は、その2チームを追う立場と目されていた。

 ところが、フタを開けてみると新潟は快調に白星を重ね、第7節を終えたところで中地区首位に浮上。三河との4度の対戦で3勝を挙げるなど、第23節までその地位を守り続けている。昨シーズンの勝ち星が28勝であることを考えると、既に27勝を挙げているのは大躍進と呼ぶにふさわしい。

地区優勝を懸けた川崎との初対決。

 ただ、川崎とは同地区にもかかわらず21節まで1度も対戦していなかった。同地区チームとの対戦は6回。残り25試合の約4分の1を川崎戦が占めることになり、その勝敗が地区優勝の行方にも大きな影響を与えることは間違いない。

 その川崎との初対決を迎えたのが1月30日の第22節。星4つの差で2位につける川崎との直接対決は、シーズン後半戦を占う試金石でもあった。

 この重要な一戦で、新潟は試合の入りに失敗した。辻直人とニック・ファジーカスの3ポイントなどで先行を許すと、柏木真介やダバンテ・ガードナーの得点で一旦は1点差に迫るが、そこから1分余りの間に9得点とたたみかけられて一気に10点差となる。

 ただ、タイムアウトで流れを断ち切りたくなるこのタイミングで庄司和広ヘッドコーチはタイムアウトを取らず、コートの5人にゲタを預けている。結果、五十嵐圭の2本の3ポイントなどで第1クォーター終了までに点差を3点まで詰めた。

 第2クォーターに入ると残り6分20秒の時点で同点に追いつき、その後アウトサイドシュートの不調で得点が伸びないものの、ディフェンスでは残り1分34秒の辻の3ポイントまで実に7分にわたって無失点。38−33とリードして前半の20分を終えた。

一度流れを失っても食い下がる。

 しかし新潟は第3クォーターに再びつまずく。川崎に立て続けにアウトサイドシュートを許して中盤に逆転されると、オフェンスではターンオーバーが続いて得点が止まる。

 ディフェンスのプレッシャーをさらに強めてくる川崎に対して受け身に回ってしまい、このクォーターは8得点のみ。9点のビハインドを背負って第4クォーターを迎えることとなった。

 昨シーズンまでの新潟であれば、一度失った流れを取り戻せないまま一気に引き離されてしまうことが多かった。

 だが、シーズン前半の戦いを振り返っても、千葉ジェッツや栃木ブレックスといった強豪との対戦はいずれも敗れたとはいえすべて接戦。相手が引き離しにかかる場面でも我慢を重ねて食い下がった。

かつてのMVP、柏木の手応え。

 そしてこの試合でも、新潟は川崎を追い詰める。ビハインドが10点になったところから、新潟は柏木の得点を皮切りに8点を連取して2点差に迫る。

 川崎も辻とファジーカスの得点で逆転を許さないが、流れが川崎に傾きかけても新潟はガードナーの連続得点で追随。残り40秒の五十嵐の得点で3点差となり、新潟に最後の逆転のチャンスが訪れる。

 しかし、厳しいディフェンスも実らずバーノン・マクリンにバスケットカウントを許し、その後のポゼッションで五十嵐が放った3ポイントはリングに弾かれ、66−71でタイムアップ。川崎との今季初対決は黒星となり、連勝も9でストップとなった。

 シーズン後半の大きなカギになる川崎戦の初戦を落とした新潟。しかし、チームに落胆の色は見られなかった。それは、ここまで土台を築いてきた自分たちへの確信によるところが大きい。

 チームの優勝や自身のMVPなど、華やかな経歴を持つ柏木は、開幕して間もない時期に「強いチームはやるべきことを徹底できるし、我慢もできる。自分たちもそうなっていかなければいけない」と自らの実体験を基に語っていた。試合を重ねてきた今、柏木は確かな手応えを感じている。

五十嵐も「強豪じゃない」。

「開幕当初とはだいぶ変わってきている。今日も10点開いても慌てることなく、我慢して追いつくことができて、チーム力はアップしていると思います。勝負どころの細かい部分をできるかどうかで、強いチームに勝てるかどうかが変わってくる。今はそれができるようになる段階にきていると思います」

 その点に関しては五十嵐も「ビッグリードされても、今の自分たちであればゲームを組み立て直すことはできる」と同調する。

 第1クォーターで庄司ヘッドコーチがタイムアウトを取らなかったのも、我慢できるようになった選手たちへの信頼があればこそ。そして五十嵐は、「これからまだまだ良くなると思う。まだ完成形ではない」とさらなる進化にも自信をのぞかせる。

「今は、強豪チームとどれだけ戦えるかということを確かめているところでもある。チャンピオンシップ出場という大きな目標はありますが、まずは目の前の試合で自分たちがやるべきことをしっかりやるということを目標にやっていきたい」

 2人が強調するのは「自分たちは強豪ではない。あくまでチャレンジャー」という点。高い勝率を残しているとはいえ、まだ何かを成し遂げたわけではない。いわゆる“ベテラン”と呼ばれる2人は、今がまだ道半ばであることを承知している。

 柏木はこの敗戦を「良い薬になった」と振り返った。2人が引っ張るチームは、シーズン後半戦もその歩みを止めることはないだろう。

文=吉川哲彦

photograph by B.LEAGUE


関連記事

おすすめ情報

Number Webの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

スポーツ アクセスランキング

ランキングの続きを見る

スポーツ 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る 動画一覧を見る

記事検索