若い芽が育たないマンCは大丈夫?ペップ絶賛の至宝すら低い序列。

若い芽が育たないマンCは大丈夫?ペップ絶賛の至宝すら低い序列。

 ジョゼップ・グアルディオラ監督就任後、マンチェスター・シティは様変わりしている。

 ジョン・ストーンズ、イルカイ・ギュンドガン、ガブリエル・ジェズス、ラヒーム・スターリング、レロイ・サネ、エデルソン、ベルナルド・シウバ、カイル・ウォーカー、バンジャマン・メンディ、アイメリック・ラポルテ、リヤド・マフレズと、絶え間ない攻撃が可能になるタレントが次々に加わっている。

 彼らとダビド・シルバ、セルヒオ・アグエロ、ケビン・デブライネ、フェルナンジーニョの競演によってプレミアリーグを制し、いまやチャンピオンズリーグの優勝も狙える強豪に変貌を遂げた。

 もちろん、失敗もあった。GKクラウディオ・ブラボはプレミアリーグならではのプレー強度に対応できずに苦しんでいる。戦術理解に難のあったノリートは昨季セビージャに追われ、ダニーロもグアルディオラの信頼を得るまでには至っていない。

芽が出ない下部組織の才能。

 また、下部組織出身の選手もトップチームの分厚い壁に阻まれ、豊かなはずの才能を発揮できていないようだ。

 ドルトムントで活躍しているとはいえ、ジェイドン・サンチョの居場所はシティになかった。

 この冬、レアル・マドリーに新天地を求めたブラヒム・ディアス、シャルケに移籍したラビ・マトンドも同様で、アグエロ、スターリング、サネ、マフレズ、G・ジェズスと定位置争いができるレベルに達していない。

 シティは長い間、下部組織出身の選手が台頭していない。おそらく、2006-07シーズンのマイカ・リチャーズ、マイケル・ジョンソンが最後であり、この両選手も結局は鳴かず飛ばずだった。

 リチャーズはシーズンを重ねるごとに肥大化し、三流プロレスラーのようなからだつきになっていった。ジョンソンも「アカデミーが産んだクラブ史上最大のタレント」と言われながら飲酒運転で2度も逮捕される愚を犯し、ピッチ上ではインパクトを残せないまま第一線から消えた。

唯一成功のスターリッジ。

 さらに、スティーブン・アイルランドはアストン・ビラ→ニューカッスル→ストークを渡り歩き、今シーズンからボルトンにひっそりと移籍した。マヌエル・ペジェグリーニ(現ウェストハム監督)体制下では重宝されたケレチ・イヘアナチョも、グアルディオラのお眼鏡には適わなかった。

 唯一の成功例はダニエル・スターリッジだろうか。チェルシーを経てリバプールに移籍。2013-14シーズンにはルイス・スアレス(現バルセロナ)とスティーブン・ジェラード(現グラスゴー・レンジャーズ監督)のサポートもあり、リーグ2位となる21得点の大活躍だった。ただ、このところは負傷に悩まされている。

『アブダビ・ユナイテッドグループ』が買収した後、マーク・ヒューズ→ロベルト・マンチーニ→ペジェグリーニ→グアルディオラと監督が代わり、そのたびに異なるチーム構想が用いられるのだから比較は難しい。

ライバルと比べると見劣る。

 しかし直近3年を見ると、マンチェスター・ユナイテッドはジェシー・リンガードとマーカス・ラッシュフォードを輩出し、アーセナルではエクトル・ベジェリン、エインズリー・メイトランド・ナイルズ、アレックス・イウォビがトップチームのレギュラークラスだ。

 また、トッテナムではハリー・ケインが堂々の大エースを務め、ハリー・ウインクスは中盤のポジション争いに割り込んできた。そしてリバプールでもトレント・アレクサンダー・アーノルドが急成長している。

 シティの見劣りは否めない。

 グアルディオラが「天からの授かりもの」と絶賛するフィル・フォデンは、33歳になったD・シルバの地位を脅かしているだろうか。オレクサンドル・ジンチェンコも左サイドバックの人手不足がラッキーだっただけで、序列としてはかなり低い。主力の壁は高く、分厚いが、若手の名前がサブにすら見当たらないケースもある。

シティCEOが明かす育成の壁。

 2年ほど前、フェラン・ソリアーノ(シティCEO)が『ガーディアン』紙のインタビューに応えていた。

「こと育成に関し、スペインやドイツがイングランドを上回っているのだとしたら、リーグのシステムが大きな影響を及ぼしている。バルセロナやレアル・マドリー、バイエルンといった強豪のセカンドチームは、下部リーグで真剣勝負ができるからね。下部リーグといっても2〜3万人の観客が集まるケースもあるから、プレッシャーを実体験する意味でもプラスになるはずだ。

 将来有望な若手をトップチームに帯同し、超一流と毎日トレーニングさせればレベルは上がるかもしれないが、やはり限界がある。残念ながらプレミアリーグには、ラ・リーガやブンデスリーガのようなシステムが存在しない」

板倉も含めた16人の派遣戦略。

 だからこそシティは、セルティック(スコットランド)、ガラタサライ(トルコ)、グアルディオラの実弟ペレが株主を務めるジローナ(スペイン)などに、16人もの選手をローンで派遣しているのだろう。

 1月、ベガルタ仙台からシティに移籍し、オランダのフローニンゲンに加入した板倉滉もこのパターンだ。ただ、戦略・戦術的にシティと似通ったクラブへのローンを原則としているにもかかわらず、現時点で即戦力は現われていない。

 したがってシティの来シーズンは現有勢力を軸に、手薄な左サイドバックとセンターバックに投資する公算が大きい。今シーズンのメンバーを揃えるまでの補強費は8億ユーロ(約998億円)。チーム創りにはカネがかかるということだ。

 あのバルセロナですらカンテラ育ちが少なくなってきた。パリ・サンジェルマンもカネの臭いをプンプンさせ、バイエルンも他人様の主力でメシを食っている。シティの強化にだけ目くじらを立てることはない。経済力というアドバンテージを存分に活かすべきだ。

長期的視野では不安が。

 しかし、長期的な視野でとらえると、数年後は非常に不安だ。

 フェルナンジーニョとD・シルバがキャリアの晩年を迎え、アグエロも今年6月で31歳になる。

 彼らの後継者はクラブ内から現れるのか。それとも例によってカネで解決するのか。

 ポール・スコールズ、デイビッド・ベッカム、ライアン・ギグス、ガリーとフィルのネビル兄弟を産んだユナイテッドの“クラス92”は特殊な例であり、四半世紀以上も前の話だが、シティは現有勢力がトップレベルを維持できる間に、下部組織の在り方を再検討した方がいい。

文=粕谷秀樹

photograph by Uniphoto press


関連ニュースをもっと見る

関連記事

おすすめ情報

Number Webの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

スポーツ アクセスランキング

ランキングの続きを見る

スポーツ 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

記事検索