F1の最低重量10kg増、実は大改革。長身ドライバー不利は改善するか。

F1の最低重量10kg増、実は大改革。長身ドライバー不利は改善するか。

 F1がほかのスポーツと大きく異なる要素のひとつに、ルール(レギュレーション)が頻繁に変更されることが挙げられる。

 もちろんほかのスポーツでも変更がないわけではないが、F1のように毎年ルールが変わる競技はなかなかない。F1のルールを司る国際自動車連盟(FIA)は、今年もレギュレーションに、さらなる変更を加えた。

 2018年のF1では、じつは史上最速の戦いが演じられていた。これは'14年のパワーユニット導入以来低迷した人気を向上させるため、レースがよりエキサイティングになるよう、'17年にレギュレーションが大きく改定され、スピードアップ化されたからだった。

 新レギュレーション導入によってマシンのスピードは上がり、昨年は全21戦中、じつに16戦でコースレコードが更新された。

オーバーテイク促進の変更。

 だが、レースの大きな魅力の1つであるオーバーテイクという点では、一歩後退してしまった。'17年の新レギュレーションによるマシンは、これまでになくコーナーリングの速いものになった。

 それは反面、ストレート手前のコーナーで前車に近づくことを困難にしてしまったため、最大のオーバーテイクポイントであるストレートで追い抜きするまでに至らなくなったからだ。

 そこでFIAは、オーバーテイクを促進するための対策を検討。これまでよりもフロントウイングのデザインをシンプルにすることで、後方のマシンが乱気流に巻き込まれずに、ストレート手前のコーナーでも近づくことができるようにレギュレーションを変更した。

 これにより今シーズンのF1は、多少コーナーリングスピードが落ちるものの、昨年よりも白熱したバトルが繰り広げられるというのが、FIAの思惑だ。

最低重量「10kg」の見直し。

 もうひとつの大きな変更が、最低重量の見直しだ。これが昨年の733kgから743kgに引き上げられた。重量は10kgの変更だが、問題はその中身だ。

 F1の最低重量にはドライバーも含まれる。セッション中にFIAが抜き打ちで車重の検査を行う際、ドライバーがコクピットに収まったまま行なう方がスムーズだからだ。

 その結果、体重が軽いドライバーと重いドライバーでは、マシンそのものの重さが変わってくるという事態が発生するようになった。

 正確に言えば、最低重量は決まっているので、一般的にチームは2人のドライバーの重いほうに合わせてマシンを製造し、軽いほうのドライバーが乗るマシンには、バラストと呼ばれるおもりをマシンの底部にはめ込むことで最低重量をクリアする。

 つまり、同じ最低重量のマシンでも、体重が軽いドライバーと重いドライバーでは重心が異なる。先にも述べたように、近年のF1マシンは、空力の進化によってコーナーリングスピードが著しく上がった。

 遠心力は速度の2乗に比例して大きくなるため、マシン底部にバラストを積める小柄のドライバーより、重心が高くなってしまう大柄のドライバーのほうが、条件は不利になる。

長身ドライバーが過酷な減量。

 そこでこの数年は、長身ドライバーの多くがプロボクサー並みの減量を行なうようになった。中には筋肉を落とすためにウェイトトレーニングを減らすという、アスリートとしては理想的とは言いがたいダイエットを行う者まで出てきた。

 こうした事態を憂慮したFIAは、打開策として今シーズンから最低重量の仕組みを変えた。

 これまでは車体とドライバーを単純に足していたが、今年からはドライバーの最低重量を80kgに設定。この重さにはシートも含まれているため、小柄なドライバーはシートにバラストを積まなければならなくなった。それでも、体重が軽いほうが有利であることに変わりはないが、バラストを自由に搭載できた昨年までに比べれば、その差は縮まる。

70kg以上のドライバーは8人。

 なお2019年に参戦するドライバーのうち、体重が70kg以上あったのは以下の9人である。

バルテリ・ボッタス(173cm、70㎏)

ダニエル・リカルド(179cm、70kg)

ニコ・ヒュルケンベルグ(184cm、74kg)

ロマン・グロージャン(181cm、71kg)

ランス・ストロール(180cm、70kg)

キミ・ライコネン(175cm、71.5kg)

アレックス・アルボン(186cm、74kg)

ロバート・クビサ(183cm、72kg)

ジョージ・ラッセル(185cm、70kg)

 新しいシーズンのF1を戦う新車は、まず2月7日にハースが発表。11日からは他チームも続々と公開していく。

 これまでも、世界最高峰のマシンを開発してきたF1のエンジニアたちは、レギュレーションによる規制を上回るマシンを作り上げてきた。果たして、'19年のニューマシンはいかなる出来となっているのか。そして、そのマシンのステアリングを握るドライバーたちは、どこまで体を鍛えているのだろうか。

 その答えは、2月18日からスペイン・バルセロナにあるカタロニア・サーキットでスタートする合同テストで明らかになる。

文=尾張正博

photograph by AFLO


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