出遅れて、早めに先頭に立って完勝。東京新聞杯でマイル戦線に新星登場。

出遅れて、早めに先頭に立って完勝。東京新聞杯でマイル戦線に新星登場。

 2月3日、東京競馬場で行われた東京新聞杯を勝利したのはインディチャンプ(牡4歳、栗東・音無秀孝厩舎)だった。

 今年の東京新聞杯は、京王杯2歳S(GII)やアーリントンC(GIII)勝ちがあり、朝日杯フューチュリティS(GI)でも3着に好走したタワーオブロンドンや、同じ東京競馬場芝1600mの富士S(GIII)を優勝しているロジクライ、一昨年の朝日杯フューチュリティS(GI)を優勝しているサトノアレス、他にもロードクエストやテトラドラクマなど、重賞ウィナーを含む計15頭が揃った。そんな中で1番人気に支持されたのがインディチャンプだった。

 同レースでは最近11年間にわたり1番人気馬が敗れていた。1番人気に応えて勝利したのは、2007年のスズカフェニックスが最後。準オープンを勝ち上がったばかりながらも1番人気に支持されたインディチャンプにとって、真価の問われる1戦となった。

5カ月の休みを挟んで本格化。

「昨年の秋、思い切って休ませてから立て直したところ、馬が本当に良くなってきました」

 そう語ったのは音無師だ。

 2歳の暮れにデビューから連勝を飾ると、3歳の夏までに6戦3勝。重賞でも好走し、素質馬の片鱗を見せていた。

 しかしその後、熱発をした事もあり、指揮官は思い切って放牧に出し、馬がしっかりするのを待ってから厩舎に戻す事にした。

 5カ月以上の休み明けでの出走となった昨年12月16日の元町S(準オープン)は、馬体重が前走比+8kgの460kg。数字的にはデビュー時の体重とほとんど変わりないが、体はもっと筋肉質になった感じ。おそらく無駄肉が削れて必要な筋肉がついてきたという事だろう。

 そして、レースぶりは正にそれを確信させるモノ。後方から無理する事無く進出すると、楽々と突き抜け、最後は2着馬に3馬身の差をつけてゴール。本格化を思わせる圧勝ぶりを披露した。

スタートの瞬間「今日はダメかな?!」。

 こうして迎えたのが今回の東京新聞杯だった。

「元々重賞で好走していた馬ですけど、前走の勝ちっぷりが良かったので、今回も期待を持っていますよ」

 音無師はレース前、そう語っていた。

 しかし、「ゲートが開いた瞬間、『今日はダメかな?!』と思った」と語る事になる。各馬一斉にスタートを切る中、インディチャンプだけが出遅れ、後方からのスタートになってしまったのだ。

「スタートのタイミングが悪かったけど、すぐにリカバリー出来ました」

 出遅れたインディチャンプだが、手綱をとった福永祐一騎手がレース後にそう語ったように、スタート後は無理に追われる事無く内からスルスルと進出。すぐに好位につける事が出来た。発馬直後のアクシデントにも鞍上は全く慌てず騒がず、さすがダービージョッキーと思わせる騎乗ぶりで、コーナーもコースロスなく好位のインで追走したのだ。

速い流れを力で押し切って完勝。

 逃げたショウナンアンセムが作った流れは前半の1000mが57秒2という速いモノ。差し、追い込み勢で、能力のある馬により有利になる流れだった。

 そんな流れを、ラスト300m近く残した地点で先頭に立ち、堂々と抜け出したのがインディチャンプだった。速い流れにもかかわらず早目に先頭に立ったため、最後は差し馬勢に差を詰められたが、それでも2着のレッドオルガに半馬身の差をつけて、真っ先にゴールへ飛び込む。いわゆる着差以上に強い競馬ぶりでの優勝劇だった。

 勝ち時計も速かった。1分31秒9。

「前が引っ張ってくれた分、速い時計になりました」と音無師は言うが、それにしても好時計である事は間違いない。速い流れで速い時計になったからこそ、力がある馬でないと勝てない競馬だったと言えるだろう。

「このメンバーだからあんなに早く先頭に立つとは思っていませんでした。1頭になって遊んでしまった分、差を詰められました」

 福永騎手はそう言い、決してバテたり一杯になったために迫られたわけではない事を暗に示した。

安田記念へ直行か、ひとたたきか。

「出遅れた時は『ダメかな?!』と思ったけど、終わってみれば強かったですね」

 音無師はそう口を開くと、更に続けた。

「この後が楽しみになってきました。とりあえずは1回、放牧に出して、安田記念の前にもう1度使うか、ぶっつけで行くか考えたいと思います」

 安田記念は6月2日。東京新聞杯と全く同じ東京競馬場の芝1600mが舞台となる。好時計で走破した疲れをとった上で、更なる成長を促して鍛え直す時間は充分にある。指揮官が果たしてどのような路線を敷くのか、今後の動向に注目したい。

 また、福永騎手は、強い競馬ぶりに「期待が確信に変わりました」と語る。ウィナーズピクチャーの撮影へ向かう前に「GIも楽しみになったね!?」と声をかけると軽く首肯しながら良い微笑みを見せてくれた。

文=平松さとし

photograph by Satoshi Hiramatsu


関連ニュースをもっと見る

関連記事

おすすめ情報

Number Webの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

スポーツ アクセスランキング

ランキングの続きを見る

スポーツ 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

記事検索